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映画「ジョジョ・ラビット」|日常にある戦争

アマプラの見放題に来ていたので視聴.
公開時に劇場で観て大好きになった映画を気軽に家で見ることができて感激だった.やっぱりこの映画最高だね.

ざっくり所感

戦争をこういった切り取り方をする映画はそんなに多くないだろう.
子供を主人公に据えて,最初から最後までどこか笑いが散りばめられている.通常,戦争のような重いテーマで笑いを混ぜたらただたださめてしまいそうだけれども,この映画に限っては笑いと重さが共存している.それがすごいよね.

笑いがあると書いたが,映像自体がゆるふわな感じかと言ったらそんなことなくて,描かれているものは戦争そのものだし,がっつり人は死ぬし,悲惨な描写がノイズでごまかされているわけではない.ゴア表現は抑えめではあるけれど,その分まっすぐ戦争を見つめることができる作品だとも感じた.

戦争は日常

観ていて思ったのは,戦時中の人々にとって戦争とはもはや日常になっているのだろうということ.最初は死に恐怖し,おびえていたのかもしれないけれど,周りの人々が死んでいく状況に次第に慣れて,ある種日常として体が受け入れていくのだろう.

平和な時代・国に生きている自分にとって戦争とは非日常の極地にあるわけだが,戦争中の人々にとっては全く逆に成る.というよりむしろ日常としてどこか感覚を麻痺させないと行きていくことが難しいのかもしれない.

ましては負けかけている国の内部では強力な情報統制が行われるので,戦争に負けている事実を国民が知ることは難しいに違いない.

世界の切り取り方

そんな悲惨なドイツに住むジョジョは,世界を楽しいものだと切り取っていた.洗脳教育にどっぷりつかり,戦地で戦果を出すためのトレーニングに明け暮れる.

差別意識を植え付けられたジョジョにとって,世界は楽しくワクワクに満ちた世界に視えていたのかもしれない.だからこそ,映し出す映像もどこかポップで楽しくて,ヘビーな雰囲気を感じさせない作りになっている.

そんな風に世界を見ていたジョジョが,エルサに出会って世界の視え方を少しずつ変えていく過程がとっても丁寧に描かれているからこそ最後の踊るシーンが最高だった~

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