政府サイト競争率28倍、おかんの大阪市コロナワクチン予約に参戦、高齢者に競争させる愚とメディアが言わないこと。
単純計算で政府サイト競争率28倍、自治体サイト10倍だった!
さて大阪市でもやっと、コロナワクチン接種の予約が始まった。
政府の予約サイトの不備が、メディアによって告発され、波紋を呼んでいるが、私はもちろんメディアはどんどん指摘すべきだと思ってる。
しかし今回の報道で一番欠けていたのは、数字である。かなり意図的で、予約完了数や無くなるまでの時間は書いても、その分母数(何人でその席を争ったか)を書かない記事が多かった。さらに実際、当事者として予約してみると報道とは違う部分がかなりあった。
背後にあるのは政府のごまかしの意図。予約成功のコツと合わせて、紹介したい。
割り振りをしなかったのには、理由がある。
今回のワクチン予約は自治体によってかなり違う。このnoteは、
1.場所は大阪市。
2.私のおかんは85歳以上の高齢者。
の話だと思って読んで欲しい。
(同じ大阪でも市外の村っぽいところだとけっこう早くキメ細かく接種で、今回は全般にムラの勝利である)。
混乱した大阪市のワクチン予約
大阪市のワクチン接種は、開始直前になって国(政府)が大規模会場で乱入することになって非常にややこしかった。方法は3種類。
自治体(大阪市)⇒集団接種はサイトか電話で申し込み。
⇒個別接種(近くのかかりつけ医等)は電話で勝手に予約取れ。
国(政府)⇒ネットとラインだけよ。
まずおかんは85歳以上であるので、自治体の一番最初の接種組である。メディアの一部によると、「集団接種と個別接種(近くのかかりつけ医等)が選べます」とあったが、別に申し込み当日、サイトや電話でどちらかを選べるわけではないのである。
集団接種のサイト&電話予約のほうは、大阪市85歳以上11万5千人に対して、1万5千人分しか用意していない。10倍の激戦地。接種は基本、こちらが早く確実。
一方、8万人分用意してある、という、個別接種の方は近くのかかりつけ医等に勝手に電話して状況を聞いて予約を取れ、という意味である。(その案内も最初の郵便到着時はなかった。可能な病院の名前は病院が公開OKの分だけ、直前にサイトでPDF!で通知⇒今はPDFも改正され充実している)。
病院も最初は、いつどれだけワクチンが来るのか未定で、倍数で揃えないと無駄になるし、「具体的な通達がなく、まだ何もわからないんです」「6月にならないと」と予約のとりようがないところも多かったそう。
と、思えばフライングもあったり、病院に老人が殺到したり病院のサイトがつながらなかったり、接種者が一度検査してから受付だったり。おかんのかかりつけ医は開始が遅かったのと、やってないのと。
そもそも個人集団接種両方合わせても、大阪市の85歳以上、11万5千人に9万5千人分しか大阪市は用意していなかったのである。定員不足。
「市民の皆様はそう文句をおっしゃると思っておりました。国も準備をしております。いやー、自衛隊はすばらしいでしょう」という宣伝を兼ねた国(政府)の大規模接種が、突然、同じ申し込み日初日の午後に開始されたのはそういうわけだろう。
しかし、ここも65歳以上の大阪市民70万人に対して、2万5千人分(単純計算で28倍率ー実際は自治体で予約できた分は下がるが)という焼け石に水。そりゃ25分でなくなりますわな。
大阪市(自治体)の予約サイトで予約
5月17日、当日。まずはスマホでなくパソコンでサイトから予約することにした。対象85歳以上で、パソコンからつなぐ人は多くないだろうと判断したのである。
しかし現在使っている、ポータブルwifiはそんなに早くない(一時帰国ゆえ、返却しばりなしにしたせいである)。
まずは手元に資料を全部準備。さらに接種券番号など、打ち込みミス等ないよう先にメモに打った。メールに一度リンクが来て、新暗証番号も要求されるのでそれも先に決定。
地域の会場はどこが候補かサイト予約開始までどこにも公開されなかったので、知っていそうな人に先に聞いておいた。母に聞いて優先を確認。高齢者には心の準備もいるのである。
そして母にはコールセンターへの電話を頼んだ。が、ドキドキして待っている時に、いきなり、「この番号、ふたつともワンタッチ・ダイヤルにいれて欲しいー」。
しらんがなー(泣)。実家のファックス!電話の操作なんて。
しかし、やりました。だいぶ回復したものの、今のおかんに競争のさなかにまともに電話番号が押せるとは思えない。
いいですか、行政の皆さん。後期高齢者は知らない番号に電話をかけるのですら大変なのである。
母はうれしそうに9時直前にワンタッチボタンを押したが、すでにまったく繋がらず。しかもやっぱり電話の操作が危うい。
もういいよ、という前に20秒ぐらいで、すぐ受話器を置いた。
いいですか、行政の皆さん。後期高齢者は根気がないのである。接種状況をごまかすために?、行政側が個別に日時指定をしなかったのは間違いである。
一方、サイトは9時ちょうどにすんなりつながった。
予定通り、サクサク情報を入れて、開いておいたメールソフトでメールを受け、そこから再度サイトを開く。
おっ、初日の枠あるやんけ。おほほ。さすが9時30秒。
迷ったのは、二度分をまとめて予約しますか? という質問が出てくるところ。
これは二度目の日付がなぜか入力できない時点で、中国仕込みの見切り千両で見切った(中国はなんでもバグだらけなのである)。まずはとにかく一回目が取れれば何とかなるだろう、と思った。迷っている間に予約分がなくなるのが怖い。
(後で電話して確認したがこれは実際は母の住居地エリアで、サイトから二度目予約は不可能だった。一度目の現地会場で二度目を予約する方式である。大阪市全体がそうかは聞いた行政担当者も不明だった)。
後でツイッターで検索すると、大阪市はこれでつまずいていた人がけっこういた。
(この表示、混乱するよね。実際は2回目の予約はできません。エリアによっては知らんけど)
私は予約完了が9時1分40秒ぐらい。すぐに受付完了の、接種日時の入ったメールが届いた。
接種の問診票に、かかりつけ医の確認項目がある
さらにメディアで伝わってないことがある。当日会場で渡す接種の問診票(最初の封筒に同封)に、かかりつけ医の確認項目があるのである。
んなもん、かかりつけ医も初めてのことで判断は難しいだろう。かかりつけ医のない人はどうするねん。
打つ側の責任逃れかもとは思ったが、これはちゃんとかかりつけ病院(複数)に行って確認した。
今後の問題点
しかし今回の問題点はなんといっても、接種該当人数に対する、実際のワクチン準備数の足りなさと、それを個別に振り分けず、高齢者の個人競争に持っていったところである。
大阪市は今回は85歳以上11万5千人。しかし自治体の準備は集団接種1万5千人(1日で満員)と、おそらくはまだ1,2万人も予約できてないであろう病院での個人接種である。
今回あぶれた人々は、国(政府)(25分で満員)分に多少行ったとしても、そちらも大阪市65歳までの70万人が2万5千人分接種を争う超激戦区で、85歳以上がそんなに予約を取れているとは思えない。
多い目に見て、今で85歳以上の半分強が予約を取れているとしよう。約5万人がまだ残っている。
これが5月24日からの第二回、80歳から85歳約10,6万人の上に積み重なる。
しかも下に行くほど、団塊の世代で高齢者は増える。
そして国のほうも、だんだん応募可能な範囲を広げている。5月24日からは大阪府全域、5月末からは大阪府、京都府、兵庫になる。
医療関係者もまだ全員は一回目を接種していないのに。
さらに接種が必要なのは、医療関係者だけではない。
いろんな高齢者の家に行く、ヘルパーさんたちにも必要である。が、接種はなく「コロナ患者のところに世話に行くなら、ワクチンを打ってやる」の発言もあったそうで…。それは医療行為です。
大阪市の85歳以上も全部が予約を取れていないのに、なぜ範囲だけ広げるのであろうか。
私はすべては、各層、各地域に「国はがんばってやってますよ!」のメッセージ配布のためだと思う。実際は進めば進むほど予約が難しくなる可能性は高いのだが……。
どこの世界に高齢者に、ワクチン打つのに、コンサートチケット並みの競争させる国があるねん。
しかし枠の大半を各自で病院に勝手に予約しろ、にしてしまうとその実態は見えなくなる。取れなくても自分がドンくさいから、ということになる。
もし政府が自分たちで予約を割り振れば、接種のリスクと準備足らず数足らずの不始末も全部政府の責任になる。
日本のコロナ対策が不備なのも、遅いのももうあきらめた(商売で影響ある方々は怒りはそんなもんじゃないだろうが)。
しかし私には今回の大阪市のワクチン予約の件は、全体像を明らかにせず、すべての問題を現場に押し付ける、これぞ日本、という気がするのである。
データー参照出典:
⇒第三表 都道府県、年齢(3区分)平成30年
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谷崎光のインサイド・アジア
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