シャツのボタンを6つにしてほしい、革靴好きの話。
三陽山長 内羽根式ストレートチップ「匠 友次郎」(トリッカーズの靴袋は無関係。)。
三陽山長のこと自体、あまり詳しい訳ではないのですが、たしか三陽商会が、世界水準で戦える日本の革靴を作ろう、というコンセプトで、20年ちょっと前に、山長という靴屋を買収して始めたもののはずです。コンセプトのとおり、当然、日本メイド。
革は違っていたかもしれませんけどね。ただ、私が三陽山長の靴を買ったのは、いまとても評価の高い「R2010ラスト」が世に出る前の、15年以上前です。
画像の靴自体は、及第点よりは少し上、という評価をしています。世界水準の話はひとつさておき、内羽根式のストレートチップとして、果たすべき役割は十分に果たしてくれています。
ところでこの三陽山長、今は、積極的にパターンオーダーをしてくれる本格革靴のブランドとして有名だそうですね。そのおかげで業績も、とても好調らしいです。
はっきり言って私は三陽商会が好きではない(世界に冠たるバーバリーブランドを、ブラックレーベルを導入することでGMSレベルの商品並みに毀損したこととか。)ですが、商売の仕方は上手いなあ、と感心させられることは多いです。
客として嫌な思いをしたこともないし、悪い話も特に耳にしないし、バーバリーを含め、ちゃんとしたブランドと仕事が出来る自体、事業者としては一流なんでしょうね。
それはともかく、この「友次郎」の見た目にちょっとした違和感を覚えた人は革靴愛好家としてなかなかレベルが高いですね。
そうなんです。アイレット(=ハトメ=靴紐を通す穴)が6つあるんです。
大体の革靴は5つなのに、この友次郎には6つある。
むかし調べたことがあるんですけど、イギリスのトラディショナルなブランドは頑として5アイレットが、アメリカは60年代頃に、6アイレットが主流になりつつある時期があったとか。
この友次郎が6アイレットであることは、60年代アメリカとは関係ないでしょうけど、5アイレットのものと比べると、一層カッチリ感が出る(人によってはやり過ぎという印象はあるかも。)ように思います。
まあ、コードとして指摘される部分ではないので、好みの問題で処理してよいところですね。
ちなみにこの靴は、元妻のご両親に、離婚のご挨拶にうかがって以来履いていません。内羽根式のストレートチップを履くのは、そういうときです。
…我ながらエピソードが重すぎて、もう履く機会ないんじゃないかな。。
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実はシャツにも、7つボタン6つボタン問題ってのがあって(いや、世間一般にはない。)、いま6つボタンの、いわゆるワイシャツを作っているまともなシャツメーカーはほとんどないんじゃないかと思います。
だいたい、7ボタンのはず。
私もシャツを作るときは、体格的な理由から必ずオーダーをしますが、「ボタンを6つにしてくれ。」という要求はどこのシャツ屋に行っても通りません。
そこまでいくと、型紙から起こし直す、別注という扱いになるのでしょうね。
少し前にリゾルトの林師匠の話をしましたが、師匠(リゾルト)別注のインディビのシャツは、6ボタン仕様になっていたとか。
シャツのボタンが7つと6つで、何が違うのかといわれれば、1番目のボタンを開けたときのバランスです。ここの具合が、気になる人には気になる。
ちなみに↓6ボタンシャツと7ボタンシャツの1番上を外したときの比較。
青シャツは林師匠で6ボタン。茶系ストライプシャツは私で7ボタン。
確かに私(7ボタン)がひとつだけボタンを開けると、襟元が窮屈に詰まるので、タイドアップしないときは、だいたい2つ開けています。ただ、2つ開けるとやっぱり印象としてちょっと横柄じゃないですか。
これが6ボタンになることで1つ外すことで解放的になるなら、だいぶ印象も違うんじゃないかと。
気温が高くなってくると、いつも思います。
というわけで、6ボタンシャツの復刻を期待しています。なぜ6ボタンは抹殺され、7ボタンがスタンダードになったのか。
もちろんそこに合理的な理由はある(ボタンの隙間からおっさんの素肌が見えたら気持ち悪いとか。)のでしょうけど、頑なに7ボタンにこだわる必要性も、別にないと思うんですけどね〜。
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