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手りゅう弾に花を。

6月21日付の西日本新聞でとてもきれいな写真を見かけました。赤いバラが すっと挿してある一輪挿しの丸くてかわいらしい陶磁器。緑の木漏れ日を背景にその写真はため息が出るほど美しいものでした。記事のタイトルは「戦禍残照/モノは語る」。え?

実際の写真は10cm四方あまり。かなり大きく掲載されており、「戦禍残照」のタイトルとのギャップに新聞をめくる手が止まりました。流行りのアイキャッチ画像かと最初思ったほどです。新聞もこんなイメージ画像を使う時代になったのかと一人早合点しました。その写真の陶磁器が手りゅう弾だったなんて、記事を読んだ後もまだ信じられませんでした。

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バンクシーの「花束を投げる男」を思い出しました。火炎瓶の代わりに花束を投げる男のイラスト。バンクシーの代表作品のひとつです。

バンクシーのイラストは痛烈な風刺だけど、この陶磁器は現実の武器として使われたことに愕然とします。戦争で物資が不足したからといって、鉄の代わりに陶磁器で武器を作るなんて。風刺にさえならない茶番のごとき代物を我々はかつて作っていたのか。そう思うと悲しくて悔しくて情けない。

戦争のための武器として使うのか、平和を愛し花瓶として使うのか、使う人の考え方ひとつで変わるのだと この記事は書いていました。戦争と平和、手りゅう弾と花瓶、恐ろしさと可愛らしさ、幾つもの矛盾をはらんだこの一枚の美しい写真から私たちはどんなメッセージを受けとることができるのか、その力が試されている気がします。

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