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忘れられない初恋〜それぞれの道へ〜

中学生活の3年間も僕とともみちゃんは同じクラスだった。

中学2年の時にあったクラス替えでも同じクラスになった。

隣の席や同じ班になれないことを言い訳にして話しかけられない。
相変わらず自分に自信もなく、いろんなことがどうでもよくなってずっと拗ねてた。

野球部も辞めて、遅刻も増え、授業もまともに聞かず、学校に身を置いてるだけの状態だった。
近くにともみちゃんがいるのに、話せない。
そんな毎日にモヤモヤし、不貞腐れていた。

そんな僕を見て、ともみちゃんも呆れたのだろう。僕に向けるともみちゃんの態度は小学校の頃とはあきらかに違っていた。

この頃の僕は、人生に絶望して生きていた。
家族仲もより悪化していて、学校も楽しくない、心の拠り所であったスキマスイッチの活動がそれぞれソロになったりと、心弾むことなく、ただ呼吸を重ねる日々だった。

中2の時にやっていたプロポーズ大作戦を観て、小6に戻りたいなんて思っていた。
いくらなんでも若すぎるし、戻る間隔が短い。
なんなら今の僕は、中2でも全然戻りたい。

そんなこと思っても戻れないことはわかっていたので、受験でそれぞれがバラバラになり、環境がより新しくなる高校生活にかけることにした。
学力の違う僕とともみちゃんは高校は別々になる。
中学校生活は、じっと耐え、ともみちゃんを忘れたふりをして過ごしていた。
同じクラスにいる以上、忘れたふりが精一杯だった。

ともみちゃんは受験が終わったら、携帯を買ってもらっていて、僕は中1の頃から携帯を持っていたけど、僕のガラケーにともみちゃんのアドレスが登録されることはなかった。

中学校を卒業後、打ち上げがあり、クラスでカラオケに行った。

行ったところで、楽しめないことはわかっていたけど、寂しがり屋の僕は参加だけした。

歌わずに座っていただけだけど、歌う人の方が少なかったので、スカしてる浮いてるやつにはならずにすんだ。

ともみちゃんは何曲か歌っていて、僕の好きなスキマスイッチのボーカル、大橋卓弥のソロの曲「はじまりの歌」を歌っていた。

ともみちゃんからしたら、特に理由はなかったんだろうけど、なんだか胸がザワザワしたのを憶えている。

打ち上げ後、途中まで何人かで帰ることになり、ともみちゃんもその中にいて、久しぶりにたくさん話した。

意外と話す僕にひとりの女子がびっくりしていて、それにたいして
「ゆうりくんって、話すと面白いんだよ」
ってともみちゃんが言ってくれて、それが嬉しかった。
まだそんな風に思ってくれていたのなら、もっとたくさん話せばよかったとちょっと後悔した。でも後悔以上に、楽しい時間の方があった。

きっと僕が少し前を向けていたからだと思う。
好きだけど、どうすることもできないのに、そばで同じ時間を過ごすのが辛かった。
見ていることしかできなかったことが。
でも、もう離れ離れ。
寂しいけどホッとしたんだ。
これで忘れることができる。

#忘れられない恋物語

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