生涯独身のすすめ
小生にはある事情で子種がない。
いや、正確には凍結精子を使用することはできるが自然妊娠はできない。
そのことを半分冷やかしで相談した某結婚相談所のスタッフに伝えたところ、次のような返答があった。
そういった方の結婚は難しいです。
なるほど、元来より承知はしていたが、開口一番その道のプロに言われると、いよいよ生涯独身の人生が現実味を帯びてきた感じがする。
となれば、生涯独身人生の懸念点を洗い出し対策を立てなければならない。
30代の小生は現在のところ、大きな不自由はしていない。気にしているのは、親がいなくなり、「身寄り」がなくなった後の人生である。
小生が気になっているのは次の3点である。
1. 入院や手術をする場合
2. 先祖代々の墓をどうするか
3. 自分が死んだ時どうするか
自分が安心するために、傾向と対策をまとめる。面倒くさいので特に出典を付記する気はない。
1. 入院や手術をする場合
入院をする場合、通常は身元保証人が必要となるが、入院時に一時金を支払うなどすれば特段問題はない。小生も数年前入院する際一時金として20万円を支払った記憶がある。
手術をする場合、基本は身寄りによる同意書記入が必要である。ただし、身寄りがない場合にはこの限りではない。病院のケースワーカーと呼ばれるスタッフに相談すれば、同意書への記入をしてくれる場合があるようだ。
これで安心できた。さて次へ進もう。
2. 先祖代々の墓をどうするか
小生は特に宗教心はないと自認しているが、ご先祖様の墓を放置して死ぬのはあまりに忍びない、と悲観していた。調べてみると、「墓じまい」という概念があるようだ。永年供養の墓地に改葬するという形をとることができるらしい。これでなんとかご先祖様への体面が少し保てるというわけだ。
3. 自分が死んだ時どうするか
そしてもう1点気になるのが、自分が死んだ時の対応である。火葬、死亡手続き、埋葬など課題は山積している。調べたところ、課題全てを解決する完璧な制度が存在した。
死後事務委任契約 である。
この契約を結べば、死後の諸々の手続きを任せることができるらしい。専門の弁護士や司法書士に依頼できるとのことである。ざっと見たところ100万円程度で契約できそうである。死後の心配が一切合切なくなることを考えれば、安いものだ。
この度、某結婚相談所スタッフの思慮の欠けた発言からこのような記事を執筆するに至った。当初はこのスタッフに腹が立ってしまった。いきなり電話口で何を言うてんねん、と。しかし、このスタッフにはきっと悪気はなく事実を伝えたのみである。
この記事を執筆し終わる今、非常に晴れやかな気持ちである。むしろ彼女に感謝している。ありがとう。確かに身寄りがないまま死んだらどうなるのか、という漠然とした不安があった。彼女の発言によってこうして調べる機会を得た。ありがとう。深く御礼を申し上げたい。
最後に、小生と同様の不安や疑問、懸念を抱えている人にこの記事が何らかの希望をもたらすことがあれば幸いである。
さて、凍結した幾千万の子供たちをどうしたものか……当面の課題はそれのみである。
追記
子種いらないわ、捨てます。ごめんね。