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本を地図に旅したい

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書評というより、本を読んで自分の生活や考えが具体的にどう変わったか、みたいなことを書こうと思っています。
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#日記

とりあえず他者とは、決断するときに「肩を借りる存在」

『他者と生きる』という本を読んだ。

まず印象的なのが「狩猟採集時代」の話。最近流行った『スマホ脳』や『ファクトフルネス』といったベストセラーでは、論の根拠として、狩猟採集時代の人間はそんなことをしていなかった、という話が使われる。

個人的にも、だいぶ前のことだけど、人間は前歯と犬歯と臼歯の割合がこうだから、こういう割合で肉と野菜と穀物を食べるのがいい、と話している人がいたのを思い出す。たしかに

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誠実も生きるためのひとつのポーズ――小川さやか著『都市を生きぬくための狡知』

「やってみればわかる」と古着を手渡されたところから始まる。その後、何百もの取引先を抱え、自分の店を持つまでになったというから驚きだ。

アフリカの路上商人についてのフィールドワークをまとめた『都市を生きぬくための狡知』を読んだ。著者の文化人類学者の小川さやかさんは、タンザニアの都市ムワンザで自ら商人となった。

商いは古着の販売だ。古着をまとめて仕入れる卸売商と、それを一般の客に販売する小売商によ

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