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忘れられない初恋〜ショートカットじゃなくなってた君〜

2020年末、地元に帰り、腐れ縁の長谷とファミレスで人生について語り合ってた。

この楽しい風景をインスタグラムのストーリーに投稿する。
すると、一件のメッセージが届く。

初恋のともみちゃんからだった。

奥底にしまっていた気持ちが押し寄せ、胸がザワザワするのがわかる。

ご飯に誘ってくれた。

嬉しい。すごく嬉しかったけど、僕にはもう別のともみちゃんが隣にいて。
別にただご飯行くだけなんだけど。
でもそれもよくないような気がして。
せっかく誘ってくれたから行きたくて。
それに思えば、ご飯誘ってくれるのも初めてだったし。
だから、長谷にも来てもらって3人で行くことにした。

2021年になってすぐのこと。
会うのは2人で飲んで以来で、4年ぶり。
その日は、ともみちゃんが車で家まで迎えに来てくれて、助手席に乗った。
好きだった?初恋の人の車に乗ることができるなんて。
あの頃の僕が知ったら、なんて思うだろう。
飛び跳ねて喜ぶことは間違いない。
少し気になったのは、4年ぶりのともみちゃんはショートカットではなく、髪を縛るくらい伸びていた。

僕の案内で長谷を捕まえて、駅近の居酒屋に入る。
席に着くなり、聞いてもいないのに、ともみちゃんは今日誘ったのは、授業をするのにトークがうまくなりたいから、教えてほしい、相談したいと言った。
前回、僕が会いたいを隠して誘った理由と似ていた。
緊張してたけど、長谷がいてくれたから、いじったりなんかして、久しぶりとは思えない感じでともみちゃんと話せた。
ともみちゃんがドライバーでお酒飲めないもんだから、僕も長谷の付き合いで1杯だけと決めたのに。結局、何杯も飲んでしまったのは、緊張もあったけど、やっぱり楽しかったからだと思う。
分かっていながら、申し訳ないと思いつつもその代わりにたくさん笑ってもらえるように、たくさん話した。
相談って言われたのに、アドバイスなんて特にしてないけど、たくさん笑ってくれたからこれはこれで伝わったのかな?

やっぱりこの日もあっという間に時間が過ぎる。
酔っ払った長谷を先に送り、僕の家の前に着く。他愛もない話で、名残惜しむ車中。
次はどういう理由で会えばいいんだろう。
僕たちに会う理由はない。
ともみちゃんに彼氏がいるのかは、この日も聞かなかった。でも僕には彼女がいる。
ともみちゃんの車の中にあった、キャラクターのキーホルダーが映画館のともみちゃんも好きなキャラクターで胸がチクチクする。
それでもまた会いたいと思ってしまう。
これが正直な気持ちなんだろう。

胸の奥底にしまっていたはずの想いは溢れそうだった。
やっぱり僕は忘れることができていなかった。
初恋のともみちゃんは好きだった人ではない。
今でも好きな人だった。
ショートカットでなくても、好きな人だった。



#忘れられない恋物語

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