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「儚い羊たちの祝宴」を読んで「なんでこんなおもろいん?」てなった

SNSで「面白かった」て言ってる人がいたから読んだ「儚い羊たちの祝宴」が、べらぼうに面白かった。

人が「面白かった」てストレートに言うものは大体本当に面白いよね。
それはそう。


米澤穂信さんの作品を初めて読んだんだけど、まず読み始めてすぐに「え、なんでこんな読みやすいの?」てなった。
ミステリーって大体、内容も文章も捏ねくり回されてて読みにくいことが多いって印象があるし、そういう思考回路の人がミステリーを書くんだろうから仕方ないんだと思ってた。
でも、米澤穂信さんの文章は物凄く読みやすい。
1文1文が水のように体に入ってくる。

しかも「なんで読みやすいのかな?」と思いながら読んでも私には「これだ!」となる理由が見つけられなかった。
あえて言うなら、一定の気持ちいいリズムがあって、読者の理解度に合わせて話を進めてくれてるからかな?てくらい。

とにかく「話に置いてかれてる感」が全くない。
ちょっと戻って確認しちゃう部分とか「何のこと?」「誰だっけ?」てなるようなことが全くない。

単語はいっぱい調べたけどね。
そしたら、他の人も同じように調べてて、米澤さんの名前とその単語が候補に出てきてたね。
「そんなのがあるんだー」てのと「え、そんなのは、無いの?!」てのがあって楽しかった。
あと、米澤さんのお顔も検索して拝見したら、お肌ツルッツルの優しそうな方が出てきて「この人がこの文章かー!わかるぅー!好き!」てなった。

米澤さんのお肌同様、書かれる物語も、どんなに人が死のうが血が出ようが苦しもうが、なんか全体が柔らかくて美しい。
女性が中心人物になってるせいもあるのかな?

そして、最後にフワッと足元掬われてひっくり返される。
天井見上げて「はぁー!」て言っちゃう。

すげーね。
どうなってんのこれ。

どうなってんの?すぎて、1話読み終わったとこで文章をノートに書き写したりもしたけど、仕組みがわからん。

私の母がよく「本当に美味しいものは、後から味を思い出そうとしても思い出せない」て言ってたし、夢野久作の「少女地獄」にも「本当に美しい顔は特徴がないから後から思い出せない」て書いてあった。
要するに、本当に洗練されたものは”引っかかる部分(クセ)”が無いから掴みにくい、ということだろう。

米澤穂信さんの文章も、上手すぎて読みやすさの仕組みがわからんのだろうなー。
ツルッとスルッと入ってくるのにめちゃくちゃ面白くて美しくて、たまにわざと引っかかりを作って「あ!これって!」て思わせてきて、それも含めてひっくり返して驚かすのよね。
カッコイイ。

あんな文章書けたいわー。
書けたい。
いいなー。

1冊読み終えたあと、感心しすぎて仏壇に供えたもんね。
おかんこういうの好きだったから。

という訳で早速つぎの米澤穂信さん作品を買ってきた。
2冊。
読むの楽しみね。

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