フグタ社長業務日誌【最終話】『最後の一日』
フグタ社長業務日誌(巻10-9):9月24日(水)
やっぱり家はいいなあ。昨日から野沢の自宅に戻っている。
いよいよ今日でおしまいだ。社長として最後の一日。8時半前に出かける。9時から最後の取締役会、私と道連れに去る人もあれば、運良くなのか悪くなのか残る人もいる。
お昼前に社長室の課長たちが、次々と集まってくる。遅れてマチムラ室長が来たところで、社長会議室に移り早飯を食う。この会議室で食べる弁当も最後だ。最後の晩餐か。
午後0時30分、同室を出て社長室へ。忘れ物がないかもう一度机の引き出しを開けてみる。大丈夫だ。同50分、同室を出て、同51分から同52分まで、玄関ホールで社員らの見送り、花束贈呈。
社宅を引き払ったので、午後からの空き時間にいる場所がない。仕方ないので、内幸町の帝国ホテルで時間潰し。
午後4時55分、代表者会議で第92代社長にアソ君が指名された。「どうもどうも・・」と短いあいさつを交わし、私の社長の最後の一日が終わった。
奇しくも、この日記、ちょうど1年前の今日から始まった。社長在任期間は365日。前社長のアベ君は366日だそうである。思えば1年くらいがちょうどいいのかも知れん・・。アソ君にもそう言っておこうと思う(余計なお世話ですが、実際そうなりました。秘書注)
「お正月は野沢の家で迎えられますね」と女房が言う。
「そうだね」と私。やっぱり家はいいなあ。
※フグタ社長業務日誌は今回で終了します。ご愛読ありがとうございました。秘書(代筆担当)より。
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