新型コロナ、“健康体”をキープすることのストレス
Top Photo:今朝のわたしの実体温。目指したい平熱36.0度。
どうやら、夏風邪を引いたらしい。
…と、これだけで「コロナでは?」と疑われている気がするし、自分でも嫌な予感がよぎる。
Googleで「のど」と入力すると、私が変換する前に「喉の痛み コロナ」と表示されて苦笑い。ちなみに「鼻水」「市販薬」も同様だった。
喉が痛いこと・鼻水が出ること以外は普段の体調と特に変わりなく、台所に立ったり掃除機をかける元気もある私だったが、それでも暇さえあれば体温を測定。平熱が35度台の私の体温が36度台に乗ることは結局一度も無いまま、風邪のような症状を自覚してからかれこれ「3日が経った」。
そう、「夏風邪を引いたような気がする」というのは、実は3日前の話だ。
さいわい熱が出ることもなく、味覚も嗅覚もハッキリとしていて、いつもは風邪の治りかけの頃に空咳が出がちな私なのに、今回はそれさえも特に症状がないまま市販薬服用だけで終息した。
それでも、「大半は無症状」という新型コロナの厄介な性質を知っている以上、違うだろうとは思いつつも なかなかリアルタイムで「風邪を引いた」とは公言できなかった私がいたことも事実。
そして夏風邪(仮)は 私とほぼ同時に生後8か月の娘にも伝染った。それも見事なまでに私と同じような鼻水。娘を形成する遺伝子の半分は私由来だからなのか、くしゃみさえも私と瓜二つだった。
娘に関して熱が出たり機嫌が悪くなることがあれば即座に小児科に行こうと慎重に見守っていたが、面白いくらいにいつも通り。電動鼻吸い機で鼻汁を吸引しようとすると全身で抵抗して火が付いたように泣くが、ひとたび電源を落とすと電動鼻吸い機のチューブを興味深そうにいじりはじめるくらいなので、娘の体調面で特筆することは無い。なんなら私と違って薬を服用することもなく人生初の風邪を治してしまった。
丸1日で完治するような軽い夏風邪で日常の行動を自粛したのは人生で初めてだったと思う。仮病に仕立て上げるのも大げさなのではと思うほどの、ごくごく一般的な体調不良だった。
PCR検査をしたわけではないので私から100%夏風邪と言い切ることはできないが、素人判断だと限りなくただの夏風邪だったように思う。
こうなってくると、新型コロナと疑われたくないがために、無意識のうちに「健康体」を目指してしまう私がいた。いや、それもただの健康ではなく「身体のどこにも不調のない、絶好調の状態」を。
いまだかつてそんな状態をキープできていたことがあっただろうか。そもそも偏頭痛持ちなので雨の多い梅雨時期や天気がくずれがちな冬場は慢性的に頭痛がしていたし、咳ぜんそく持ちなので身体に疲れがたまってくると咳まじりの呼吸がヒューヒューと音を立てることもある。
もっと言うと、「平熱が35.0度ということは、私に関しては体温が36.5度まで上がれば それはもう微熱の域なのでは」と“タラれば”まで考え始めて、完璧な健康体を目指したりキープしようとしたりすることに疲弊してしまった。
検温のことから気を逸らそうとして「ストレスは心にも身体にも良くないから甘いものを食べよう、いや、でも運動量が減っている今 体脂肪率を高めてしまうと…」とあれこれ思案した結果、さらに疲れるという悪循環。あぁそうか、無自覚ながらもけっこう「コロナ疲れ」していたことを知る。
新型コロナの症状そのものが怖いというよりも(怖くないわけではないが)、仮にも私が身近なコミュニティ内での「1人目の」陽性発覚者だったとして、「あの人から感染した」といつまでもバイ菌のレッテルを張られそうなことが怖い。実際に張られまくっているというウワサをSNSで目にするからなおさらだ。
感染することが悪ではなく、体調不良を甘く見ることが悪だと様々な人が呼びかけても、GoToキャンペーンが横行している中では結局 身の回りで最も言いやすい対象が悪として攻撃される。
連休とはいえ ほどほどに気を引き締めて、夜は早く寝て、朝ごはんをきちんと食べて、こまめに手を洗ってマスクを付ける。
わざわざ書かずとも、こうしたマナーが「トイレの後は手を洗う」のと同じくらい、新習慣のひとつとして馴染んでほしいと願う今日だ。
連休初日、35.7度の体温計を見つめながら。
2020/08/08 こさい たろ
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