見出し画像

フグタ社長業務日誌『誠意と仁義』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻2は自2007年11月1日~至11月30日。

フグタ社長業務日誌(巻2-10):11月22日(木)

 早朝、シンガポール出張から帰ってきたので、出社は午後から。今日は夕方までびっしり業界各社トップと面談が続く。
 目的は言うまでもなく、わが社のインド洋海上ガソリンスタンド事業再開の件。新たなプロジェクトを立ち上げるため、できるだけ業界の皆さんの事前コンセンサスをとっておきたい。とはいえ、反対されるのも分かっているので、いわゆる地ならしである。
 会う順番と時間は社長室がセッティングしてくれたが、各社の業界内での地位が一目瞭然で分かる仕組みになっている。

14:00〜14:45 金平堂社長と面談(45分)
 わが社自慢堂と金平堂さんとは包括的な提携関係にあるので、これはまあ、今後ともよろしくね、というご挨拶。シンガポールのお土産、マーライオンのマグカップをあげる。

15:00〜15:45 万寿堂オジャマ社長と面談(45分)
 今日は専務のハト兄たちも同席してるので、オジャマ社長とホンネの話はしない。私はとにかくお願いねお願いね、と低姿勢に徹するポーズ。お土産は空港で買ったマカデミアナッツ。

15:50〜16:10 京参堂さんと面談(20分)
 この会社は独立系で、業界内でも独自のスタンスをとっている。基本的にはわが社の方針とは相容れないが、一応会っておく。お土産はいらないとのこと。

16:15〜16:35 斜眠堂さんと面談(20分)
 大女将が引退して、今は若女将が仕切っている。老舗で昔はそれなりに羽振りも良く、大きな会社だったが、時代と消費者ニーズを読み間違えたのだろう、業界シェアは低い。お土産はマーライオンのチョコ。

16:40〜17:10 極麺新店さんと面談(30分)
 元々うちの会社にいた取締役たちが、コミズミ元社長と折り合いが悪くなり、独立して新社を立ち上げた。今日はいかにも悪家老と悪代官顔のトップ二人が同席。知らぬ仲ではないので、昔話をしていたら少し時間が延びた(本当は17:00まで20分の予定でした・秘書注)。お土産はドリアンキャンデーとマンゴープリンをあげた。

 ということで、儀式はすべて終了。誠意を尽くし仁義は切った。とっとと帰る、午後5時13分退社。同48分、自宅着。

>>次話に進む
<<前話に戻る
<<最初から読む

注:
この記事はフィクション(パロディ)なので、同業他社の名前もまたパロディである。が、年代を経ると元がなんだかわからないことが起きてくる。これが時事ネタの弱いところ・・。
一応、各社の元の名をあげておきます。
金平堂=公明党、万寿堂=民主党、京参堂=共産党、斜眠堂=社民党。
極麺新店は「国民新党」、自民党の郵政民営化反対派が結成した(2013年解党)。
※『フグタ社長業務日誌:誠意と仁義』は、ブログ『tanpopost』に2007年11月23日 付けで掲載したものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?