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東大生の私が、初めて身体を売った、あの日のこと。


0が1つ多いよ

「はい、これ。」

ラブホの、ちっちゃなテーブルの前。約束してた5万円が入った、小さな茶封筒を渡してくれた。

すごい、本当にお金渡してくれた。まだ何もしてないのに、お金を渡してくれちゃった。怖い。これもらったら、もう何も断れないよね、私。

怖い。ちょっぴり、手が震えちゃう。頑張って手を伸ばそうとしても、何だか手先が震える。変な感じ。

でも、全部は、これをもらうために来たんだった。

え、5万円、マジで・・・?

0が1つ多いよ。

でも、全てはここから始まったの。

初めて入ったラブホテル

Twitterで出会った「パパ」と会う予定。

お金が欲しくて、人生で、初めて、身体を売ってみた。

彼は仕事で忙しいらしく、夜中の1時に池袋の近くにある公園で待ち合わせしていた。すぐ隣に、行く予定のラブホが見える。夜中の1時だよ。こんな時間に池袋来たことないわ。終電で帰るとかじゃなくて、終電で家から池袋に向かったっていう。夜職の女にしても、この時間に家出るの、ないやろ。

「マジで私、終わってんな。」って感じだよね。

でも何で夜中の1時に待ち合わせなんだろ。こういうの、(Twitterの)DMで聞きづらいしね。なんか、とりあえず会えるならOKしちゃった感じ。それはそうと別に私も何か用事あるわけじゃないし、どうせ家にいても寝るの3時とか4時だし。明日、日曜日だし。明日っていうか、もう今日だけどね。

てか、寒っっっ。

ミニスカートに生足で待ち合わせして欲しいって言われたから、そうした。でもさ、こういうのって、結局あとですぐ全裸になるし、ミニスカート履いてて何が嬉しいんだろって正直思った。でも5万もいただくし、服装くらい、言われた通り着るよ。

いやでも、寒っっっ。先週までぽかぽかだったのに、今日何でこんな寒いんだ。おかしいやろ。

池袋駅近くの公園、意外にも夜は静かだなぁ。ちょっとヒール高めのショートブーツ履いてきたから、足音、めっちゃ響く。自分の足音だけが響くのって、割と恥ずかしい時ってあるよね。いかにも私存在してます感、あんま良くない。

0時40分くらいだ。

はぁ震える。足がガチで震える。身体売るのが怖いっていうか、それ以前にさ、性行為するの半年ぶりくらいだから、そっちの方が怖い。そもそも経験人数、これでやっと2人目だし。

やばい、ヒール履いてきたのミスった。思った以上に緊張して足震えるわ。

Twitter見よ。スマホ触ればだいたい落ち着くよね。その人、なんか呟いてるのかな。

何も呟いてないわ。

「いいね」履歴も見よ。

んー全然いいねも更新されてないわ。大丈夫かな。冷やかしかな。本当に来るかな。

「早めに着いたのでホテル前の公園で待ってます。」

とりあえずDMで送っといた。

寒いと脚擦りたくなるんだよね。体温でちょっと温まるみたいな。にしても、ほんと私、脚太ってて嫌。生足でミニスカート、ほとんど着たことないから、こう見るとマジで太ももうざい。頑張ってお金貯めて、脂肪吸引に行きたいのよね。一番安くても50万くらいかかるから、マジで身体売らないと無理なんだよなぁ。スペ120くらいになりたい。

「スペ」とは身長から体重を引いた数値のことである。この数値が高ければ高いほど身体が細いことになることから、120程度が理想とされることが多い。

筆者注

美容外科の脂肪吸引って、何であんなに高いんやろ。9万円〜からできますって広告打っておいてさ、カウンセリングに行くと90万円(笑)とか。

バカかよ。

てかまじで90万ってどーゆーこと!?何をどうしたらその値段になるの?ホストだけじゃなくて、そのうち美容外科医まで風俗斡旋してきそう。笑い事じゃないわ。てかあの美容外科クリニックさ、問診票の職業欄で「夜職」かどうかチェックする欄あったのよね、やっぱ絶対狙ってるよな。夜職やってたらカモだから詐欺れるって。

それはそうと、もう約束の1時になったけど、まだ来ない。

あっ、DM来た。

「駐車場探してて、すぐ着きますのでもうちょっとだけ待っててください!申し訳ないです!」

そっか、この近くだと駐車場探すの大変やんな。あぁぁぁぁ早く来てくれ〜マジで寒いし脚震えてて倒れそう。心拍数そんな上がってないのに、なんか脚の震えがやばい。インスタ見よ。

「脂肪吸引DT3日目の経過!!」

「7日で10kg痩せた私のナイトルーティン!!!!」

「20代女子さんにオススメの国家資格!!」

(FP3級)

アホくさ。

はぁぁ、まっじで、しょうもなっ。普通に東大入れよ。まぁ入ってもこのザマァだけどな爆笑。てかさ7日で10kg痩せたとか、物理法則に反してるだろ。でも、信じちゃうバカいるんだよな。東大でパパ活やってる子いるかな、知り合いたい、マジで。というかパパ活じゃなくて、整形してる子とかいないかな。私と一緒に、パパ活の沼に引きずり込みたい。

すごい、たったこの数十分で性格悪くなった気がする。もっともっと性格悪い夜の女になりたいなぁ。

あっ、てか前髪、大丈夫かな。

暗くてあんま見えへんけど、大丈夫そうやったわ。

意外と何も思わなかったあの夜


「あっ、えんの子?」

「えん」とは「援助交際」の略語・隠語である。「援助交際」はさらに売春の隠語である。Twitter上で「えん」と検索すれば、無数に投稿が見られるなど、多用されている隠語である。

筆者注

「あっっっっ、はっい。」

やっべぇ、びっくりした。インスタ見てたら急に彼が来た。

え、なんか、すごい、背高くて、ちゃんと髪セットしてて、前髪あげてる。

クソキモチー牛かと思ったら、外資系にいそうなサラリーマンみたい。

え、やば、普通に好感度、高い。

「めっちゃ可愛いね。」

「え、ほんとですか。」

照れちゃった。恥ずかしい。可愛いって褒められるとシンプル嬉しいんだよな。

無口なタイプなのかな。勝手に歩き出したから、後ろ着いていこ。あのホテルなのかな、てかラブホ入るのガチで初めてなんだけど。

「寒い?ごめんね。」

「あっ、いえ、大丈夫です。」

嘘、余裕で寒い、最初からこんな服着させないでくれ。でも、後ろ姿、好き。スーツなのかな、スーツっぽいフォーマルなジャケット、なんていうか私も良くわかんないけど、ITコンサルの人が「ビジカジュ」とかって言って、着てそうなやつ。

アクセンチュアなのかな。アビーム?

「アクセンチュア」「アビーム」とはいずれも大手ITコンサルティング企業である。高学歴大学生の人気就職先として有名であり、特に東大生なら誰でも知っているであろう企業名である。

筆者注

待ってこれ、ワンチャン東大OB?うなじの髪の毛もすごい整ってて、背高くて、カッコよ・・・。

ラブホに入った。人生初のラブホ。日本人なら誰しも知る、ラブホ。

うそん、狭すぎん?びっくりするくらい受付が狭い。

彼がホテルのフロントでお金を払った。私が払うわけでもないから、隣にいるのが少し気まずい。ちょっと後ろで待ってよ。結構新そうなラブホなのに、ルームキーが昔ながらの鍵のタイプだ。すご。このままついていけばいいのかな。何階なんだろ。エレベーター乗るのかな。

てか、この人、本当に無口なんだ。何も喋んない。ビシッとしてるのはかっこいいんだけど、ちょっぴり怖いのが否めない。

エレベーター待ってる時も、あんまり私の方も見てこない。顔見たいけど、覗き込むんじゃう感じになっちゃう。さっき公園も暗かったから、あんまりはっきり顔見れてないのよね。でも今、顔を見たところでしょうがないし、見ないでおこ。目あったら恥ずかしいしね。

エレベーター暗っっっ。え、ちょっと怖い・・・。

「いいよ。」

「あっ、ありがとうございます。」

先に乗せてくれた。気配りすごい。かっこいい。私もこういうの言えるようになりたいな。

「えん、初めてなの?」

「えん」とは「援助交際」の略語・隠語である。

筆者注

「はい。」

「そうなんだね。」

ひゃっっっっ。

急に髪の毛触ってきた。一瞬背筋縮んじゃった。やばい、死ぬほどびっくりした。

「可愛いね(笑)。」

なんやねんマジで、ドSなんかコイツ。心臓に悪いからやめてくれ。

彼がドアを開けて、部屋に入った。とにかく狭い。すごい狭い。今日履いてるショートブーツ、割と脱ぎにくいんだよな。なんでよりによってこんなに玄関狭いんだろ。とりあえず部屋に上がった。ちっちゃいテーブルと椅子があって、壁掛けのテレビがあった。灰皿もある。ちょっとタバコ臭い。なんじゃこりゃ。思ってたのと違うわ。おっきいベッド。あとはお風呂とかもある。

隣の部屋がすごい騒いでる。女子会かな。女の子何人もいそうな感じ。ラブホで女子会やるんや、すごい世界線。

「はい、これ。」

ん?

わぁ!

お金!!!!

そう、全部は、これをもらうために来たんだった。

ちっちゃなテーブルの前。約束してた5万円が入った、小さな茶封筒を渡してくれた。

「後払い」とかって言って、事後に私がお風呂入ってる隙にお金払わずに逃げていっちゃうパターン。めっちゃ心配してた。

でも、ちゃんと「前払い」でくれた!!!!!

手が震えてて、封筒が上手に掴めななかった。

お金だ!!!!5万円!!!!!

やばい死ぬほど嬉しい。この5万円のために今日夜からずっとメイクして小顔ローラーでゴロゴロ顔のむくみとか取ってたんよな。アイライン引いてはなんか違うってなって重ね塗りしてあぁぁぁやっぱ違う!!って引き直しまくって格闘してたのよ。

「大丈夫なの?(笑)」

「あっ、ありがとうございます。」

明らかに挙動不審になってる。でも、すごい優しい。

「本当にこういうの初めてなんだね(笑)。」

私目線からしたら結構若そうな、自分で30代くらいって言ってたお兄さんだった。見た目、27歳くらい、そんな感じ。まぁどうでもいいんだけど。若いだけで、だいぶ精神的にマシ。

「ほんと、ありがとうございます。」

「うん、ちゃんと、確認しな。」

「え?」

「いや開けて、枚数、確認しといて。後で違うって言われてもあれだし。」

はぁぁぁぁぁぁ・・・マジで優しすぎてびびった。

私が一番怖がってたの、これ、ヤリ捨て。封筒に子供銀行券入れてるパターンとか、5万円の約束なのに1000円札5枚入れて誤魔化すパターンとか、Twitterでめちゃくちゃ予習してたやつ。ヤリ捨てがめっちゃ多いから、絶対「前払い」にして枚数も確認しとけよって、色んなお姉さんが言ってた。

でも、それ聞くのめっちゃ怖くね?

元からドチャクソコミュ障の陰キャがさ、敵対心丸出しで「お金、カッカッ確認していいですか?」とか死んでも聞けないよね、そんなの。殴られて、レイプされそう。

それにしても、確認してって言われて実際に枚数数えるのも怖いな。お金数えるの、練習してこなかったのが悪い。親からお小遣いもらう時に誰も枚数なんて気にもしないし、疑いもしないから、言われてみればお金を数えること、私、したことないし。お店でお釣りもらう時とかも、普通は何も疑わないしね。

いや数え方とか思いつかんわ今すぐ。ちょっとわざとらしく、あんまり疑ってない風に数えよっと。本当は内心めちゃくちゃ疑ってるんだけどね。諭吉の真ん中の透かしとかも見たいけど、やめとくわ。流石にそこまでの偽札はありえんよな、普通は。んーでもガチで偽札だったらどうしよう。優しそうに見えて実はアッチ系の人とかで偽札持ってるとか有り得るしな。

んーでも偽札って知らないで渡されても私に責任ないよな。

やばい、また挙動不審になっちゃった。3秒くらいの一瞬が3時間くらいに感じちゃった。

え、でも、すごい、本当に諭吉5枚だ。

え、諭吉が5枚・・・。

いや、まって、やばい。本当に諭吉が5枚だよ。

ねぇ。やばい。5万円。

0が1つ多いよ。

トートバッグに、そっと閉まっておいた。

「嬉しい?」

「うん(笑)。」

やばい、笑顔があからさますぎて、本当に申し訳ない。

「じゃあ、しよっか。」

きゃっっっっっ。

急にベッドに押し倒された。ねぇぇ待って、ピアス外したかったのに。

うっっん・・・。

こうして、私は、人生で初めて、身体を売った。

あるパパ活大学生と友達になったこと

「ありがとうございました。」

「ありがとうね!めっちゃ気持ちよかった(笑)。」

「よかったです。こちらこそありがとうございました。」

ホテルを出て、彼に軽くお辞儀したら、解散した。

もう朝の4時半や。

やばい、なんか吐き気する。あと下腹部が痛い。

半年ぶりくらいにやったからかな。すごい違和感ある。

え、どうしよう。すごい疲れた。言いなりの行為、思ったより精神的に疲れる。痛くても言えないし。すごいお腹痛い。そんなに不快な行為されたわけじゃないけど、初対面の名前も知らない人とやるの、思ったより精神的に来るなぁ。そのせいで肉体的にもすごい疲れる。もっとギャルみたいなっていうか、陽キャみたいなテンションだったらさ、してほしくないこととか言えるかもしれないけど、私も彼もコミュ障やったから、とにかくひどかったわ。

あと、めっちゃお腹空いた。そろそろ始発も来てるかな、とりあえず池袋駅戻ろっと。

ちょっと待って、すごい、お腹痛い。最寄駅から家まで少し距離あるし、だるっ。

待てよ、私、5万円もらってるぞ。てことは、タクシー乗っても余裕じゃない?

わぁ、ほんと、お金持ちなっちゃった。5,000円分乗ってもまだ4万5,000円も残る。そもそもタクシー5,000円もかからんし。家の近くのコンビニにおろしてもらおっと!ご飯買って食べて寝る!!

スマホに入れてたDiDiの配車アプリ、結局タクシー高くて全然使えないのよね。すごい、でも今は、平気でタクシー呼べちゃう、3分くらいで来るらしい。待ってよっと。

そういや、前から色々パパ活教えてくれてた大学生のお姉さんからLINE来てた。私が今日初めて身体売ってみるってことで、本当に親身にアドバイスしてくれたお姉さん。めっちゃ綺麗な、年上のお姉さんで、頭もいいし、優しくて、憧れ。

「今日どうだった?」

「わぁお姉さん!!もしかして時間待ってくれてたん?」

「うん!お姉さん心配やったしちょうど課題やってたし大丈夫!」

「うえーん優しすぎ泣いた。ちゃんとお金もらえたし解散できた!」

「うおおおー娘よ、、お姉さん嬉しすぎる!早く帰って寝な!!」

タクシー乗ってとりあえずコンビニ着いた。コンビニのカップデリってすごい健康的そうで美味しいけど、高いよね。でも、今の私なら、大量に買えちゃう。

タクシー乗って、コンビニでこんなに買っても、まだ5,000円も使ってない。

4万5,000円も残る。ちゃんと貯金して、やりたかった整形に使おっ。

沖縄に連れて行ってくれたあの日

「再来週とか空いてるん?」

あれから1週間経った。あのお姉さんからLINEが来た。

「ちょうど駒場祭らしいから、バッチリ空いてる!」

今年の駒場祭、オンラインなのよね。正直全く興味ないし。

駒場祭とは毎年秋頃に開催される東大の大学祭である。

筆者注

「私さ、友達と再来週沖縄のハレクラニに3泊行く予定だったんだけどさ、その子がコロナかかっちゃって、多分体調回復しても沖縄連れて行くのしんどいから、代わりに一緒にいかない?」

ハレクラニって、めっちゃ高級なホテルやん。インスタでフォローしてる女の子がよく投稿してて、勝手に憧れてた。天国みたいな場所。

ハレクラニ沖縄は日本屈指の超高級リゾートホテルであり、閑散期であっても1泊10万円にものぼる。

筆者注

そんな場所に3泊も連れて行ってくれるなら、絶対行く。ちょうどお姉さんとも夜職のことで色々喋りたかったし、いくわ。

お姉さんは京都の大学生。予約してたらしい飛行機が伊丹空港から那覇まで向かうやつだから、京都までの新幹線も取ってくれた。しかもグリーン車。乗ったことないけど、すごそう。マジで女神。

快諾。絶対、行く。

それからまた2週間くらい経った。

新幹線に乗って京都駅まで行った。そして京都駅からお姉さんに言われた大学のキャンパスまでタクシーで移動した。

受験の時に第2志望的な大学だった。親が東大じゃなくてこっち受けろって言われた大学。でもとにかく東京に行きたくて、結局は東大受けて受かったけどね。とはいえども実はあんまりちゃんとキャンパスの中に来たことがないから、位置関係がよくわかんない。東大みたいに入口が何個もあったりとか、そんな派手じゃないから、迷うなこれ。てか東大の私がキャリー持ってこの大学の中に入るってマジでどういう状況なん。恥ずかしいわ。

「わ!お姉さん!」

「ごめーんさっき用事終わったばっかで、マジで待たせちゃってごめんね。」

お姉さん・・・。背も程よく高くて、信じられんほどスタイル良くて髪質もいい。本当に綺麗で可愛い。

正直、嫉妬する。でも優しくて頭良くて、嫉妬できない。っていっても、地頭勝負なら私の方が偏差値高いけどな。いやあかん、下品やわ。こういう考え方、よくない、直したい。

その日はお姉さんの家に泊まらせてくれた。一人暮らしにしては絶対あり得ないほどの大きなマンション。芸能人が住んでそう。

いくら京都にしてもだいぶ家賃かかるやろこれ・・・。

キッチンの中に埋め込まれてるタイプのオーブンレンジに、食洗機。

おい!!うちの実家にもこんなのねーよ!!どういうこと!!

ウォークインクローゼットもある、開けたらバーキン全部揃ってるのかな。流石にバーキンはなかったぽい。でもCHANELのココハンドルがあった。初めて実物見た、めっちゃ上品で可愛い。これ、欲しい・・・。

どこのブランドかはわかんないけど、重厚感半端ない高そうなスカートばっかり。普段なんてウサギオンラインの洋服で満足してる私。靴箱にFENDIのブーツとスニーカーがあった。これはあんま好きじゃないかも。スタイルの悪い私には、たぶん似合わない。

リビングのローテーブルにGRAFFのネックレスみたいなのがあった。こんなの、インスタでしか見たことがない。実在するんだ。存在感やばすぎる。

ヴァンクリのネックレス、四つ葉の、やば・・・。

「ねぇ、お姉さんって家賃自分名義で払ってるん?」

「んー私もよくわかんない!!」

いやマジで、なんやねん。

まぁ正直、聞く気にもならんけど、誰だろう、払ってるの、気になる。てか、こういうさ、他の人に払ってもらってるパターンって、結構やばくね。なんか裏事情的なのあったらさ、家の中にあるものとか、最悪差し押さえられるやん。時間あったら、登記見てみよ。

夜は、お姉さんと一緒に寝た。サータっていうブランドの、めっちゃデカいベッド。寝心地が良すごすぎて、もう言葉が出ない。

お姉さん今日大学で疲れちゃったのかな、すぐ寝ちゃったっぽい。

でも、私、隣で少し悲しくなってきた。私よりちょっぴりだけ年上なのに、こんなすごい楽しそうな人生送れてる。難しそうな勉強してて、正直知能が大学受験で止まってる私からして、どういう勉強してるかわかんないから、なんとも言えないけど、すごい頭も良さそうだし。

脚、ほそっっ・・・。傷もアザも一つもない、血色良くて、真っ白な、太ももから足首まで一直線の、すらっとした脚。スペ120くらいありそう。なのに胸もデカい。寝てる時にちゃんと谷間がずっしりなってるこれ、エロいわ。

なんで。シンプル、なんで。
こりゃ何百万でも貢いで抱きたくなるでしょ・・・。私でも興奮するんだけど。

このお姉さんに、子供産ませるために、お金持ちなら、何億も出しそう。

翌日のお昼頃に、お姉さんと一緒に伊丹空港まで来た。国内線ファーストクラスだった。シャンパンに機内食もあるらしい。

伊丹空港の北ウイングに入るとそこから2階のファーストクラスチェックインカウンターに上がる。普通の入口の隣にある。赤と茶色が基調のシックな空間。めちゃくちゃ高級感ある。ファーストクラス利用客と上級会員専用らしい。

正直、飛行機なんて、小さい頃に一回だけ北海道行った以来、乗ったことない。ファーストクラスどころじゃないんだよね。普通にこれはビビる。まぁでもスタッフさんも優しいし、お姉さんについていくだけ、私にもできるしな。

スタッフさん達のうちらに対する待遇がすごすぎて、恐ろしい。周りを見渡しても、会社の「役員等」みたいな人たちばっかり。

マジでお姉さん、何者なんだ・・・。ビビるわ。手荷物検査終えてから、ダイヤモンドラウンジに入った。ドリンク飲み放題で、ご飯まで食べ放題。パンもおにぎりも、スープもなんか色々ある。

お姉さんは、なんかよくわかんないお酒を飲んでた。

私は、トマトジュースでいいや。グラスの取り方がわかんなくて焦る。グラスが冷蔵庫の中にあるって、どういうこと。ビビる。戸惑ってると、後ろで会社の「役員等」みたいな人たちが睨んでくる。

場違いでごめんなさい・・・。

飛行機に乗った。ファーストクラス。飛行機の一番前にある。そんなにふかふかした席ではないけど、足元がすごい広い。脚ガバって広げるキモイオッサンにはぴったりだなっては思った。離陸前にCAさんが一人一人自己紹介つきで、しかも私の名前を読んで、挨拶してくれる。機内食の要望とか、ドリンクを聞いてくる。

シンプル、ビビった。でも、お姉さんすごい慣れてる感じだった。

那覇空港に着いてからはホテルが到着ロビーでお迎えに来てくれた。

沖縄、初めて。すごい暖かい。11月なのに全然ポカポカしてて、すごい過ごしやすい。高速を飛ばして1時間くらい。ハレクラニ沖縄に着いた。

「ようこそお待ちしておりました。」

お姉さんの名前が呼ばれた。車だけでお客さんの名前まで把握できてるの、すごすぎる。

チェックイン前にソファーに案内されて、ウェルカムドリンクをもらった。やばい、これ、めちゃくちゃ美味しい。

そこからスタッフさんにお部屋まで案内してもらって、部屋の中まで全て説明してくれる。テレビの使い方とか、備え付けのタブレットの使い方とか。いや流石に言わなくてもうちらの年齢的にはわかるやろって思ったけど、親切すぎて嬉しい。普通のホテルなんてルームキー渡してあとは勝手にしてねって感じだけど、ここ、すごすぎる。

テラスがすごい広い。波の音がすごい心地よい。やばい、なんか、お姉さんとイチャコラしたい。生まれて初めて男になってみたいって思った。男になって、お姉さんを抱いてみて、最強の優越感に浸ってみたかった。

勉強もバイトも嫌になってきた

そんなお姉さんが私をベッドまで呼んだ。

「ねっ、おいで。」

「んー?」

私は、お姉さんの隣に横になった。夜にもなったから、ちょっと顔面が崩れてる。でもいいや。だって優しいお姉さんだし。

「今パパ活してお金貯めて、整形したいって言ってたやん、それ全部叶ったら何したい?」

お姉さんみたいに欲しい物全部買えて、大きな家に住んで、海外旅行しまくりたいんだよな。

「てかさ、先月から始めたパパ活以外で、今はなんのバイトしてるの?」

一応今週1で塾講師やってるんだよな。時給1800円の。

「塾講・・・。」

「それさ、時給は論外としてさ、自分のためになんか意味あるの?
自分の人生にとって何も意味なくない?
教えてる内容もさ、高校の勉強じゃん。毎日高校の勉強を復習してさ、しかも受験テクニック的な内容ばっかでしょ、人生に意味あると思う?」

お姉さん急にマシンガントークやん、なんやねん。んーでも言われてみればそうやな。反論のしようがない。

「まぁなんか、伝達力的な、コミュ力的な?」

仕方なくそれっぽいことで反論してみた。

「ん、これからの人生で高校生相手していくの?
だって、教えてるところ、そんなに偏差値高いところじゃないでしょ。」

「それはそう。偏差値55くらいかな。ギリ国立受かるか微妙なラインの層。」

「そういう人たちって、今後の人生で関わる人間なの?」

「関わらないと思う・・・。」

「じゃあなんで今、時間割いて関わって、何の意味があるの(笑)。」

やばい、お姉さん、すごい見下してくる感ある。ハイスペ女特有のあれ。でも、惨めなことに、私、何にも否定できない。

「だから、東京帰ったら、すぐやめな。人生の無駄よ。」

お姉さんがすごいキツい言い方してくる。これ、なんで私、説教されてるん?まぁでもその通りだよな。極論、刑務所でバイトしてる的な、ちょっと違うけど。関わるはずもない人間と貴重な大学生の時代を犠牲にして、関わるの、確かに無駄といえば完璧に無駄だわ。

「本当に自分の人生に意味あるバイトって言ったら、研究室のバイトとかの方がマシだよ。教授とか、研究者ってこれからの人生で関わり持つことあるでしょ。時給は1000円ちょっとだけどね(笑)。」

いやてか、別に人生に有意義なバイトとかクソどうでもいいのよ。そんな高尚な人間ちゃうし。

「これ、見て。」

お姉さんのスマホの写真フォルダ。

待て待て待て待て。待ってやばい。どういうこと。

「え・・・?」

「全員、私のパパ。」

「え、どういうこと?」

「どういうことって、私みたいになったら、こういう人たちと関わり合えるの。」

「全員抱かれ済み?」

「こらっ(笑)。」

ふざけちゃった。まぁ、抱かれてるのなんて大前提だけどな、そんくらい聞かなくてもわかる。

「こっちの人生のほうが、おもろしくない?」

いややや、そうなんやけどさ、無理だろ、私には。

「いやでも、私、お姉さんみたいに、そんな可愛くない。」

いやなんかこれ言ったらまた怒られそう。お姉さん、地味に、怖い。

「だから今パパ活してお金貯めてるんでしょ(笑)。」

「痛い痛い痛いなになになに。」

お姉さんが急に顎をつまんで来た。ねぇ、お姉さん、怖いんだけど。

「お金貯めたら、お顔のお肉、取りな?」

やばい、一気にコンプレックス刺激された。ごめん、なんか、ブチギレそう。

でもお姉さん、顔小さすぎる。もう顔向けられないわ。恥ずかしすぎる。チラッて見たら、だめだ、本当に顔が綺麗すぎる、可愛すぎる。ガチで陶器肌で、鼻筋綺麗すぎる。なんか知らんけど、楊貴妃ってこんな感じだったのかな。楊貴妃ってやつだわ、えぐすぎる。

はぁぁなんやねんマジで。物権法だの刑法だの、バカらしくなってきた。何やってんだマジで私は。

もう無理だわ。人生おもんなすぎる。

勉強ばっかしてきたけど、この勉強続けて何があるんだろ。昔の時代は男しか勉強できなかった。男しか勉強が許されなかった。今は、女でも勉強できる。女でも勉強すれば東大に入れる。でも、それって女が男に追いついたってだけじゃない?

劣等扱いされた女が、頑張って、男様に追いついた。というか、男様に、女の子も勉強していいよって、認めてくれただけ。原爆と引き換えに、GHQに女の子も勉強していいよって認めてくれた。それだけだよな。

なんかこう、もっと、女にしかできないことをしたい。男に追従していくんじゃなくてさ、女として、女をフルに使って生きていきたいって思いは、正直結構強い。

って言ったら男に媚びることなんだよな。結局は男に媚び売っていくだけ、でもそれが一番稼げちゃうの、世の中おかしいだろ。

女が男と同じように勉強できるようになった、けど女が一番稼げる仕事は身体を売ること。同じ大学生で、男に媚びて身体を売ってきたお姉さんが、高級マンションに住めて、何100万円もするネックレスにバッグを買ってもらえる。三菱商事もマッキンゼーもお姉さんに勝てねぇやろこんなの。こっちの方が人生、楽しいわ。

「三菱商事」「マッキンゼー」とはいずれも給与が非常に高い企業として有名であり、多くの東大生の憧れの就職先の一つである。

筆者注

たまに男とセックスして、遊びながら、勉強もできて、欲しいものも全部買えて、行きたい所も全部行ける。ぶっちゃけセックスだって、好きな相手とやる時は普通に気持ちいいし。

で、勉強とは・・・?

絶対許さない、お前。

人間結局、死ぬことが決まってるんだったら、どんなことも若いうちに経験しておいた方がいいじゃないの。もっとこう、自分の身体が一番エロい頃に、ハレクラニのオーキッドプールでFendiの水着を着て、思い出に残る「見てみてこれが私の20歳だったの!」「可愛かったでしょ!」って自慢できる写真と経験を残した方がいいんじゃない。

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