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東洋の哲学まとめ

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東洋の哲学(主に仏教、禅、儒家、老荘、神道)について書いた記事が増えて来たのでまとめました。哲学以外のも混じってるかも。
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#禅

[東洋思想]オススメの入門書(仏教・禅編)

こんばんは!🌙 前回に引き続き、東洋思想の入門書としてオススメの本を紹介します。 前回は「儒教」編でしたが、今回は「仏教・禅」編です。 ルールは儒教編と同じで、以下の観点を重視して本を選んでいます。 1) 何度も読み返したくなること (≒実際に私が折に触れて読み返している) 2) 読みやすいこと (≒アカデミックで難解な解説が続くような本は辛い) 3) 実績があること (≒ベストセラー。広く親しまれている) と言っても、これらの「観点」に基づくスコアリングは私の主観によ

「禅の極意」を漫画化してみた

前回の記事で紹介したWorld Makerを使って、過去に自分で投稿した記事を漫画化してみました。 有名な作品やコンテンツを漫画化するならともかく「自分で書いた記事を自分で漫画化するってどないやねん」とセルフツッコミを感じつつもWorld Makerの操作に慣れてきたこともあってサクサクと作ってしまいました。 ちなみに漫画化した自分の記事はコチラ👇 (2019年10月・・・2年も前なのかコレ) まぁ、自分で書いたといっても、元ネタは有名な禅の昔話なので、完全なオリジナル

ほんとうの自由を得る方法

以前、『自由』についてこんな記事を書いたことがあります。 私たちが日常的に使っている「自由」という言葉は、じつは19世紀末に西洋から持ち込まれた概念で、古来より東洋に存在する「自由」とはちょっと違うらしいよっていう内容です。 で、最近、改めて鈴木大拙さんの著書を読み返していたら、他にも「自由」について面白いことが書かれていたので紹介します! おさらい:西洋の「自由」と東洋の「自由」まず、西洋の「自由」と東洋の「自由」の違いを改めておさらいします。 西洋における「自由」

「肘は外に曲がらない」-『自由』の本当の意味

前回に続き、禅ネタです。 『禅(ZEN)』が世界的に普及するまでに至った最大の功労者で、海外に思想的な影響を与えたもっとも有名な日本人、鈴木大拙博士が感銘を受けた言葉があります。 それは 「ひじ、外に曲らず」 です。 まぁ、当たり前ですよね笑 たまに「仰天ビックリ人間」とかでものすごい角度に曲がる人も例外的にいますが、ふつう肘は外に曲がりません。それは子どもだって大人だって同じです。日本人だってイギリス人だってブラジル人だって変わりません。みーんな同じです。それが

「と」から「の」の関係に変われば世界はもっとよくなる

先日、とある雑誌で、日本を代表する禅学者「鈴木大拙」の特集が組まれていたので読んだところ、思いがけずとってもステキな考え方を見つけました。 それは より多くの人が「と」から「の」の関係に変わっていけば、世界はより良くなる。 という考えです。 どうですか?ステキですよね! ・・・ってなると思うので、順を追って説明します。 そもそも鈴木大拙って誰? 鈴木大拙(本名:鈴木 貞太郎) 1870-1966 歴史上の日本人の中で、海外に最も大きな思想的影響を与えたのは間違

「禅」とは、盗みの極意を得ること

前回につづいて、今回も「禅」のおはなしです。 その昔、中国(宋の時代)に法演という高名な禅僧がいたのですが、その人がこんなことを言っています。 「もし、人から『禅とは一体どういうものですか?』と聞かれたら、私ならこう答えるだろう。『野盗が盗みの極意を得るようなものだ』と。」 「禅」というと、お寺で坐禅を組んで瞑想状態に入って精神統一して・・・みたいなイメージが一般的かと思います。それが犯罪行為と一体何の関係があるのか不思議ですよね。 法演さんが残した次の説話を読むと、

「禅」と「科学」を比べてみた

普段私が使っている手帳には、最後の方に「人から聞いた話や講義メモなどを書き留めておくスペース」が何ページあるのですが、先日そのページをパラパラめくって見返していたところ、以前どこかの講義でメモしたと思われる内容がちょうど最近読み終えた本の内容とリンクして整理できたので紹介します。 禅と科学の対比メモしてあったのは「禅」と「科学」を対比した(と思われる)以下のような表を走り書きしたものでした。 何の講義のメモだったかわかりませんでしたが、日本を代表する禅学者である鈴木大拙さ

ニッポンの勤労観② 禅編

前回に続き、「日本人の勤労観の原点」、つまり日本人にとって「はたらく」ことって元々どういうことだったの?を紹介します。 前回は、稲作を通じた「神様との共創」という考え方が、日本人の勤労観の原点にあったと紹介しました。日常的におこなう仕事のひとつひとつが、この世界をカタチづくる「神様」に繋がっている。だから毎日の仕事を丁寧にやるんだという、世界でも他に類を見ない崇高な精神性です。これは日本古来の土着信仰である「神道」の世界観からくるものですが、一方で日本の外から取り込んだ世界

禅問答に見るポジショニングの本質

私が半年前から通っている近所の禅寺では、最後に住職から10分程の講話の時間があります。先日参加した際、その講話で有名な禅問答の1つを解説頂いたのですが、それを聞いて「スティーブ・ジョブズが禅から取り入れた思想って具体的にこういうトコなのね」と、繋がったところがあったので紹介します。 そもそも『禅問答』ってなに?そもそも『禅問答』って何?という方もいるかもしれないので簡単に説明しますと、禅問答を一言で言うなら「禅における師匠と弟子の会話のやり取り」です。禅も仏教なので、最終目

般若心経とアート②

前回の続きです。 日本で最もポピュラーなお経である「般若心経」と「アート」の関係について考えてみます。 色即是空ってなに?般若心経の中で最も有名な四字熟語といえば「色即是空」です。般若心経は知らなくとも「色即是空」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 「色即是空」は、そのまま直訳すると 「”色(しき)”って、”空(くう)”なんですよ!」 と言ってるわけなんですが、これだけ読むと「は?」となってしまいます。 まず、ここで言う”色”とは私たちが想像する「色

般若心経とアート①

昨年末から、近所の禅寺で「座禅」と「写経」を始めました。 臨済宗のお寺なので、座禅は臨済禅の作法で、写経は般若心経を使います。もともと座禅に興味があって通い始めたのですが、そのお寺では「座禅と写経」がセットになっており、座禅だけやって帰るわけにもいかない雰囲気でした。なので当初、私にとって写経はオマケのようなものだったのですが、回を重ねていくうちにだんだん写経(というかお経)に興味が沸いてきました。なぜ興味が沸いたかというと、 般若心経は、たったの「262文字」しかないお

ジョブズの価値観の源泉にあるもの②

で、ようやく本題です(汗 道元さんの死生観はどこから来たのか? 前回のポストで述べた通り、スティーブ・ジョブズの死生観に影響を与えたのが曹洞宗の開祖・道元さんの教えだとするなら、その道元さんはいったい誰の死生観に影響を受けたのでしょうか? もちろん、現代でも続く仏教の一派を開いたくらいですから、道元さん自身の波乱に満ちた人生の中から出てきた死生観は当然あると思います。 それに加えて道元さんの影響を与えたものがあるとしたら、それは儒家(孔子)の思想だと考えられます。な

ジョブズの価値観の源泉にあるもの①

前回のポストで、「誰かの死生観は、その人自身だけでなく、別の誰かの人生観や世界観として大きな影響を与える=誰かの価値観をアップデートさせる源泉になる」と述べました。 今回は、その具体的な事例として、誰もが知っている革新的イノベーターであるスティーブ・ジョブズについて考えてみます。 スティーブ・ジョブズについて スティーブ・ジョブズについては今更説明も不要なくらい有名な方ですが、一応軽く触れておきますと、Apple Computerの創設者であり、MacintoshやiP