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38位の現実と1位の可能性 〜風鈴囁く日本再生

風鈴の音に耳を澄ませながら、ふと思い出した。
先日目にした、ある興味深い調査結果のことを。

スイスの由緒正しい学び舎、国際経営開発研究所が毎年発表する世界競争力ランキング。今年の日本の順位は、なんと67カ国中38位。過去最低だという。
中国は14位、お隣の韓国は20位。
これを見て、私は思わずため息をついてしまった。

日本という国は、不思議な国だ。
法律やルールを守ることに関しては世界一真面目な国民性を持ちながら、その真面目さゆえに身動きが取れなくなっている。

特に企業や組織において、この傾向が顕著に見られるように思う。「ルールで縛る」という旧来のマネジメント手法が、いつしか本来の目的を離れ、社員の創造性や効率性を阻害する要因となっていることがある。時代に合わなくなった慣習や、理由の曖昧な規則が、まるで角質層のように幾重にも積み重なり、組織の柔軟性を奪っているかのようだ。

さらに興味深いのは、新しい法律やルールは次々と制定される一方で、過去のものも廃止されずに残り続けるという現象だ。これは、変化を恐れる心理と、前例踏襲を重んじる文化が生み出した独特の状況かもしれない。しかし、この状況が続けば、私たちの社会や組織はますます硬直化してしまうのではないだろうか。

若い頃、サラリーマンとして働いていた時の体験を思い出す。限られた資源で予想以上の成果を出すことができたが、その結果は評価されるどころか、むしろ批判の的となってしまった。日本の組織では、しばしば「同調圧力」が強く働き、新しい発想や異なる意見を出すことが難しい空気感があり、時として根こそぎ抜かれて捨てられてしまうかのように感じられることがある。

考えてみれば、日本の教育システムも、この「同調圧力」の源泉かもしれない。記憶力と過去問題の解答能力だけを重視する教育。それは、まるで「優秀な社畜・国畜」を大量生産するための工場のようだ。

でも、希望がないわけではない。真の学びとは、時に苦痛を伴うものだ。まるで、新しい命が生まれる時の産みの苦しみのように。その痛みを恐れず、自分の頭で考え、行動する勇気を持つこと。それが、この閉塞感漂う日本社会を変える鍵なのかもしれない。

風鈴の音が、そっと私の思考を現実に引き戻す。夏の暑さの中にも、かすかな秋の気配を感じる。変化の季節。私たちの社会も、少しずつ、でも確実に変わっていけるはずだ。古い殻を脱ぎ捨て、新しい風を取り入れる勇気を持つことで、きっと日本は再び世界の中で輝きを放つことができるだろう。

そう信じたい。​​​​​​​​​​​​​​​​

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