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【父と娘】忘れたくない記憶の記録〜最後の10年編②

新しい畑でのバナナ栽培。
バナナは割と希少で高級とされ、八百屋や
小規模店舗に出荷すると瞬く間に高値で売れた。

その頃仕事で懇意にしている八百屋さんがあり
プライベートでもよく利用していて、そこへ卸してみては?と提案した。はじめは距離的なこともあり渋々試しに出してみたところ、店員さんやお客さんの評判が良かったことに気を良くし、そこから畑仕事でずっとお世話になることとなる。

私はしてやったり、狙い通り、店のコンセプトと父の育てた作物の相性の良さを感じていた。ただ相手も気を使うだろうし、なんだか照れ臭いしどこまで続くかもわからない、プライベートで利用している店でもあったので、「父と娘」という関係を隠していた。

それからバナナは時期がくると、通りに面している畑という場所柄、畑へ直接買いに来るお客さんもいたとか。それはまた父の自慢話、作る喜びとなり次なる作物を育てるきっかけとなった。
バナナの時期が終わると木を倒し、耕し、以前チャレンジしたさつまいもを作った。ここでも小動物との戦いだった。
その後も土の改良からはじめ、図書館を利用し家庭菜園の本を読み漁り、テレビも栽培や販売まで多くを自己流で学び吸収していた。
ハード面もぬかりなく、雨水を貯めるタンクや井戸水をひいたり、しまいには電力と契約し電気まで通した。

葉野菜や芋類、もっと初期の頃にスイカやメロンも栽培しメロンはキレイな色で味がまるでダメだとなりその時限り、スイカは少しだけ続けた。

それから年々栽培時期などが定まり、育ててきたのがコチラ↓

バナナ
長ネギ
とうもろこし
ゴーヤ
へちま
オクラ
落花生
にんじん
だいこん
かぼちゃ
ブロッコリー
カリフラワー
パッションフルーツ
レタス
サンチュ
春菊
さつまいも
じゃがいも
なす
ピーマン

ほうれん草
玉ねぎ
冬瓜
etc...

もう思い出せない。作れないものはないかも。
有り余って腐らす時もあり。
暑い日も寒い日も毎日、一日中畑に出て病み上がりなのを忘れるほど没頭していた父。時折頑張りすぎて体調悪くしたり、けれども畑にいる方が元気だったり。こちらの心配を他所に無我夢中で畑仕事にやりがいを見出していたのだろう。

実は父が力を入れていたのはそれだけではなかった。これらの野菜を販売するルート営業も父はすごかった。一度父について行ったルート開拓。なりふり構わずズケズケと事務所に入っていき、売りたいけどどうしたらいいかと単刀直入に手続きを聞いて周り、私はちょっとだけ恥ずかしかった。しかし父の堂々たる姿よ。今思えば笑い話だ。

そうやって何件も周り、自分で育てた作物を自分で売り込む。仕事じゃないけど、え、父スゲ〜と素直に思った。

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