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s.u.n.d.a.y.s. (#1-#14)

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2018年に書いたものを加除修正しました。 大人の童話みたいな物語になっているといいな、と思っています。 カレー屋のたかひろくんと、みどりちゃんと、せつ子さんの、初夏から真夏の間…
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記事一覧

s.u.n.d.a.y.s. #1

たかひろくんはカレー屋だから、すごくおいしいカレーを作る。 おいしいとたかひろくんが思う…

チャミ
6年前
10

s.u.n.d.a.y.s. #2

みどりちゃんは小さな子供たちと遊んでいる。 みどりちゃんは週に四日ほど、公園の向こうの保…

チャミ
6年前
6

s.u.n.d.a.y.s. #3

白い漆喰の壁に赤い屋根の小さなお店。 誰にも言わずにある日たかひろくんはカレー屋を始めた…

チャミ
6年前
6

s.u.n.d.a.y.s. #4

雨が降っている。 雨の中、みどりちゃんは歩いている。 片方の手には水色の傘をさし、もう片方…

チャミ
6年前
6

s.u.n.d.a.y.s. #5

「いらっしゃい。」 お店を始めたころ、たかひろくんはそのひとことが言えなかった。 正確に言…

チャミ
6年前
7

s.u.n.d.a.y.s. #6

トン、トン、トン。 小さな木造の家の白い扉をそっと叩く。 表札には「片岡せつ子」と書いてあ…

チャミ
6年前
4

s.u.n.d.a.y.s. #7

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 このウチュウのすべては ゼロからキュウまでの ジュウのスウジにより あらわされている ムというじょうたいから ム・ゲンというじょうたいまで すべてがこの ゼロ・イチ・ニ・サン・シ・ゴ・ロク・シ チ・ハチ・キュウ というスウジに あらわされている (つきのみちかけにもにたそのカタチ) けれど もうひとつ そのおくの そのすべてをつくりだすもとがある ゼロをつくりだすもとがある ムをつくりだすもとがある そのぜったいてきな、お

s.u.n.d.a.y.s. #8

雨が降っていたので早めに家を出て、なんとなく花屋に立ち寄った。 少しひんやりとした店内に…

チャミ
6年前
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s.u.n.d.a.y.s. #9

雨の日は雨の音ばかりする。 街中がひっそりと沈黙している。 たかひろくんはカウンターの中で…

チャミ
6年前
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s.u.n.d.a.y.s. #10

「あと三ヶ月で死ぬんですか?」 みどりちゃんは言った。 「そうですね。今は五月なので、八月…

チャミ
6年前
3

s.u.n.d.a.y.s. #11

その女の子はランチが終わる時間ギリギリにやってきた。 「こんにちは。あの、入っていいです…

チャミ
6年前
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s.u.n.d.a.y.s. #12

チャイもカレーもすごく美味しかった。 初めて食べるインドのカレーなのに、なぜか懐かしいよ…

チャミ
6年前
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s.u.n.d.a.y.s. #13

物語というものはいつも唐突に始まって唐突に終わっていくもので、この物語も唐突に始まり、唐…

チャミ
6年前
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s.u.n.d.a.y.s. #14

「郵便です。」 開店前のお店に午前の真夏の日差しが光線のように差し込んだ。 受け取った一通の絵葉書には、ふくよかな象の姿の神さまが描かれていた。 差出人は、せつ子さんだった。 絵葉書からは、乾いた砂ぼこりと、ゆったりと流れる時間の匂いがした。 たかひろくんのまぶたの裏に、あの大きな川から見た大きな太陽が浮かんだ。 「本当に行ったんですね。」 開店前のカウンターで冷たいチャイを飲んでいたみどりちゃんが、絵葉書を眺めながらしみじみと言った。 「ね。」 「天国かぁ。せつ子さん、本