合わない環境の正体 ~抽象と具体の狭間で~
RとGASと、ひょんなことから二つのプログラミング言語を並行して勉強することになった。家でやるとどうにも集中できないので、贔屓にさせてもらっている人事図書館にパソコンを持ち出そうとしたところ、パソコンのコンセントを忘れてできることが減った。
やむなくこの文章を書き始めている。
だが物は思い様。
こういう時こそ今日は、やろうと思ってできないことをやっていくことにする。
そのうちnoteに書こうと思っていたことである。
きっと誰かの役に立つと信じて、なんとなくキーボードを打っている。
「環境」の話である。
環境が合わずに適応障害になり、環境を変えろといろんな人に言われている中で、
「そもそも環境とはなんなのだ?」という疑問を持った。
これ、何気なく使っているが、冷静に考えると実は意味が漠然としている言葉なのだ。
意味が広い言葉である。辞書を引いてみよう。
一番デカい言葉だと地球全体とか言ってやがる。
こんな定義の広い言葉を不用意に使っていたわけだ。
丁寧に整理しよう。
まず上述の辞書では、前段の部分に下記がある。
つまり、環境とはまず、
①自然環境
②社会環境
の二つが存在することになる。
おれの就業環境に地質や気候が関係していることはないので、
今回は「②社会環境」が適応されることになる。
(ただし、これは大西のケースであり、①自然環境に関係のある職場もあることには留意が必要ともいえる。外仕事の場合だったらダイレクトだろうし、そうでなくても職場にゴキブリが出るとかカビが生えているとか、少なくとも僕は嫌である)
-----------------------------
では、「社会環境」はナニで構成されているのだろうか?
これも辞書を引いてみよう。
これもまた粒感がデカい。
ただ、個別の事象に当てはめて考えるヒントは散りばめられている。
組織や制度や階級や構造や慣習などが社会環境に当てはまるんだそうである。僕の事象を、この切り口で考えてみよう。
①組織
ア)会社
昨年1月よりゆるふわJTCに転職したわけだが、極めてホワイトな環境であった。
定時は9:00-17:40で、何かツメツメで仕事があり続けるわけでもない。
年間休日125日、週に二日は在宅勤務を認められ、残業時間が一ケタ、フレックス使ってゼロということも珍しくない。
享受していた身で言うのもおかしいかもしれないが、ちょっとやりすぎなくらいのホワイト企業であった。
問題レベル:低
イ)家庭
ここに書くのもやや恥ずかしいが、夫婦仲は良好である。
ぼくは「将来の夢がスパムを食べること」で皆さんご存じ嫁西と二人暮らしである。
スパムも炒め物にして昨日食わした。夢がかなったと喜んでいた。
毎度のことながら、嫁西は「夢」とか「幸せ」の沸点が極端に低いため、すぐに夢がかない、すぐに幸せになる人である。
問題レベル:低
②制度
僕は人事の人間なので、制度の側面は比較的見えやすい立場なのであった。ゆるふわJTCの制度は、総合的には決して悪いと言われる制度ではなかった。
有休も入社即日取れるし、福利厚生も結構よかった。
ただし、問題点がある。
とにかく変われない、変えられない。
緊急の変更や、未知の経験にとにかく弱いのである。
変更が遅すぎて法律違反になっているものもあった。
もっと細かく言うと、変わるためのプロセスが煩雑であったり、「空気を読むこと」が前提にあったりするため、真因を突いたコミュニケーションができない。
また、「変われない、変わらない」は、この会社がホワイト企業である要素の一つでもある。言い換えれば、「変わるべき人が働かない」のだ。だから定時で帰れてしまう。他の部署でも同じ状況は発生していた。
(採用は、候補者の都合があるので、さすがにそうもいかんかったが)
問題レベル:中
③階級
人事部採用担当の下っ端であった。よって、上長の意向に沿って動くことになるのだが、とにかく真因を突くコミュニケーションができない。結論がはっきりしないため、何を言っているのかわからないことが頻発した。
「つまりどういうことですか?」と聞き返すと怒り始める。
「言われなくても察して動け」ということだと思うのだが、残念だがまったくできる気がしなかった。
問題レベル:大
④構造
③で上げた問題に行き当たった時、組織構造として、SOSを出せる仕組みは一応あった。
まず会社の相談窓口に相談して、注意してもらった。
それでも解決しなかったので、次はEAPに出てきてもらった。話したら、やっぱりおかしいとのことだったので、注意してもらった。
それでも解決しなかったので、付き合いのある外部の支援機関を頼ろうとしたところ、会社の側から取引のある機関があるとのことで、そちらでやらせてくれと言われたので承諾したが、全く役に立たなかったので、クレーム入れて、僕の知り合いのところに変えてもらった。
相談はできても、問題が解決しない。
問題レベル:大
⑤慣習
文化、と言ってもいいのだろう。
私が入社して驚いたことは、自分たちの会社に対する卑下の姿勢があることであった。
売上高800億くらいのプライム上場企業である。確かに上を見ればきりもないだろうが、十分にすごい成果を出している会社でもあったはずだ。
採用の実務で言うと、「優秀な大学の学生からは選ばれないから、レベルを落とそう」というコミュニケーションが日常的に入っていた。
それをなんとかして入ってもらうのが採用担当の腕の見せどころでは?と思っていた自分からすると、ずいぶんコンサバというか、攻めの姿勢に欠ける人事であると思っていたものであった。
で、それで採用数が満ちるかというと、未達成だったりもするので、なんだかなあと思うことも多かったのである。
ちなみに、予算は潤沢であり、ほぼ使い放題であった。
問題レベル:中
以上、まとめるとこうだ。
抽象度を上げて要素を確認すると、
家庭に関しては問題ないが、社内の人間関係、特に③階級での上司のコミュニケーションや、④構造で挙げた、相談窓口の機能不全が、自分の場合大きな問題になっていることがわかる。
また、②制度で挙げた「変わらない、変われない」、⑤慣習で挙げた卑下の姿勢というのも、私の問題においては影響を与えていそうだし、また会社全体の社風を示しているとも言えよう。
そしてこれらが、①組織の「極めてホワイト企業」である当社の正体だ。
要は皆諦めて動かない。
仕事に対して熱量はない。言われてことだけやっている。
それでも入る多額のボーナス。動く意味もない。
さらに抽象度を上げて、平たく言ってしまえば、
「卑下の姿勢や変更をしない、その代わりに仕事量が少ない社風の会社に勤める上司と、全くそりが合わない」
まあ、そういうことにはなるのだろう。
ここまで4,000字弱。
これが、僕の合わない環境の正体だ。
これを今まで、「環境」の一文字で括っていたのである。
こう考えると、あまりに横暴だったのではないだろうか?
もしかすると、一言「環境が悪かった」と、メンタル不全の人に慰めの言葉をかけることは、
その人の具体的なストーリーを無視し、結論を急がせていることにつながってしまうことになるのではないか?気持ちを無視してしまうことにならないだろうか?(僕にはダメージがなかったが)
そんなことを、少し考えたりしたのである。
僕たちは、日本語を使い、抽象と具体の狭間で生きている。
だからこそ、抽象的な表現は曖昧さを招くことから具体的な事象を望むし、
具体的な事象が過剰に並ぶと、会話の効率が低くなり抽象化が必要になる。
バランスを意識して言葉を使っていきたい。
人事しかりキャリコン然り、あるいはSNSユーザーとして、日本人として、言葉は適切に使うべきだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?