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フグタ社長業務日誌【とどのつまり】『辞任表明』
このシリーズは2007年9月~2008年9月までの1年間にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。
※いよいよ9月、局面は最最終盤へ。退任までの慌ただしい動静を追いかけます。さてフグタ社長の命運はいかに・・・?。(巻10は自2008年8月1日~至9月X日・2箇月分)
フグタ社長業務日誌(巻10-4):9月1日(月)
8/29(金)。久しぶりに南青山のアントニオに行く。秘書たちと夕飯を食べる。
「来週から9月ですねえ」と秘書が言う。
「そうだね・・」と私。
夏休みが終わってしまう・・、もの悲しいちびまる子ちゃんのような心境だ。洞爺湖に行って遊んだり、生でオリンピックを見たり、それなりに楽しかったことを思い出している。
8月30/31の土日は社宅にいて、書類の整理をしたり夕食会をしたり、夏休み最後の日を静かに過ごす。
9/1(月)。2学期だ、ではなく今日は「防災の日」。
朝早くから会社では本社の防災訓練に参加。その後、大阪で防災イベントがある。10時半過ぎに会社を出て羽田へ向かう。社有機で行くという。
「あれ?」
「あれ!」
秘書が指さす先は、軽自動車のようなU4。北京に行ったときに乗った小さなやつだ。
「ガソリン代が高いんすよ、だから節約で・・」
「伊丹?」
「関空。発着回数が足りないから、関空に降りてくれって。ハシシタ支社長から言われてるんすよ」
午後0時34分、関西空港着。
イベント会場に行く車が迎えにきた。中古の白いクラウン。
え、レクサスじゃないの?
現場はハシシタ支社長が仕切っている。腰掛ける椅子を勧めてくれたり、いろいろ気を遣ってくれるが、「防災の日」というより「敬老の日」のイベントのようでもある。
関空から羽田へ。帰りの機内で作業着から背広に着替える。
私、クールビズも作業着も似合わない。
作業着姿になったとき、東北の地震現場に見舞いに行ったことを思い出した。
そこで言われたこと、
「やることが遅い」 「何の役にも立たん」 「お前なんか、いらん」・・。私の中で、何かがぷっつりと切れた。
羽田着午後4時10分。
マチムラ君とアソ専務に、6時に社長室に来るよう伝えてある。1時間ほど話す。
「辞めようと思う」
その瞬間、二人はすぐさま段取りを決めて出て行った。まるで葬儀屋のようだった。
注:
9月1日夜、福田首相は緊急記者会見を開き「新しい布陣の下に政策の実現を図っていかねばならない」と辞任を表明した。内閣支持率の低迷に加え、野党が対決姿勢を強める「ねじれ国会」を乗り切る展望が開けない中での退陣であった。
新聞各紙はここぞとばかりに「無責任」だと叩きまくった。
・「日本の最高指導者~首相の座とは、こんなにも軽いものなのか。あまりにも唐突、あまりにも無責任ではないか」
・「改造内閣を発足させたばかりであり臨時国会を召集すると言明しただけに突然の政権投げ出しは無責任の極みである。きわめて残念だ」
・「~中小零細企業は政府の景気対策を最後のよりどころに踏ん張っている。従業員や家族を抱え、辞めるに辞められない企業経営者たちの目に『はい、辞めます』と簡単に政権を投げ出す首相は、どう映っただろうか。『無責任』のそしりは免れない」
・「信じられない。日本の首相の位とはかくも軽いものなのか。その志とはかくも薄いものなのか。~退陣は裏切りに等しい」
などと、言いたい放題である。他人事ながらここまで言われたくはないと思う。
※『フグタ社長業務日誌:辞任表明』は、ブログ『tanpopost』に2008年9月2日 付けで掲載したものです。
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