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【コラム】日経の社説で出たのはありがたいけど、モヤッとする記事でした。

こんにちは!5月最後の週末いかがお過ごしでしょうか。来週から普通に出勤が始まるということで、「出社鬱」になっている人がいるという話を聞いたりもしていますが、この「新しい日常」への取り組みが、ずっと加速して続いて欲しいなと思う次第です。

そこで、とうとう「脱ハンコ」の話が、日経の社説に取り上げられるようになりました!

#COMEMO #NIKKEI

いやー、とうとうこんな日がきて嬉しいなぁと思いながら、目を通していたのですが、相当内容がモヤッとする内容、というか、事実と異なることが書いていあるな、ということで、「うーん!」とうなってしまいました。

モヤッとしたことの数々

まず、最初に読んでいて「おやおや!?」と思ったのは、この一節。

IT企業を中心に一連の慣行と決別し、業務のデジタル化を進めようという機運が急速に高まっている。

ん? IT企業だけかな? と、業界関わらず、多国籍企業で業務のデジタル化って進んでいるような印象あります。あと、外資系企業はIT化が進んでいますし、IT企業だけでなく先進的な取り組みをしている企業はたくさんあると思うけど、と思って読み進めていると、次の一節

脱ハンコや脱書面を広く浸透させるには、IT企業だけでは力不足だ。他の大手企業や金融機関、さらには行政も含めて社会全体が対応する必要がある。

え? 電子契約とか電子商取引(EDI)とかの業務の電子化って、別にIT企業が主導ではないはず。特に電子契約は、「建設業界」(大手ゼネコン)が下請けとの契約を電子契約化したところから始まったものです。そこから、徐々に広がり始め、金融機関にも導入され、ようやく一般事業会社にも広がり始めてきた というところです。

行政だってマイナンバーカードシステムやその前も住基ネットという仕組みで行政サービスの電子化を進めようとしたら、世論やマスコミに止められたというのが実情。

結局はマスコミや世論がもっと建設的な議論をしてくれていれば、行政サービスの電子化も進んでたんじゃないの? とツッコミを入れたくなりました。

最後に最大の「モヤッと!」

とはいえ、せっかくそういう空気を醸成してくれているんだから、まー、それでも日経には感謝 と思い、読み進めていくと、最後にこんな一節。これが一番モヤッとしました。

政府や国会は企業の取り組みを後押しするために、使い勝手が悪いとされる電子署名法の改正など法制面の整備も進めてほしい。

まず、電子署名法の改正 って言っていますが、「使い勝手が悪い!?」 どこが? といつツッコミ。あー、前回の規制改革推進会議に出ていた電子署名法改正を訴えている件だな という認識です。

あと、そもそも契約行為は民法上で合意がされていれば認められる行為で、別に立会人が押す形だろうが、当人同士がそれでいいと言っているのであれば、契約自体が成立するというのはそれでいいと思います。

ただし、立会人が電子署名を押すことで、民事訴訟法228条の「二段の推定」(これは別途解説記事書きます!)が立会人型では成立しないのは、当たり前です。 そのためには立会人は、「確かに契約当事者本人が、この書面に対して承認行為を行ったよ」ということも含め、承認する必要があります。そこまでやらなければ、「二段の推定」を認めるわけにはいかないですが、それって立会人に対して大きく負担をかけることにならないか? と思っています。

単に、「このままだと当社のサービスに法令上社会的信用が十分に得られないから法改正して、法令上のお墨付きを与えてくれ!」という話と、「電磁的手法で作成された書類が真正に成立したことをどのように証明できるようにするか。どのように信用を高めるのか」ということがごっちゃになってないか と感じます。

正直、日経新聞がこんな「十分な事実認識に欠ける半端な社説」を書くとは思わなかったので、残念だな と思った次第です。

ただ、こうやって大新聞で大きく電子契約や書類や業務の電子化をとりあげて、議論を巻き起こしてくれるのは非常にありがたい話 なので、今後もこれに懲りずにバンバン取り上げて欲しいです! 

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