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平地のありがたみが身に染みた『L'Etape du Tour de France 2024』中編

みなさんこんにちは。
昔はそうでもなかったのに、最近は軽く動いただけでありえないくらい変な箇所が筋肉痛になり謎の焦りを感じているKです。
前回に引き続きL'Etape du Tour de France 2024(エタップ)の話を書きます。
今回は中編です。
前編を読んでいない方がいれば先にご覧ください。


今回の区間

今回は🟦の区間
今回のイベント2つ目の山岳区間チュリニ峠から3つ目のコルミアーヌ峠までを書く

まずは朝ごはん

1つ目の休憩エリアでついにKEIMASAを発見。
急いで追いたいところでしたが、朝食を少量しか食べていなかったので先にそちらを優先する事にしました。

おばちゃん「いっぱい食べな!バナナあるよ🍌」
K「いただきます😋」
おばちゃん「パウンドケーキもあるよ」
K「うれしいです(4つ目のバナナを食べながら)
おばちゃん「ほら、これも食べな!」
K「も、もう食べられません😖」
おばちゃん「なんだい!じゃあ最後にこれ食べていきな!」
K「あっ!桃美味しい😋🍑」←さっき食べられないとか言っていたのに食べているやつ

普通は軽くつまむくらいなんでしょうね。
私みたいにバクバク食べるやつはあまりいないのでおばちゃん達が喜んで食べ物をくれました。
おかげでお腹いっぱいです。

この桃がとても美味しかった🍑
多分桃
桃じゃなかったらなんだろう🤔

最長距離の峠を攻める

食べ物をいっぱいくれたおばちゃん達にお礼を言って出発しました。

2つ目の山はイベント最長距離、1級山岳区間Col de Turini(チュリニ峠)です。

距離約20km
平均斜度は5.7%
斜度はキツくない
何よりも長い

序盤は休憩エリアがあったムリネの町を走行、その後は森林区間に入ります。
6kmから9km地点までの約3kmは僅かながら斜度が緩みますがそれ以外は斜度5%以上とちょっと面倒な道のりが続きます。
ずっと森の中を走行するので景色が変わらず結構飽きます。

⛰️のアイコンが頂上
画像にない前半は直線基調の道だが後半はアホみたいに曲がりくねった道を走行する

後半はひたすら曲がらせてくるアホコース設定です。

こんなに曲がり道が多いと流石に目が回ってくるんですよ。
ふとした瞬間に『あれ?また同じ場所走ってる?』とか訳わかんないことを考えたりします。

抜かせる人は片っ端から抜かしていく
この峠では誰にも抜かれる事なく上り切った
この後、見事に脚が終わる

あれ?いねぇな

ここである問題が派生します。

休憩エリアで見かけたKEIMASAに一向に追いつきません。

KEIMASAはあまり上りが得意ではないのでこの区間で追いつくと思っていました。
しかし全く姿が見えません。

K『休憩エリアで追いついたけど、もしかしてあいつ出発してない…?

もしそうだとすると大変な状況です。
なんせあちらは私が声をかけて一緒に走るものだと思っている訳ですから。

K『けどな、確か走り出す直前に声をかけたからそれはないはず🤔』

この時は既に13km地点を走行していたので今から引き返すわけにもいきませんでした。
もしかしたら先に上り終わって待ってくれている可能性もあります。
とにかく頂上を目指す事にしました。

K「それにしてもこの峠、長すぎて飽きるんだけど」

頂上到着、まずは待つ

上り始めてから数分後に小雨が降ってきたが頂上に着く頃にはやんでいた

頂上に着くまでにかかった時間は1時間41分。
全体で4761番目です。

頂上には僅かながらの補給エリアがありました。
しかしこのエリアは指定団体専用のエリアなので私達は利用することが出来ませんでした。

K「とりあえずメールを送ってと…日差しが強いけど少し休憩するか」

15分だけタイマーをかけてのんびりする事にしました。

このタイミングでの意外な出会い

7分程経ちましたが一向に現れません。
やっぱり先行している可能性が高そうです。

けどもう少しだけ待ってみようと考えながらのんびりしていました。

そんな時、どこかで見た事のある薄紫のジャージを着た参加者が私の目の前に現れます。

K「あれ?別府さん。初めまして
別府さん「あ、初めまして」

なんとこんな所で元選手の別府史之さんと遭遇しました。

別府史之

日本自転車界をヨーロッパの最前線から引っ張り続けた元自転車プロロードレースの選手
2009年にツールドフランスを、そして全てのモニュメントレースを完走した唯一の日本人選手でもある
現在は自転車文化の普及に勤しんでいる

サッカーで言う中田英寿さんのような存在

このイベントに参加するというのは既に知っていました。
しかし招待枠で前のグループから出走するものだと思っていました。
まさかの一般参加枠での参加だったそうです。

K「参加しているのは知っていましたけどまさか後ろのグループだったんですね」
別府さん「そうなんですよ。これ(エタップ)に登録したのも結構ギリギリで」
K「なるほど、それにしてもこの山長くないですか😥?」
別府さん「僕も途中から早く終わらせたいと思ってずっと300W(ワット)後半で踏んでいたんですよ」
K「普通の人間、早く終わらせたくてもずっとそのW数出ないですよ(笑)そう言えば(私が着ている)同じジャージの人を見ませんでしたか?」
別府さん「うーん、1人抜かしたかな…」

そんな感じで他愛もない話をしていました。

「もしかして2人共、日本の方ですか?」

別府さんと話していたら隣にもう1人、別の日本人の参加者がいました。

K「そうです。まさかこんな場所で日本人が3人も出くわすとは(笑)」

名前は後々知りますがパリから参加している方でした(お名前はカズヤさん)

話す事ができたのは僅かな時間だったが貴重な体験をさせてもらった
最初に会った時、想像していたより身体が大きいという事に少しばかり驚いた

楽しい時間は秒で終わる

本当はもう少し別府さん、カズヤさんとの会話を楽しみたいと思っていました。
しかし長く話すと2人の進行の妨げになってしまうので互いの無事ともしかしたらの再会を願って2人には先に行ってもらいました(日本とヨーロッパのイベントの規模の違いの話をして盛り上がった)

⇩別府さんがエタップに参加した時の記事はこちら⇩

それから数分後

K『そろそろあいつ(KEIMASA)から連絡来ないかな…』

出発しようか、それともまだ留まっていようかと考えていた矢先にKEIMASAから連絡が来ました。

KEIMASA「もうすぐ次のエイド(休憩エリア)」

やっと連絡が来ました。
予想通り先行していたようです。
そしてこの時点で私との距離は12km程離れているということがわかりました。

K『次の休憩エリアと言うことは…山の麓か』
K「すぐ向かう」

返信をして直ぐに下山する事にしました。

嫌になるわ

お待ちかね(待ってねぇ)爆速下山区間です。
1つ目の山を凌駕するバカみたいなコース設定です。

⛰️がチュリニ峠の頂上
そこからエグいくらいの曲がり道が続く
後半の九十九折り区間
気を抜くと簡単にコースアウトする

頂上から一気に1000m程を下山します。
上る時より5km程距離が短いので斜度は少々急勾配です。
当然の事ながら、何もしなくてもすごい勢いで自転車が加速していきます。

ブレーキから手を離して数秒、一瞬にして時速66km。
そしてアホみたいに現れる曲がり角のオンパレードです。

左へ曲がったかと思えば間髪入れずに右へ曲がる
見晴らしが良い道の直後にはU字のカーブが待っているので決して景色を堪能してはいけない

殺す気か?

ヒーヒー言いながら下り坂を走行していた76km地点、このイベントで最もやばいと思った場所へ突入します。

トンネル「やっほー」

距離は100mもないかなり短いトンネルです。

しかしトンネル内部にはライトが付いていません。

出口は見えるので大丈夫かなと思いながら突っ込みました。

何にも見えません。

K「あかん!何も見えん!?」

そしてトンネルの出口は外の明かりでほぼ真っ白です。

全く情報がない状態でトンネルに突っ込んでしまったため坂道+暗闇というとんでもない状況で走行することになった
この写真が撮られた時は視界がホワイトアウト状態で何も見えていない

幸いにもトンネル内部の路面は綺麗に舗装されていましたが、万が一凹んでいる場所があった場合は回避出来ずに吹っ飛ぶ事になります。

K「アホか!」

更にトンネルを抜けた直後に警備員が減速を促していました。

この時は『これから九十九折りの道が連発するから注意を促しているんだな』と思っていました。

実際はかなり前に崖から転落した参加者がいたようで、その救助のために後から来た参加者達が突っ込んでこないようにするための合図でした。

後々知りましたがニュースでは2人が重傷を負っていたとの事でした。

運営の奴ら、マジで殺しにきてるな。

(前もって告知してくれていれば回避できた可能性はあった)

手が持たん

何度もブレーキをかけ続けていくと別の問題が発生します。

手が痛いです🤙

下り坂を走行する際はブレーキを握りやすくする為にハンドルの下部分を握ります。

ハンドルの下部分(下ハン)
ここを持つ事でブレーキを強く握れるようになる
写真はいい感じに下ハンを握ってくれていたマチュー・ファン・デル・プール

私は下ハンを握っての走行が苦手なのでハンドル上部を持ってブレーキをかけます。
当然の事ながら指にかなりの負担がかかり次第にブレーキが握れなくなります。

それでも無理して下ハンを握ってバランスを崩しあの世へ山菜取りへ行くのだけは避けたかったので瞬間的に直線になった際に手を休めながら下山しました。

これだから山は嫌いなのよ。

平坦?何それ、美味しいの?

約15kmの下り坂を終え、ようやく開けた場所に出る事ができました。

たしかすぐに休憩エリアがあったはず…

容赦なく上り坂が始まります。

K「あれ?休憩場所どこ!?」

なんと休憩エリアがありませんでした。
どうやらそこから1km先にあったようです(看板があった)

見晴らしが良い橋を渡っていると私を含めた参加者達のサイコンが一斉に鳴ります。
どうやらコースが若干変更されていたようで、ナビが『こっちじゃねぇ、戻れ』と通知をしてきたようです。

こっちに進めって看板があんだから黙ってろ。

その後休憩エリアがあるロクビリエールの町にたどり着く事ができました。

思わぬ落とし穴

2つ目の休憩エリアに到着しました。

ここも多くの参加者達で賑わっていた

自転車から降りた際にいつもの癖で前輪のタイヤを触りました(昔からパンクをする機会が多いからか、停車時にタイヤを触るのが癖になっている)

タイヤがプニョプニョです。

K「うそーん😱」

何が原因かは分かりませんがパンクしていました。

それと同時期にKEIMASAから連絡が来ました。

KEIMASA「足びみょーだからチンタラ走ってる」

追いつくチャンスでしたがタイヤがパンクしているので追いかける事もできません。

K「パンクしたからかなり遅れる」
KEIMASA「おけ」

参加者達の邪魔にならない場所へ移動して急いでチューブの交換作業に取り掛かりました。

硬すぎて嫌になる

タイヤとホイールの間にプラスチック製のタイヤレバーをぶっ刺してタイヤを外す
私が使用しているタイヤはコンチネンタル社GP5000
超硬い

タイヤを外してチューブを…タイヤが硬すぎてタイヤレバーが1つしか刺さりません(タイヤレバーは3つで1セット)
なんとかタイヤレバーをぶっ刺しましたがそれを横にスライドさせる事ができません(横にスライドさせる事でタイヤを一気に取り外す事ができる)

時間はかかりましたがなんとか取り外す事ができました。

タイヤの内部には異物は無く、チューブにも裂けた形跡が見当たりません(損傷箇所を探し出さないとチューブを交換しても再びパンクする可能性がある)
おそらく空気を入れるバルブ近辺に問題が発生したのでしょう。

私の場合、パンク関連は大体いつもそこです。

チューブを交換したらタイヤをホイールにはめます。
しかしこのメーカーのタイヤ、外すのも大変ですがホイールに装着するのも大変です。
全くはまる気配がなかったので困ってしまいました。

かくなる上は…

あまりしたくはありませんでしたがタイヤレバーを使って力技ではめることにしました(後々タイヤのはめ方が間違っていた事を知る)
次に空気を入れます。
私が持っている携帯空気入れには残念ながら空気圧計がついておらず(適正空気以上を入れたりするとチューブが破裂したりする)ほぼ感覚で入れる事になってしまいました。

運が良かった

空気を入れ始めた時でしょうか。

「あそこにシマノ(メンテナンスエリア)があるよ」

私の様子を見ていた参加者が教えてくれました。

大きなイベントでの休憩エリアにはスタッフ駐在のシマノのメンテナンスエリアがあります(言われるまで忘れていた)

教えていただいた方に自転車を見てもらいつつメンテナンスエリアまで向かいました(助かりました)

トレーニングかな?

メンテナンスエリアにて空気入れを借ります。

私と同じようにパンクをした参加者が何人もいたようで、みんなで仲良くチューブを交換していました。
空気入れの順番を待つとかなりの時間がかかりますが幸いにも誰も使用していなかったので直ぐに使わせてもらう事ができました。

空気入れ(押すのが)が重すぎます

下山の際に腕に力を入れ過ぎていたので腕が疲れてしまっていたのでしょう。
トレーニングをしている気分でした。

更に空気入れの先端がバルブに中々はまりません。
私の目の前でチューブを交換していたお兄さんが空気入れの先端を抑えてくれていたのでなんとか空気を入れる事ができました。

お兄さん「(抑えているから)俺のも入れてくれるか」
K「分かりました👍」

空気を入れ始めますがポンプが重いのを忘れていました(忘れる速さ🐓の如し)

K「腕がぁー!(力が入らねぇ!)」
お兄さん「頑張れ!」
K「交代しましょ!」
お兄さん「そうだな(笑)」

2人で協力して互いの空気を入れ合いました。
やっぱりポンプが重かったらしくお兄さんも「うぉ〜!」とか言っていました。

空気入れを返した後は補給エリアに大量においてあるペットボトルをくすねて(自由に持って行って良いやつ)自転車の元へ戻りました。

修復作業も無事に終わり、水の補充も済んだのでホイールを取り付けてすぐに出発しました。

そろそろやべぇ

ここから3つ目の山、2箇所目の1級山岳であるCol de la Colmiane(コルミアーヌ峠)が始まります。

距離16km
平均斜度は6.3%
チュリニ峠に比べたら距離は短い
しかし平均斜度が僅かながらに高いので疲労も相まってかなり大変だった

ここでとうとう危惧していた問題が発生します。

脚が疲れてきました(当たり前)

KEIMASAに追い付く為に序盤から飛ばしてきたツケが少しずつ出てきます。
しかし幸いな事に普段疲れる大腿部(太ももの中心部)ではなかったので意外にもクルクル脚が動いてくれました。

しかし、しばらくすると更に別の問題が発生しました。

お腹が減りました。

3時間くらい前にアホみたいに食べたのにもう腹へりです。

おい、この身体どうなってんだ😵‍💫

やっぱり桃じゃ(腹の)足しにならねぇか
美味しかったけど🍑

『なんだか長野の山中を走っている気分だ』とか思いながら走っていた(出生地は長野)

先程上っていたチュリニ峠に比べたら景色が開けていました。
本来ならその景色を楽しみながら走行する事ができるのですが…

お腹が減り過ぎてそれどころではありません。

曲がり角が多くあれば意識をそっちの方へ向ける事ができるのですが…一瞬だけ町を通る以外、特にこれといった景色の変化がないので終始意識は『腹減った』でした。

サン=マルタン=ヴェジュビーの町中を走行する時だけはちょっと頑張った

あれ?頂上だ

本当はキツかった山だとは思うんですけどね。
それよりも空腹の方が勝っていて心ここに在らず状態で走行していた結果、いつの間にか頂上に着いてしまいました。

同時にこの日の走行距離が100kmを超えました。
残りは38km程です。

空腹と戦い続けていたらいつの間にか1000m上っていたらしい

走行時間は44分、全体で5184番目でした。
パンクの修復に時間を取られていたので順位はかなり落ちてしまいましたね。
そしてここには3つ目の休憩エリアがあります。

K「よし、ここでたらふく食べて最後の山に備えるとするか」

先程の空腹の気持ち悪さはどこへやら、るんるん気分で食べ物エリアへ向かうのでした。


毎度の事ながら長文になってしまいましたがいかがでしたでしょうか。
永遠と山を上り続け、終わった後は爆速での下山。
トラブルにも見舞われましたがなんとか3つ目の山の頂上までたどり着く事ができました。
2つ目の山では思わぬ人とも出会う事ができ、かなり貴重な時間を過ごす事ができました。
次回はいよいよゴール編です。
少しでも楽しみにしてくださる方がいれば嬉しいです。

ではでは👍

初対面にも関わらず気さくに話してくれた
本当に素晴らしい出会いだった

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