見出し画像

次代を創る「スマートビル・スマートシティ」:その22「10. スマートビルが集積した未来の「スマートシティ」とは」

10.   スマートビルが集積した未来の「スマートシティ」とは

10.1.  センサーを活用したまちづくり

日本におけるデジタル社会構築の一環として、2019年6月に、マイナンバーカードの取得促進を図るため、カードへの自治体ポイントの付与、健康保険証への活用等を発表した。現在、マイナンバーカードを取得している人の数は、2019年4月時点で全人口のわずか13%(1千7百万人)でしかない。かなり低い数値だ。

その主な要因は、「マイナンバー」の扱いそのものにある。他人に見せてはならない扱いが慎重なデータとしたところだ。誰もがあぶないデータを持ち歩くことはやめ、金庫や他人にわからないところへ仕舞っておく。

マイナンバーカードがあれば、行政手続きは簡便にでき、転勤等の負担が少なくなると聞いていたが、実態は、自治体ごとに登録しなおさなくてはならず、マイナンバーカードを持っていたために、住所変更の手続きが一つ増え、さらに半日以上時間がかかるようになった、と言うような笑えない話もおきている。

これらの阻害要因は何から生まれたのか?

それは、既存の法律の上に、ICT社会の仕組みを構築しようとしているところに大きな課題がある。マイナンバーは住民票と同様に、自治体ごとに管理する必要があるので、移転手続きを地域の役所で行う必要が生じているのだ。既存の法律を超えたICT、AI社会に適用したスーパーな法律整備が、今こそ、本当に求められる。

ところが、海外では、むしろ遅れた法整備や社会環境をICTによって、大きく前進させた国もある。その筆頭は中国だ。世界で開発中の約1000カ所のスマートシティのほぼ半分を中国が占めるとも言われる。中国では支払いはすべてスマホで、アリペイのQRコード読み取りで送金可能。税金も、学校のPTA会費も、お年玉も同じ。路上生活者を気の毒に思い現金をあげようとしたら、QRコードを示して、そこに入金するように言われた、というような笑い話もあるほどだ。

中国の銀川市ではバスの利用者が顔認証技術を使って運賃を支払う。さらに、中国のスマートシティのなかには宅配の荷物を受け取れるインテリジェントロッカーを導入する地区や、満杯になったら無線で当局に知らせるゴミ箱を配置している地域もある。ファーウェイは南京市に構築した監視システムを、警備だけでなく、医者の緊急派遣へも活用している。

米国最大の業界団体Smart City Councilは、「スマートシティ」を「全ての都市機能にデジタルテクノロジー(ICT)が組み込まれた都市」と定義している。

日本の多くのスマートシティはエネルギー問題解決を中心に据えているが、より国民の利便性に立脚した、交通、通信、医療、健康など、多くの課題にICTを活用し、本来のスマートシティを早期に構築すべきだ。

ここから先は

1,378字
このマガジンを読むと、最先端のスマートビルやスマートシティの情報を得ることができます

スマートビルの概念は、さらにあらゆる信号がネットワークで結ばれ、個々人の端末ともつながり、ワーカーにとっては、スマートフォンや顔認証の生態…

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?