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ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) お貞の話 を読んで

みなさん、こんにちは。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「怪談」に収録されている「お貞の話」を読んだ感想を書いていきます。

あらすじです


越後の国の新潟の町にいる、19歳の長尾長生が主人公です。彼は医者の息子であり、家業を継ぐため勉強していました。あるとき、父の友人の娘であるお貞を紹介され、結婚を前提に交際を始めます。しかし、お貞にはある問題がありました。

それは

重篤な肺病を患っており、医者からもう長くないと宣告されます


「長尾さん。私はもう長くありません」

お貞は長尾に「もう一度会えるので待って下さい」と伝え、すぐに亡くなりました。

長尾はお貞のことを愛していたので、とてもつらい思いをしました。彼女が亡くなった後、仏壇の前にお供え物を供え、拝む日々が続きます。

それから月日が経ち、長尾の両親は

息子がもう結婚してもおかしくない年頃だろう

世間体と今後の将来を心配し、別の女を紹介させ、結婚させます。

それでも、長尾はお貞の仏壇にお供え物を捧げていました。夫婦生活や子育て、仕事が忙しくなった影響からか、次第に彼女の面影が薄くなります。

彼女の面影が忘れかけた頃、両親が亡くなり、妻と一人息子も亡くなり、数々の不幸が彼を襲い、天涯孤独に見舞われます。

長尾は悲しみに襲われながらも、前に進もうと決心し、長い旅に出ることになります。

そんなあるとき、長尾に運命の出逢いが訪れます。

それは

亡くなったお貞とそっくりの女性と出逢います

長尾は旅の途中で伊香保で泊まっていました。その女性はその宿の従業員をしていました。仕事をしている彼女の姿を見ると、長い間忘れていたお貞の思い出が甦りました。

「あの、ちょっといいですか?」

「はい。なんでしょう」

「あなたは、僕が知っていた女性とそっくりなんですよ。もしよろしければ、名前や生まれ育ちも教えてほしいのですが」

普通に考えると、新手のナンパに近いです。「この人、怪しい人」と逃げたくなる気持ちになりますが、その女性はそんな気持ちを起こさず、お貞と名乗りました。新潟で生まれ育ち、17年前に亡くなったと話します。

「あなたはあのとき、『この世に戻ってきたら、君を妻にする』と言ってくれました。そして、その仏壇の前にその誓いの言葉が書かれた紙とお供えものを供え、いつも感謝と言葉とともに祈ってくれました。だから、あなたの前に戻ってきたのです」

と女性は言い終えると、気を失ってその場で倒れました。


その後、長尾とその女性(お貞)は結婚し幸せに暮らしました。彼女は前世の記憶や伊香保で言った言葉や過ごしていたことを覚えていませんでした。

感想です


長尾が日頃の行いがよかった影響でしょうか。

数々の不幸に見舞われても、ひねくれず、自ら絶つことなく、乗り越えることができたのではないか

作品を読んで思いました。

お貞が亡くなって、別の女性と結婚し、子どもを設けましたが、心の底ではお貞のことを忘れずに、愛していたのかもしれません。

おそらく、長尾は真面目で誠実な男だと思います。

結婚している妻や子供がいる。なので今は、彼らを守っていかなければならない。

その思いが強くなり、お貞を忘れようと努力して、家事や子育て、仕事を一生懸命にし、自分の心や身体を無理していた可能性があります。

結果的には、長尾はお貞と結ばれ、幸せになりました。


作品から、もう一つ感じられることとして

今自分が置かれている状況や過去に経験したことは不幸や後悔と思わず、自分と向き合って前へ進む。そうすることで、この試練が何かしら、今後の未来を創り上げる。

と思います。

どんなことでも、一つや二つ、意味があるのかもしれません。


最後まで、読んで頂きありがとうございます

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