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映画「グラン・トリノ」|命の使い道

映画「グラン・トリノ」を観た.
世界一かっこいいおじいちゃんで有名なクリント・イーストウッドのあの映画である.
観た人はすべからくクーラーボックスで冷やしたビールが飲みたくなるあの映画である.じっくり観させてくれるとてもいい映画だった.

以下感想書きなぐり.ネタバレあり!

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映画の最初から主人公は命の使い方を探している風だった.吐血は酷いし,愛する妻もいない.孤独を紛らわせてくれるのはクーラーボックスで冷やしたビールと大人しくて最高に可愛い愛犬のみ.酒をひたすら飲みながら寿命が終わるのをゆっくりまっている.そんな余生を淡々と描きながら,隣の家のモン族と交流をしていくなかで,命の最後の使い道を決めることが主人公はある意味幸せだったと言える.生と死という意味ではバッドエンドなのかもしれないが,主人公にとってはある意味ハッピーエンドだったのではないだろうか.

そもそも,彼にとっての差別発言は本気で蔑んでいて話しているというよりは,口調がめちゃくそに悪いがゆえのものが多い.彼にとって戦争経験というものは強烈なトラウマとなっており,極限状態において自身が行った行動に苦しめられている.そのため,本当はそう思ってなくても差別発言をするし,冷たく当たることで根本的な自分自身の性格を上書きしているのかもしれない.元々自分がクソな人間と思い直せば,少しだけ楽になれるから.主人公は真正の差別主義者ではないし,嫌な人間ではない.だからこそ,意外とすぐにスーと仲良くなるのもある意味自然だし,時間を共有してきたタオたちのために命を張る決断ができるのだ.

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