No.057 ミステリクイズ
問題文
俺(A)は今、大学の空き教室で明日の期末テストの勉強をしている。
そこに同じ学科のBがやってきた。
Bは暗い表情をしていたが、俺を見るとパッと明るい表情を見せた。
俺の前に立ち、両手を合わせ頭を下げる。
B「頼む、A。お前だけが頼りだ」
Bは明日の期末テストの勉強をあまりしていなく、このままだと落単する、と語った。
B「この単位、落としたら留年になっちまう。頼む、力を貸してくれ」
俺「勉強を教えるってこと?」
B「違う。俺が言いたいのは……明日のテスト、席の指定は無い。俺はお前の
隣に座る。だからテストが始まったら俺に見える位置に解答用紙を置い
てほしい」
俺「それはつまり……カンニングの手伝いをしろ、と」
B「お前には絶対迷惑はかけない。頼む、この通りだ」
Bは机と頭がぶつかりそうなぐらい頭を下げる。
Bには恩があるし、できれば協力してやりたい。
だが気になるのはBの作戦のリスクだ。
テスト中、教授は常に巡回をしている。
リスクは非常に高い。
俺「Bは中間は何点だった?」
B 「……19点」
俺「となると最低でも、明日のテストは41点以上か……キツイな」
B 「ちなみにAは?」
俺「48点」
俺はシラバスでこの講義を調べた。
講義の評価基準は以下の通りだ。
”この講義は中間と期末の二度のテスト(各50点満点)があり、合計点が60点以上なら単位が与えられる。
また合計点が60点未満の者でも、講義中の課題を提出している者に対しては出席点として最大12点の救済点が与えられる(ただしテストの合計では60点未満であり、救済点を含めると合計が60点を超える者は、成績評価では一律合計60点とみなす)。
テスト終了10分前から退出は原則禁止とする。ただし終了10分前以前に解答が終わった者は講義室前方の机にテストを提出し帰宅しても良いものとする。”
俺「出席点はいくつ?」
B 「確か5点だった」
俺は考える。
Bは少なくとも明日のテストで36点以上、必要だ。
今日一夜漬けすればどうだ?
およそ無理だろう。
過去問に頼りたいがこの講義の過去問は出回ってない。
テスト後に教授が問題用紙も回収するからだ。
となると……ああ!いい方法がある!とても簡単な方法が!
俺はBにある作戦を話した。そして翌日、俺とBは離れた席に座る。
テストは始まり何事もなく終わった。
3日後、テストが返却された。
Bは計画通り、テストで41点をたたき出し、無事に落単を免れた。
さて、Aの作戦とはなんだったのでしょうか?
(隠しカメラやイヤホンなどの道具は使用していません、テスト前に問題を盗み見たなどもありません、Bが隣の学生の解答をカンニングした訳でもありません)
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ヒント
”テスト終了10分前から退出は原則禁止とする。ただし終了10分前以前に解答が終わった者は講義室前方の机にテストを提出し帰宅しても良いものとする。”
この文章から、解答用紙は何かしら決められた順に集められている訳ではないことが分かります(つまり順番はバラバラ)。
AとBは離れた席に座ったのでカンニングはできません。
過去問もなく、テスト問題を盗み見たわけでもない以上、実力ということになります。
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解説
まずAとBは離れた席に座ったのでカンニングはできません。
”テスト終了10分前から退出は原則禁止とする。ただし終了10分前以前に解答が終わった者は講義室前方の机にテストを提出し帰宅しても良いものとする。”
この文章から、解答用紙は何かしら決められた順に集められている訳ではないことが分かります(つまり順番はバラバラ)。
また過去問もなく、事前にテスト問題を盗み見たわけでもない以上、実力ということになります。
しかし、Bが一夜漬けで高得点を取れたとは思えません。
では誰の実力でしょうか?
考えられるのはAです。
Aは中間テストで48点と高得点を取っています。Aなら41点取ったとしても不思議ではありません。
もしAが期末テストで41点を取ったとした仮定すれば、おのずと答えは見えてきます。
Bの答案はAが書いたものだった。
真相はこうです。
AとBは問題を解き、答案にお互いの名前を書いたのでした(AはBの名前を、BはAの名前を)。
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