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「トイレに行きたい」って言える?

  4月から初めて小学校に入学するお子さんたち、今まさに、わくわくどきどきですよね。そして、子供以上に不安と期待でいっぱいなのは、もしかしたらママたちの方かもしれませんね。
 「うちの子、まだ平仮名全部覚えてないのよ」「足し算、引き算も少し勉強しておいた方がいいとは思うんだけど」
 そんな声も聞こえてきそうです。

 平仮名や計算よりも大切なものがあります。
小学校に入学するまでに、これだけは。
 小学校勤務30年、とくに1、2年生の担任を多くしてきた私が、「何より大切」と、強く思うことをお伝えします。




1、アメリカの幼稚園で 次女が初めて覚えた言葉とは?

 夫のNY勤務について行った私たち家族。長女は小学1年生。彼女は日本で英語教室に通っていて、食べ物、動物の名前や20までの数え方など、多少はわかっていたものの、3歳だった次女は日本語さえまだまだ不十分な状態で、NYの現地幼稚園へ通うことになりました。

 幼稚園へ通い始めて4、5日くらい経ったころ、次女が突然英語を話し始めたのです。さて、彼女が初めて覚えた言葉は何だったと思いますか。

 それは
「Don't touch !」と「I don't like it」でした。

 「どうしてこんな言葉から?」と、びっくりというか否定的な言葉にショックを受けました。でも、よく考えてみると、これは自分を守るための言葉なのです。自分の言いたいことが全く伝わらない集団の中で長い時間を過ごすときに、自分を守る言葉を最初に身につけることは、全く理にかなっていると思いました。

 

2、嫌なことに NOと言える

 自分にとって嫌なこと。やめてほしいことに対して、NOと言えることは、自分の身を守る鎧を身につけるようなことです。

 おそらく次女は、幼稚園で自分の持ち物を勝手に使われたり、自分の身体を押したり引っ張ったりされる場面に何度も遭遇して、それを回避するために、「Don't  touch」という言葉をできるだけ早く覚える必要があったのでしょう。「Don't  touch」は、外国人の集団の中でたった一人で1日生活しなければならない彼女にとって、本能的に一番に覚えなればならない言葉だったにちがいありません。

 自分を守るって、すごく大切なことですよね。
 お子さんが、小学校に入るまでに、やめてほしいことに対して、「やめて いやだ」と言えるようにしておくことは、一番大切なことです。

3、してほしいことを伝えられる

 次女が「I don't like it」という言葉を覚えたのは、幼稚園でおやつをみんなに配られたときがきっかけのようです。アメリカでは、おやつの時間があり、その園では家庭で用意するのではなく、幼稚園が毎日何かしらの簡単な食べ物を準備してくれていました。自由の国アメリカ。全員が必ず同じものを食べることを求められるわけではなく、食べ物の好き嫌いも許されているようでした。娘は、USA的なおやつに慣れていなくて「いらない」と言ったのだと思います。そういうと、別のものを次々に渡されるので、「人参ステックも、セロリもいらない」と、自分が食べられるものが目の前に差し出されるまで、「I don't like it」を言い続けていたのでしょう。
 
 そのうち、いくつかの選択肢から自分が望むものを選べるようになり、
やっと「りんごがほしい」などと自分の欲しいものが言えるようになっていったんだと思います。

 「それってわがままじゃないの?」という論点は、ちょっと置いて、自分がしてほしいことを伝えることができることを大切にしているアメリカの考え方に驚きました。そして、それは意味があることだと感じました。

 日本に話を戻しましょう。
 小学校で1日を過ごす中で、絶対に伝えなければならない言葉って、なんでしょう。

 それは「トイレに行きたい」です。幼稚園や保育園では、いつでも行きたいときに行ってよかったトイレ。それなのに、1年生になったら、「休み時間に行っておきましょう」というルールがあります。でも、急にお腹が痛くなったり、休み時間にうっかり行くのを忘れたりしてしまうことは誰にでもあること。授業中にトイレに行きたくなっちゃった!そのときは、もうすでに緊急のSOS状態なのですから、絶対に我慢してはいけません。「トイレにいきたいです」と、すぐに先生に伝えましょう。

 とくに1年生では、まだまだ1日のリズムが整っていないので、この言葉を言えるようにしておくというのは、本当に大事です。恥ずかしい、叱られるかもと思う中でも、自分が本当に困っていることを伝えることができるということは何よりも大切なのです。

 トイレのことだけでなく、自分が嫌なこと、してほしいことも、言葉で伝えられるようにしておきたいですね。


4、アサーティブ コミュニケーション(自分も相手も大事にする気持ちの伝え方) 


(ここからは、入学してから先のことになります、、、
ちょっと、付け足しておきますね。)

 みんなが自分の言いたいことをどんどん伝えていたら、相手との関係がうまくいかないでしょ!集団全体としてどうなるの?

 その通り!!
 でも、最初はそれでいいんです。自分の思いを伝えられるようになってから、少しずつ相手の気持ちを考えるようにしていけば良いのです。初めのうちは、言い合いになったり喧嘩になったりもするでしょう。そこはあくまで通過点。ここからが相手に受け入れられる伝え方(アサーティブ コミュニケーション)の練習スタートです。自分の気持ちと相手の気持ち。お互いにどう考えて伝えれば、相手を嫌な気持ちにすることなく、自分の思いを受け入れてもらえるのかを少しずつ学んでいくことになります。



最後に

「うちの子は 恥ずかしがり屋で 自分の気持ちなんて、なかなか言えそうにないわ」と心配な方もいらっしゃいますよね。
 大丈夫。急がなくて少しずつでいいのです。自分の言葉(気持ち)が相手に伝わった。その心地よさを感じることを積み重ねることによって、うまく自分の意思を伝えられる子供へとゆっくり変わっていきます。そして、学年が進むにつれてお互いに自分を伝え合える関係が生まれていくといいですね。。





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