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いとおしい愚かものたち

 世の中に意見することに意味はあるのだろうか。
 強い思想を持った人が、強い言葉で理想や不満を唱えるのを度々見かけるが、私はどうにもそれが滑稽なものに思えてしまう。
 というのも、皆さん揃って自分を賢いと思って、それを疑いもせずにカッコつけて断定している。
 自分より賢い人間など至るところにいるのだし、物事なんてどれだけいっても確かなものなどはない。
 そんなことを理解せず、狭い世界で一番になった気になっている前後不覚のあなたがいとおしく愚かしい。
 だってそれはいつかの私であり、今、未来の私でもあるからだ。
 私は愚かしい。そしてあなたも愚かしい。
 つまるところ、人間とは愚かしい生き物なのだ。
 愛くるしいほどの愚かさを自覚し、受け入れながら意味もなく抗うことが、無駄ではあるが最適な戦い方であると思う。

 弱くてカッコ悪くて愚かなことを肯定しよう。
 それは案外救いになるかもしれない。
 少なくともいつかの私はそこに行き着いて救われた。
 最も彼らに彼ら自身の声以外が聞こえるとは思えないけれど。
 

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