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山本太郎は都知事に立候補するべきか?③

都知事立候補前に書いた記事です

前記事で「勝つ見込みがある時だけ立候補すべき
”アピール目的のためだけの立候補”は反対」と書いた。

ここで今迄どんな候補がなぜ当選し、なぜ当選しなかったのか?
紐解いていく。

都知事(70年以降)になったのは7人。
美濃部亮吉(革新系)、鈴木俊一(自民系)、石原慎太郎(非自民→自民)の3人が2期以上務め、
青島幸男(1期満了)、猪瀬直樹、舛添要一は途中辞任で1期のみ。
小池百合子が2期目を目指す今回の選挙は2003年石原慎太郎以降の出来事。

《まとめ:勝つための必須4条件》

◉必須条件1: 知名度。 親しみやすさやトーク力も当然必要。

◉必須条件2: 政治家としての実績。政治経験ない人はこの40年いない
        *猪瀬直樹は特殊*

◉必須条件3:時流に合った心理インパクト(メッセージ)
 例)飽き飽き → 新しさ 青島幸男
 例)希望持ちたい → 前向き ”オリンピック成功”舛添要一
 例)不満     → 怒りと闘う姿 ”反自民劇場” 石原、小池

◉必須条件4:希望&将来有望な人材
・将来首相になるかも? 舛添要一、小池百合子
・初の女性都知事 小池百合子
・大物政治家の復活!何かやってくれそう。 石原慎太郎

《まとめ:2つの戦略》

戦略1:基礎票を固め、無風で勝つ。
◉必須条件:支持基盤を固め分裂は避ける
例)舛添要一、猪瀬直樹

戦略2:「保守でありつつ反自民」、「自民に立ち向かう勇者」
◉保守層に支持されるだけの実績やトーク力
政策は普通でも、「反自民を劇場化」し「正義に立ち上がる姿」に共感してもらう
 例)石原慎太郎(初回)、小池百合子


では以降、個別の事例紹介です。

《95年:青島幸男》

勝利の要因 = 保守分裂とシングルイシューと新しさを求める空気。

4期16年、鈴木都政が無事に終わる。自民党は石原信雄氏を推し、社会党や公明党も巻き込んで都議・区議の基礎票をベースに勝利を収めるハズだったが
★知名度と議員経験のある青島幸男が公示日約2週間前に急遽立候補。
組織票がない青島
★「世界都市博覧会中止・東京臨海副都心開発見直し」などを公約
★政見放送以外に選挙運動をやらない「究極の空中戦」!!

なお、この時の投票率は鈴木都政4期の時よりも低く、「組織票がある方が低投票率なら有利」とはならなかった。
大きな理由は保守層をターゲットに「都議会与党応援の、石原信雄」は官僚出身で自民党支持層に浸透しきれなかったと同時に「世界的経営コンサルタントの大前研一」や「外資系金融機関やエリートコースを投げうって”日本の政治を変えよう”と出馬した岩國哲人」など保守層が割れたことも要因。
 この3名で合計240万票の得票数となった(前回の鈴木知事獲得票229万票)。

《99年:石原慎太郎》

勝利の要因 = 保守分裂と、保守でありつつ”自民と闘う”大物政治家

期待外れに終わった青島知事が一期だけで不出馬となり、新人入り乱れる展開。 自民党は明石康氏を公明党と一緒に推すが、鳩山邦夫、舛添要一、柿沢弘治といった保守系政治家が乱立。
 そこで直前に「後だしジャンケン」で総理候補と言われることもあったものの国会議員から引退し作家に戻っていた石原慎太郎が電撃復活
★知名度と議員経験のある石原慎太郎が急遽立候補。
★「保守で知名度高い大物政治家の復活」
★自民公認の明石氏と対決、つまり「自民と対決」
★街頭活動では、渡哲也、舘ひろし、神田正輝ら「石原軍団」が活躍!

*投票率は大きくアップした(石原:166万票)

上記の保守系政治家4名を合わせれば290万票超となり、保守層の分裂が
なければ石原慎太郎も勝てなかった
可能性、やはり分裂は大きく影響した。

《12年:猪瀬直樹》

勝利の要因 = 争点無し。元副知事が無風で石原都政を継承

石原慎太郎が任期途中で辞職し、国会議員に再チャレンジすることとなり、副知事を務めていた猪瀬直樹が「石原都政の継承」で無風勝利
 自民党、公明党、日本維新の会が応援する形となった。
★知名度と副知事としての実績。
*投票率は大きくアップしたが、国政選挙との同日選挙のため。

宇都宮けんじは共産党、社民、未来、緑、新社会、生活ネットなどが応援し97万票を獲得した。

《14年:舛添要一》

勝利の要因 = 個人人気+保守基礎票+「保守の空気」
       「オリンピックの成功」を訴えた。

民主党政権への批判が激しく、12年に誕生した安倍政権のアベノミクスにまだ期待を持っていた頃の話。 猪瀬直樹が金銭授受問題で辞任。
前年に2020東京オリンピックが決まり、その期待も膨らむ頃だった。
元首相の細川護熙が小泉純一郎の応援を受けて「反原発」を掲げ急遽立候補し、民主党系が応援し96万票を獲得、宇都宮けんじ候補は共産・社民・緑・新社会の応援受け98万票を獲得。
★知名度抜群で厚労大臣などの実績もある
★新党改革代表=保守でありつつ改革推進という位置づけで
 将来の総理候補とも言われる舛添要一
★自民党、公明党、新党改革などの応援
*舛添氏が改革派として「自民党にお世話になりながら、反自民に衣替え」した経緯から自民の応援が強固だった訳ではないが、問題なく勝利。

細川元首相と宇都宮候補の得票数を合計すると193万票。舛添氏の211万票と良い勝負となる。

《16年:小池百合子》

勝利の要因 = 個人人気+保守基礎票+「保守の空気」
       「オリンピックの成功」を訴えた。

前年の夏、集団的自衛権の強行採決などがあり、反安倍陣営は批判を続けるものの社会的な広がりにはならない….そんな中で
猪瀬直樹に続き、期待された舛添要一も金銭・公私混同問題。
異例の2代連続辞任を受けての選挙。
小池百合子が291万票を獲得し圧勝。
★知名度抜群で外務大臣、自民党3役などの実績もある
★「初の女性都知事に挑戦
保守でありつつ改革推進という位置づけを「反自民劇場で盛り上げ、注目を浴びつつ支持を得る
・自民党東京都連の推薦を取り消し、無所属での出馬。
・自民に相談なく完全に独自の出馬行動、自民党に進退伺を提出、自民党は小池を応援した者の処分などを通達、選挙戦では前任の舛添要一や東京都議会の自民党会派の体質などを批判する。
★自民党、公明党などの公認候補は増田寛也氏、179万票を獲得。

革新・左派は宇都宮けんじが立候補予定していたが、鳥越俊太郎が最終的に野党統一候補として決まり、共倒れを懸念し無念の立候補を断念した。

ただ、鳥越俊太郎は知名度はあるものの演説も東京都の政策もイマイチで最終的には134万票獲得するものの敗れる。

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