No.068 ミステリクイズ


問題文

ある旅館で大学生がアレルギーで死亡する事件がありました。
死亡した学生はオーケストラ部の部長であり、旅館には部活の合宿で来ていました。

事件が起きたのは合宿1日目の夕食時。
宴会会場で夕食を食べている時に被害者が突然苦しみ始めました。
すぐに救急車を呼びましたが、病院で死亡が確認されました。


被害者は重度の甲殻類アレルギーを持っており、死体からは明らかなアレルギー症状が見受けられました。


被害者がアレルギー持ちであることは部員皆知っており、旅館側にもその事実は事前に伝えられていました。
実際、提供された夕食には甲殻類は一切使われていませんでした。


ではどうしてアレルギー症状が出たのか?
警察が宴会会場を調査すると、被害者が飲んでいたグラスとこぼれたビールから高濃度のカニエキスが検出されました。


また、死体のそばには小さなスポイトが落ちており、同じエキスが検出されました。
一方で指紋は検出されませんでした。


警察は部員の中に犯人がいると考えて、捜査を始めました。
被害者の周りに座っていた学生たちは、被害者のグラスにエキスを入れるチャンスをありましたが、明確な動機は見つかりません。


被害者の所持品を調べると、財布、スマホ、食前に飲むタイプの二日酔い防止の薬1錠、部屋の鍵、ハンカチだけでした。


警察はその後も捜査を続け、ついに犯人を逮捕しました。
その犯人は被害者の周りに座っていた学生ではなく、むしろ被害者から一番離れた席に座っていた学生でした。

さて、犯人はどうやって犯行を行ったのでしょうか?
(犯人は夕食時、被害者が苦しみ始めるまで被害者に近づいておりません)











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ヒント

犯人は夕食時、被害者が苦しみ始めるまで被害者に近づいておりません。
一方で被害者が苦しみ始めてからは混乱に乗じて近づくことは容易に可能であると考えられます。





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解説

被害者がアレルギーで殺されたことは症状から見て、間違いありません。
問題は被害者がいつアレルギー源を口にしたのか?です

被害者の飲んでしたグラスからカニエキスが検出されており、一見するとそれを口にしたことが原因であると考えれます。

一方で、犯人は夕食時、被害者が苦しみ始めるまで被害者の席に近づいておらず、グラスにエキスを混入する機会はありませんでした。

以上のことから、グラスのエキスは犯行とは関係ない、つまりフェイクであると考えられます。

被害者が苦しみ始めてから救急車で運ばれるまでの間に混乱に乗じて被害者の机に近づくことは容易です。
犯人はその時に被害者の飲んでいたグラスにスポイトでエキスを混入させたのでした。


では、被害者が本当にアレルギー源を口にしたときはいつか?

被害者の所持品を見ますと、二日酔い防止の薬が一錠あります。
問題はどうしてそれが飲まれていないのか?


それは犯人が被害者に代わりの薬をあげたためと推察できます。

犯人はおよそカニエキスを混入したカプセル錠を被害者に飲ませました。
カプセルが溶けるまでには時間がかかります。
犯人は夕食時に症状が出るように仕組んだのでした。
そうすることで、被害者の席に近づかなかった自分は容疑者から除外されると考えたのでした。



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