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加工食品

 月曜日の昼下がり、街外れの精肉店に一人の老人が訪れた。ボロボロの衣服を身にまとい、かすかに異臭を放っている。やせ細った体に、蒼白な顔面は、今にも倒れそうな病人そのものであった。

 入店してから、何を探すでもなくうろつく老人に、店主は呼び掛けた。

「いらっしゃい。今日は何をお探しで?」

「ああ…いや…。そうだ、少し聞きたいことがあるんだが…」

老人はしゃがれた声で答えた。はげかけた頭部とは対照的にこんもりと蓄えた眉とたるんだ皮膚が目元を覆い、どこを見ているのかすら曖昧であった。

「はい?なんでしょう」

「君は、肉を、さばくのかい?」

「…まぁ、さばくときもありますけど」

「そうか…生きている牛をかね?」

「…そうですね。牛とか豚とか。俺がやるのは大体鳥だけど。」

老人の風貌から、生い先の短い彼が子や孫のために財産を残そうとしているのかと店主は考えた。

「もしかして、家畜の買い取りですかい?それなら、うちではやってないよ。あくまでここは精肉店、解体と販売だけだから」

「いや、そういうのでもなくてね…」

「それじゃあ、なんですか」

煮え切らない不審な老人に、店主はいよいよ警戒心を強めた。

「例えば…牛を生きたまま冷凍して、それを解凍したら生き返るのかね?」

突拍子もない質問に店主は眉をひそめたが、少し考えてから答えた。

「…それは無理ですね。新鮮さが欲しいなら、生きたままのを買った方がいい。さばけるなら、ですけど」

「…やっぱり…無理か」

そういうと、老人は店主の目の前でばらばらと崩れ落ちた。

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