見出し画像

”ワクワク・楽しい”がキーワード! 子ども属性部下のポテンシャルをひきだすヒント

 人間は、他の動物と同じく、ストレス環境におかれると性格や能力に関係なく、ある種の行動パターンがあらわれます
 この特性に注目して、部下を「親」「子ども」「兄弟」「親せき」の4つの属性に区分して心情を理解していく方法を解説してきました。
 なかでも子ども属性部下は「みんなと楽しく仕事をしたい」「過程そのものを楽しみたい」という気持ちを大切にしています。仕事が順調に進んでいるときには、チームのムードメーカーとして元気いっぱいな姿を見せ、プロジェクトを推進するエネルギーそのものです。しかし、一度つまづいたり、うまくいかない状況になると、その勢いが急にしぼんでしまい、待ちうけの姿勢に切り替わってしまうことも。
 この記事では、子ども属性部下がいることでおこりやすい状況を紹介し、それぞれの場面でリーダーがどう対応するとよいのか、その一例を解説していきます。
 


典型的な状況と子ども属性部下のポテンシャルを引きだすヒント

状況1:不安が伝染してチーム全体のモチベーションがさがる。

(斉藤さんの場合)

状 況
 新たなプロジェクトが始まり、リーダーの谷本さんのもとでチームが一丸となって動き出しました。
 子ども属性部下である斉藤さんは、「このプロジェクトは楽しそう!」と最初は意気揚々と取りくんでいたものの、徐々にプロジェクトの課題が見えてくると「なんでこんなに大変なんだろう」「やっぱり無理かも」と発言するようになりました。
 結果的にその不安な気持ちが伝染してしまいまい、ほかのメンバーのモチベーションが低下し、プロジェクトの進行がスムーズに進まなくなってしまいました。

解 説
 
リーダーの谷本さんは、まず斉藤さんの不安な気持ちによりそい、じっくりと話を聞きました。その上で「本当はみんなに提案したいことがあるんじゃないの?」と意志を確認し、斉藤さんの考えを引きだしました。斎藤さんは、メンバー相互の情報交換ができないことに不安を感じていたのです。
 谷本さんは斎藤さんの意見をふまえてチーム全体に指示をだしました。おたがいに進捗を確認しあう仕くみを導入したのです。こうすることで斉藤さんが不安に思っていたことも解消され、チーム全体もモチベーションを取りもどし、一体感をもってプロジェクトに取りくめるようになりました。

状況2:プロジェクトがうまくいかないと急に落ち込み、やる気を失う。

(高橋さんの場合)

状 況
 リーダーの中村さんのプロジェクトは、最初は好調だったものの、途中から予期せぬトラブルが発生して進行が滞ってしまいました。子ども属性部下の高橋さんは「もう無理かも」と意気消沈し、仕事のペースが急激におちてしまいました。もともと周囲にポジティブな影響を与えていた高橋さんが急に沈んだため、チーム全体の雰囲気にも少し暗さがただよいはじめました。

解 説
 中村さんは、まず高橋さんに「最近どう?まえの元気がなくなってるようにみえるけど」と声をかけました。高橋さんは「正直、トラブルが続いていて、もう無理かもって思ってる」と中村さんにうちあけました。
 中村さんは「不安に感じるのも自然なことだよ。ぼくもそうだった」と高橋さんの気持ちに寄りそいました。その上で「高橋君は、これからどうしたいと思ってる?本当の気持ちを聞かせてほしい」と意志確認をしながら、小さな目標を一緒に設定しました。これによって、高橋さんは「自分のペースでやればいいんだ」と思えるようになり、少しずつ気持ちを持ち直していきました。高橋さんの前むきな姿勢が戻ると、チーム全体の雰囲気も明るくなり、プロジェクトの進行が再びスムーズに進み始めました。

状況3:調子に乗りすぎて、周囲を巻き込んでしまう

(木下さんの場合)

状 況
 子ども属性部下の木下さんは、プロジェクトが進んでチームの成果がではじめると大いに張りきりました。つい周りに「もっとこうしようよ!」と次々に提案をだしました。リーダーの青山さんは、その姿勢を評価していたものの、他のメンバーはそれぞれに役割を持っていたため少しペースを乱されているように感じ始めました。

解 説
 リーダーの青山さんは、木下さんの積極的な姿勢を評価しつつ、他のメンバーにもそれぞれ役割があることを伝え、「全員で進めるために、みんなのペースに合わせてみよう」と冷静に伝えました。また、「これからのことを考えよう。木下君はチームの一員として、みんなとどういう風にプロジェクトを進めていきたい?」と意志を確認しました。そして、木下さんがプロジェクトにどのように貢献したいのかをしっかりと引き出しました。そのうえで、「いつも提案してくれるのは本当に助かっているから、今はチーム全体の計画に合わせて進められる方法を考えてみよう」と話し、チームが一体となって動けるように工夫しました。このようにして、木下さんの持ち前の明るさを活かしながらも、チーム全体がバランスを保って進めるようになり、メンバー全員が意見を出しやすく、気持ちよく仕事ができる環境が整いました。


まとめ

 子ども属性部下は、チームに明るさと活気をもたらすかけがえのない存在です。しかし、落ち込んだり周囲の反応に影響を受けやすいため、リーダーがしっかりとサポートして十分に力が発揮できる環境を整えることが大切です。
 リーダーとして、子ども属性部下の楽しむという気持ちを尊重しつつ、チーム全体と調和を保ちながら成長をサポートしていきましょう。そうすれば、あなたのチームも今の何倍も元気になっていくはずです。

いいなと思ったら応援しよう!