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陰陽論がスゴイっていうはなし①

突然ですが、こんなマーク↓↓↓ 見たことありますか?

太極とか陰陽図とか呼ばれるマークです。ちなみに私がこのマークを初めて見たのは、B級ホラー映画「霊幻道士(※)」だった気がします(古い)。
(※)もしくは幽幻道士。キョンシーが出てくるやつ。

この陰陽図は「陰陽論(陰陽思想)」の世界観を表現した図柄で、今回はこの陰陽論がめっちゃ凄いよ!というお話です。陰暴論ではないです。

ちなみに「陰陽」の読み方は「いんよう」でも「おんよう」でも「おんみょう」でもなんでもいいようですが、「おんみょう」っていっちゃうと陰陽師とか安倍晴明的なオカルトチックな感じに聞こえちゃってアレなので、私は「いんよう」って読んでます。

陰陽論って何?

陰陽論は東洋の思想哲学(仏教とか儒教とか道教)に共通する根源的な思考のフレームで、端的に言えば

「世の中のあらゆるモノやコトは、必ず”陰”と”陽”の二つの性質を持つ」

という考え方のことです。

上の図のように「」は成長とか発展という形で、自分の外側に向かっていく(放っていく)性質を表します。逆に「」は充実とか革新という形で、自分の内側に向かっていく(溜め込んでいく)性質を表します。具体的な例で色んな物事を陽と陰を対比すると以下のような感じです。

東洋思想ではこのように、世の中のあらゆる物事を常にの両方の側面からスポットライトを当てて考えるわけです。

って、そんなこと改めて言われるまでもなくて感覚的に「うん、まぁそうよね」という感じだと思います。それもそのはずで、現代に生きる私たちの一般的な感覚からすると「物事を2つの側面に分けて考える」という思考アプローチは基本中のキホンであり、わざわざ教わるでもなく無意識のうちに使っている思考法だからです。(この無意識に使っているというあたりがミソなのですが。詳しくは後述)

それって二元論?

西洋思想の中で生まれた思考のフレームワークのひとつに二元論があります。二元論をググると以下のように定義されています。

にげん‐ろん【二元論】 (デジタル大辞泉)
1 異なった二つの原理で、あらゆるものを説明しようとする考え方。
2 哲学で、世界を相対立する二つの原理によって説明しようとする立場。精神と物質との二実体を認めたデカルトの物心二元論など。
3 宗教で、世界を光と闇(やみ)、善と悪など、相対立する二つの原理の闘争として説明する立場。

2つの相反する要素によってこの世のあらゆるものを説明しようとする、といったあたり、上で紹介した陰陽論の話ととてもよく似ていますね。例えばコンピュータの世界を構成する最小単位デジタル(Digital)の考え方などは、まさに二元論の賜物と言えます(0と1ですべてを制御している)。

二元論と陰陽論はどこが違うのでしょうか?実は色んな点で両者は異なるというのが主旨なのですが、二元論は「分けるだけ」という点が大きな特徴です。陰陽論でいうところの「陽=成長、発展」とか「陰=充実、革新」といった要素に対応した意味付けは二元論にはありません。二元論では、とにかく物事を「2つに分ける」ことが何より重要でした。なぜなら、未知のモノやコトに出くわしたときに、「2つに分ける」ことを繰り返していけば、やがてそれが一体何なのか説明がつくと考えられていたからです。

例えば以下のようなかんじで。

事実、この二元論を駆使して科学はガンガン発展してきたわけです。上のイメージのように「事象を細かく細分化していけば、いつか真実にたどり着ける。この世の中で分からないことなど無い!」と信じられてきたわけです。とくに物理とか化学とか生物学とか天文学といった自然科学は目覚ましい発展を遂げ、その結果、医学が発達して今や人間の寿命も延び、宇宙にも行けるようになったり、インターネットができてこうやって誰かとつながれるようになったことを考えると、二元論というのは人類にたくさんの恩恵をもたらした凄い発見だと思います。だからこそ、私たちが学校で教わる内容の多くは二元論に基づいたものが多いです。だってこの二元論でこの世界が革新的に進歩してきたのは否定しえない事実であり、それを是として学校教育に組み込むのも当然な流れです。(私たちが無意識レベルで二元論で物事を考えるクセが染みついてるのはココにある)

でも最近になって

「あれ?二元論で世界のすべての物事を説明するのって無理ぽくない?」

という感じになってきました。いまも毎週のように世界のどこかでテロ事件が起きてますし、アフリカの貧困問題は私が子供の頃からあるのにいまだ解決していません。先進国でも差別やイデオロギーの問題は激しくなる一方です。

二元論で説明できないものとして、例えば「」があります。何が善で何が悪かなんて、人によって全然違うわけです。どこぞの誰かが決めた「これがで、これがです」という分けを、受け入れられない人は必ずいますし、反発が生まれるのは必然です。「男性女性」の二元論も根深いです。どこぞの誰かが決めた「これが男性で、これが女性です」という分けを、どうしても受け入れられない人は必ずいるわけです。この世界を「善と悪」とか「男と女」という二元論で捉えて収めようとするのはもやは不可能な時代になったのに、なお二元論で捉えようとする人がいる限り、この世からテロや偏見・差別はなくなりません。

そんな混沌な世界において今見直されているのが、冒頭で述べた陰陽論であり、東洋思想です。陰陽論のスゴさは色々とあるのですが、今回は以下の3つを紹介しておきます。

・矛盾もOK!
・取りこぼさない!
・未来予知もできる!

ココが凄いよ陰陽論①矛盾もOK!

二元論では「矛盾」は認められません(そもそも相反する要素で2つに分けるころから出発しているので当たり前なんですが)。ところが陰陽論は、なんと矛盾を内包した表現ができるんです。どうやって矛盾を内包するのか?というと、冒頭に紹介した陰陽図を見れば一目瞭然です。

※わかりやすく二元図も隣に並べてみました。

「矛盾の内包」をどこで表現しているか、もう分かりますよね?w

両方の要素の中にある、丸いヤツです。○●←コイツ

たとえば「善と悪」を陰陽論で捉えてみると、「善」の中にも「悪」の部分があり、同様に「悪」の中にも「善」があることが表現できます。「男と女」でも同じです。「男」の中にも「女」があり、また「女」の中にも「男」があるということを表現できるわけです。陰陽論で「テロとの戦い」や「性差別」の問題を捉えてみたら、少なくとも二元論を振りかざされるよりは互いに歩み寄って対話する可能性が出てきそうな予感がしませんか?

これが、いま陰陽論が注目されている一つ目の理由です。
「正解がない問題」の際たるものである、矛盾を含む問題を陰陽論なら捉えることができるからです。

残りの「ココが凄いよ陰陽論②③」は、①が長くなったので次回に。。。

つづく。

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