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フグタ社長業務日誌『風邪気味で』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻2は自2007年11月1日~至11月30日。

フグタ社長業務日誌(巻2-5):11月13日(火)

 昨日から体の調子が悪い。風邪を引いた。米国のサブプライムのクシャミでうつされたのだと思う。出社はしたが、英語を耳にするだけで熱が出るので、午後の海外新聞社の取材予定はキャンセルした。

 体調といえば、前社長のアベ君が久しぶりに会社に出てきた。ちらっと会合で顔を合わせたが、前より少し太って顔色もいい。社長を辞めると気が楽になるのかなあ、『やあやあ』って明るく言われちゃった。
 以前にも書いたが、我社は現職より「元」が肩書につくほうがエライ。モリ元社長などその典型で、どうしてあそこまで大きな顔ができるのかわからないくらいエラそうにしていらっしゃる。アベ君も、ともあれ、元気でなによりである。

 本当は早く帰りたかったのだが、グループ本部の四悪(四役の誤り、熱のため間違えたようです・秘書注)と会食の約束があって、仕方なく出かける。
 午後7時4分、東京・九段北の中国料理店「中国飯店」着。先週は六本木店に行ったが、今日は皆さんクルマなので駐車場がある市ヶ谷店へ。
 四悪の集まりには、とにかく顔を出しておかないと、とくにイビキさんなど後で何を言い出すかわからない。15分ほどいて、上海蟹の老酒漬けの前菜だけ食べて早々に引き上げる。午後7時20分、同所発。同48分、自宅着。

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注:
「サブプライム」は米国の低所得者向け住宅ローン。このローンは最初は低金利だが、一定期間が過ぎると利率が上がるしくみになっている。2007年頃から利率がアップする期間となったが、同時期に不動産価格が下落し、多くの借り手の返済が滞った。これらが不良債権化して金融不安を引き起こした。これが翌年の「リーマン・ショック」につながることとなる。
自民党は、党の要職である幹事長、総務会長、政調会長、選挙対策委員長を「四役」と称する。四役が党の中心となり実質的に取り仕切るのが幹事長である。人事は派閥のバランスに配慮して配置することが多い。
「イビキさん」は伊吹文明氏、当時は自民党幹事長で後には衆議院議長なども務めた。
※『フグタ社長業務日誌:風邪気味で』は、ブログ『tanpopost』に2007年11月14日 付けで掲載したものです。


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