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『探しもの』 いつもの場所を 凝視して 見つけるものは 何なんでしょう?


現代の人類は、IT技術の発展により常時接続状態を生きている。1年365日24時間絶えることなく、オンライン上ではリアルの人間関係が繰り広げられている。
これは、四半世紀前には考えられなかった現象だ。かつてとは、オンラインとオフラインの立場が逆転してしまったのだ。

日常(オンライン)から束の間の解放を得るためには、オフラインの世界に逃避しなければならない。しかしコロナ禍によって、おいそれと簡単にはオフラインの交流もできなくなってしまった。オフラインでのコミュニケーションが非日常となる世界を、今まさに我々は生きているのである。

いきなり主語がバカでかい話から入って恐縮だが、まずは私の話を聞いてほしい。

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私が所属するPLANETSCLUBランニング部では、全国にメンバーが散らばっていることもあって、以前からオンラインランを頻繁に行っていた。
「もうすぐ販売終了になる『明治フルーツ牛乳』を飲みに行くラン」から始まり、「先日結婚したメンバーを祝うため、神社仏閣まで走り写真をアップするラン」「選挙の日に走って投票所まで行くラン」などなど、多種多様なオンラインランが繰り広げられた。

コロナ禍が日常を覆い尽くすにつれ、我々は溜まった鬱憤を晴らすかのように、ますますオンラインランに没頭していった。そして今では、おそらく世界中見回しても類を見ないほどに、我々のオンラインランリテラシーは習熟したのであった。

そんな最中、我がPLANETSCLUBの主宰者である宇野常寛さん

が、ライフスタイルスポーツとしてのランニングの特性を生かしたイベントを行いたいと所望された。我々は過去2回のテストを経て、「これは面白い!」と手応えを感じているイベントをプレゼンに掛けた。その結果、我々が提案したオンラインランをPLANETSCLUB全体で行うことになったのだ。

今回我々が広く世に問うオンラインラン、それが『探しものラン』である。

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では、『探しものラン』とは何だろうか? これを、以下に説明していこう。


【ゲームの説明】
 ・参加者は2チームにわかれて、与えられたお題のものをランニングやウォーキングをしながら外へ探しに行きます。
 ・お題は16個用意しました。配点は難易度によって変わります。
チームメンバーで協力してお題全てを探しきれるように頑張りましょう!(作戦会議の時間も用意しています。)
 ・制限時間は1時間です。
 ・見つけたものは写真を撮り、チーム用スレッドに各自アップしていきます。
 ・基本的に撮影は制限時間内、写真のアップは12時を締め切りとします。
 ・見つけたものに付いている点数を合計し勝敗を決めます。
 ・個人表彰もあるので、頑張ってください!

*第1回イベントスレッドから転載


特徴としては、以下の3点が挙げられる。

 ① 個人戦でありながらチーム戦でもある。
1人でマイペースに動きながらゲームを進めていくのだが、その一方では仲間と繋がっている。不思議な感覚だが、この二面性こそが『探しものラン』特有の楽しさなのだ。いまや窮屈な日常の代名詞であるオンラインを、オフラインで自分ひとりの時間を過ごす上でのスパイスとして活用するのだ。

 ② とはいえ勝ち負けは重要ではない。
各自が参加にあたり個別のモチベーションで臨めばよいのだ。いろいろな環境にある人たちが気兼ねなく参加できるように、たとえば子連れでベビーカーを押して参加するとボーナスポイントがもらえたりする仕掛けもあるのだ。

 ③ どこでも参加できる。
というか、多くの参加者はゲーム開始の合図とともにノッソリと動き出し、それからシューズを履いて玄関を出る。フィールドは、基本的に『半径5km』の範囲だ。
お題に沿った写真を撮るためにいつも通路として使っている場所をあちこちと探し回っていると、同じ風景が平日とはまた違った感じに見えてくる。また、いつもは踏み込まない道に分け入ったりすることも楽しい。

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私はこのイベントに過去2回とも参加しているが、2回ともチームの勝利に貢献した。

しかも前回に至っては、前日にコースを綿密に組み上げて行動する策によって、出されたお題をコンプリートするという快挙を成し遂げたのだ。


俺、レジェンド!

しかし達成感こそあったものの、このゲームそのものに感じる純粋な楽しさは、じつは行き当たりばったりで臨んだ初回の方が大きかったのだ。他のメンバーが上げた写真に刺激を受け、残り時間と相談しながら「次は何を狙おうか?」その場で方針を変えながらお題をクリアしていく、あの臨場感に勝る楽しみははなかったのだ。

なので、次回は以下に述べる3つの大きなハンデを、自らに課すことにした。

 ① 今回、規模を拡大してイベントを開催するにあたり、オブザーバーとしてチームのサポートを行うことにした。チャンピオン自らが競技の裾野を広げるために、ひと肌脱ぐわけだ。
人格者な私、最高だ。

 ② 勝手知ったる地元を離れて、土地勘がない場所から参加することにした。もちろんお題が発表されたら下調べこそはするが、なにしろ土地勘がないので綿密な計画は立てられないのだ。その場の判断力だけを頼りに勝負を賭ける。
男らしい私、潔い。

 ③ 誰かとペアで参加することを試みる。吉本隆明氏の言葉を借りると、オフラインでの『私幻想』とオンラインでの『共同幻想』の絶妙なバランスで、このイベントの楽しさは成り立っている。それならば新たな楽しみ方として、誰かと一緒にオフラインで探しものをする『対幻想』の領域に足を踏み入れたいのだ。なんか共犯者的な距離感で楽しめそうじゃないですか?
思いついた私、天才。とはいえども、私には子どもはいないし、ペットも飼っていない。どうしたものかと、思案中である。なんとか誘拐以外の策で調達したいところである。


ということで、『探しものラン』は2021年6月27日(日)の午前中に開催されるので、多数のご参加を期待し本稿の結びとする。
興味がある方はとりあえずPLANETSCLUBに入ってみると良いと思うよ。



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