忘れられない初恋〜会ってない再会〜

ともみちゃんのことを考える余裕もないくらい、毎日を生きるのに必死だった。

高校卒業後、相方と東京でルームシェアをはじめる。
養成所に通いながら、バイトをし、家では洗濯や自炊の日々の生活。
高校時代は帰宅部でだったけど、バイトもせず、家に帰ればテレビにかじりつくようにお笑いばかり観てたから、東京での生活は、すべてのことがはじめてで、慣れないことばかりだった。
好きだった深夜のバラエティ番組も、ヘトヘトで観れずに寝てしまうことも多かった。
恋愛のことを考える余裕なんてどこにもなかった。

そんな毎日も半年くらい経つと徐々に慣れてくる。
養成所でもライブに出れるようになったりして、同期がツイッターで告知するようになり、僕も見るだけにしか使っていなかったアカウントを芸人として告知アカウントにする。
同期にフォローされる中、地元の同級生にもフォローされる。
卒業後してたかだか半年なのに、懐かしみながら同級生のアカウントを見ていると、関連からともみという鍵のアカウントを見つける。
プロフィールを見ると、あのともみちゃんなのはほぼ確定で、自問自答したすえ、フォローボタンに親指をあてる。

程なくして、フォローの申請がおりる。
「フォローありがとう」と送ると
「久しぶりだね、元気?」と返ってきて
僕のプロフィールをみたのか、
「芸人やってるの?」と返信が届く。
芸人になるため、養成所通ってることを伝えると、
「すごい!ゆうりくん、前からお笑いのセンスあったもんね」
これ以上ない言葉をもらう。
やっぱりともみちゃんは僕を面白いと思ってくれていた。
「嬉しい!ライブ出る時、告知するから来てよ」
今までなかった勇気が溢れてくる。
舞い上がってる感情が親指をつたい文面に変わる。

「ライブおもしろそう!絶対売れてね!ファイト!」
がんばるしかなくなった!
会ってはないけど、ネット上での再会が僕をやる気にさせてくれた!

モテたくて芸人になりたい人ってたくさんいただろうけど、初恋の人にまた会いたくて芸人になる人なんて僕以外にいたんだろうか。
でも間違いなく僕の理由の一つで、何よりのモチベーションになっていた。
ともみちゃんをライブに呼べるようがんばる。

実際にライブには来てくれた。
でもそれはこのことからまだ先の話で、
次の本当の意味での再会は成人式だった。

#忘れられない恋物語

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