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大失敗ではなく”経験”を

前回の投稿で、マネージャーの仕事は”仲間を輝かせてなんぼ”=仲間の能力を世に出すことだと書いたのだけれど、そうは言っても管理しなくちゃいけないんじゃないの?というもやもやが残るかたもいるのではないでしょうか?

きっと同じ文章を読んでも、
「うーん…。それって理想論だよね」と違和感がある人。
「うんうん!そうそう!」と納得してくれた人。
と、分かれるのではないかなと。

きっと、どちらの意見も正しいし、どちらも間違っていない。

たぶん、「人間観」とか「ヒトの労働に対する行動」の個人の考え方の前提に少しの違いがあるのかもしれない。

人って「働きたくない生き物?」「働きたい生き物?」

X理論・Y理論は知っていますか?

X理論Y理論とは
1950年代後半にアメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーによって提唱された人間観・動機づけにかかわる2つの対立的な理論のこと。
マズローの欲求段階説をもとにしながら、「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」とするX理論と、「生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」Y理論とがあるとその理論を構築している。

つまり、「人という生き物が仕事に対してどんな価値観を持っていると思っているのか?」という前提の違い、マネジメントスタイルの違いに現れるのだとか。

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私は、基本的に仕事が好きなので、どうしても自分と似た価値観のY理論でヒトをみているんですね。きっと。

みなさんはどうでしょう?

見解によって違う2つのマネジメントスタイル

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X理論は「人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」とする、性悪説にもとづいた理論。
命令や強制で管理して、目標が達成できれば報酬を、できなければ処罰を与えるといった「アメとムチ」によるマネジメント手法。

Y理論は「人間は生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」とする、性善説にもとづいた理論。
魅力ある目標や責任を与え続けることで社員を動かしていくという「機会を与える」マネジメント手法。

うーん。こう考えると、どちらを前提において、どちらのマネジメントスタイルが良いのか迷ってきますね。

環境によって変えるマネジメントスタイル

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X理論は、マズローの欲求5段階説における低次欲求(生理的欲求や安全の欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデル。

逆にY理論はマズローの欲求5段階説における高次欲求(社会的欲求や自我・自己実現欲求)を比較的多く持つ人間の行動モデル。

現代の日本人はお金にある程度余裕があり、仕事を選択する権利をもっているから、マズローのY理論の考えに基づいたマネジメントスタイルが合いそうですね。

でもそれって、あらゆる仕事でもY理論の1択なのでしょうか?

業務のリスクによって変えるマネジメントスタイル

【X理論は、命令と強制によりアメとムチで行動を促すマネジメント】
このマネジメントスタイルが効果的な場面は、機密情報を扱う業務や高所での肉体労働など、個人の自主性に任せた管理ではリスクが大きい場合。

例えば、顧客情報を扱う業務で全ての責任は任せたよ!と言われたら、みんな困ってしまいますね。大きなリスクを伴うよう場面では、X理論にもとづいた厳密なルール運用によるマネジメントが効果的。

X理論が適している業務
・高所での作業や危険物の取り扱い業務
・高度な個人情報や機密情報を扱う業務
・精密機械や食品の製造ライン、インフラ整備

そう考えると、何でもかんでも、あなたの魅力が出ることがいちばんよ!と言うのも無責任なマネジメントスタイルと理解できそうですね。


【Y理論は「部下の主体性を尊重する」マネジメント】
このマネジメントスタイルが効果的なのは、チームや組織の目標と社員一人ひとりの目標が共有・共通している場合。

チームの目標と個人の目標が統合されている場合、継続的・自発的に自分の能力や知識、技術や手段を高め、チームの成果に尽くそうと行動するように。

Y理論が適している業種
・先進技術の開発・研究を担う企業
・個人の主体性を活かすベンチャー企業
・人の感情に訴えかけるデザイン広告業界
・顧客とのコミュニケーションのなかでファンを集めていく必要がある接客業


例えば、携帯電話のショップなどではどちらを使えばいいのでしょう?

携帯電話がもつ個人情報は年々高度な個人情報や機密が溢れていますね。
一方でそのサービスは多様で、コミュニケーションの中でお客様のニーズに臨機応変に対応する必要があります。

となると、個人情報を扱う業務に対しては、X理論で厳しく罰と報酬のはっきりとしたルールで指導し、コミュニケーション業務では個人采配のあるような、個人の興味関心や自己実現をもとにしたマネジメントが必要となるはずです。

やっぱり、店舗の仕事って面白い。
マネジメントの勉強も最強の勉強ができそうですね。店舗!恐るべし。

なにごとも中庸:Z理論

X理論とY理論が登場してから20年以上経ったのち、アメリカの経済学者であるウィリアム・オオウチ氏が「Z理論」を提唱したそうです。

Z理論:X理論とY理論の「いいとこどり」をした理論
権利統制と命令統制による上からの押しつけ型であるX理論と、社員の自主性を尊重するY理論の間を取ったような、上下や横の良好なコミュニケーションが存在するという理論。
「平等で親密」という温かな雰囲気が個人を動かし、細かく監視しなくても自発的に行動する。企業としての体制が整っていれば、社員のモチベーションは自然とアップするという理論


仲間のモチベーションをアップさせるためには、会社の社風や社員一人ひとりの価値観に合わせて、適切なマネジメント手法をとる必要があるし、そのためにも制度や仕組みを柔軟に作っていくことが大切なようです。

この辺りを詳しく話すと長くなるので、またの機会に。

どちらにしても、どのようなマネジメントスタイルを取るのかは、マネージャーが柔軟に「環境と状況」「個性」を判断して仲間が最大限に輝くし、リスクは最低限に抑えるもアプローチをすることが重要なわけです。

輝かせると言うことは、致命的な失敗をさせないということ。
なので、輝かせるってなんでもOKの優しいマネジメントなのか?というときっと違っていて、致命的なリスクになるようなことは厳しくマネジメントする。

松下幸之助さんの「任せて・任さず」も有名ですね。

人の育て方、活かし方「任せて任せず」
“松下幸之助は従業員に仕事を与えるとき、その長所を見、仮に経験、実績がなくても、潜在能力を信頼して大胆に仕事を任せてきた。そのために多くの人が育った。これには松下幸之助が病弱で、個人経営の時代から人に仕事を任せざるを得なかったという事情も影響しているようである。
 仕事は任す、しかし任せっ放しではいけない。適時適切に報告を聞き、事と次第によっては的確な指導、助言を与えなければならない。それが責任者の務めである。事実、松下幸之助は病床に部下を呼び、報告を聞き指示を与えることも少なくなかったという。任せて任せず、これが松下幸之助流の仕事の与え方であり、人の育て方であった。”
引用 松下幸之助.com

輝かせるには、大怪我をするような大失敗はさせず、魅力がさらに増す”経験”できる環境づくりが大切。

マネージャー業は奥深い。一緒にコツコツ楽しく頑張りましょ!

お読み頂きありがとうございます^_^ 読む前よりもポッと心の温度が上がったとしたら、とても幸せです。 サポートは、note内での他の方へのサポートや、コミュニケーションの時間など、note内で還元させて頂いています!