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リサイクルよりも、してほしいこと

先日「ドローダウン 地球温暖化を逆転させる100の方法」という本を購入しました。

世界中の科学者たちが気候変動へのアクションを検証・評価し、効果がある順にランキングにしています。女性への教育支援や、冷媒の処理が気候変動に影響があるのは知識として知ってはいましたが、この本にはその理由や具体的なアクション、どのくらい効果があるのかが詳しく書かれていて、すごく勉強になります。

環境問題に関する本とか情報は基本的にネガティブな内容(これだけ温暖化は進んでる、このままでは○○年までに野生動物が滅びる 等)が多い中、この本は全体的には”逆転できる”シナリオで書かれており、環境活動家たちのエッセイも入っているので、気候変動に対してアクションを起こす勇気をもらえる一冊です。

まだすべてを読み切れてないですが、印象に残っているのは「家庭のリサイクル」の章。リサイクルのアクションに関する内容にも関わらず、リデュース(減らす)リユース(再利用)することがより重要だと繰り返し書かれています。以下は本文より引用です。

「3R」は、消費者が出す廃棄物の問題に取り組み、資材が埋め立て地や焼却炉に向かう流れを制限するためのスローガンになりました――まず減らし(リデュース)、次いで再利用(リユース)、最後に再資源化(リサイクルです)。
リサイクルとほか2つのRは、これ以上温暖化させない廃棄物管理の重要な要素になります。(念を押しますが、リサイクルの前に減らし、再利用する努力が最優先)

これはわたしが常日頃からもやもやと思っていたことでした。エコな取り組みが広まっていく中で「リサイクルしよう」といった言葉や「この商品は○○のリサイクルでできた…」のような商品を見ることは多くなりましたが、リサイクルより圧倒的に環境に優しい、リデュースやリユースはあまり普及していないように感じます。(特にリデュース)

リサイクルはビジネスにもなるし、消費者としても欲求を抑えることなく、ごみの分別やスーパーのペットボトル回収ボックスに入れることで「環境に優しいことをしている感」を得られるので、他の2つよりも普及しやすいのは分かります。リサイクルもしないよりもした方が絶対にいいですが、リサイクルするそのものを買う前に、なるべく少ないもので暮らすことや、今持っているものでやりくりすることの方が圧倒的に環境負荷は少ないです。考えてみれば当たり前のことですが、あまりにもリサイクルが普及しすぎて、リサイクルしとけばいいみたいな風潮があるのが、なんかなあと思います。

わたしが所有しているものの数は、少ない方だと思います。物持ちもいいです。(財布は14歳のときからずっと同じです)一人暮らしをしていたときは、レンジなし、炊飯器なし、掃除機なしで生活していました。少ないもので暮らす生活について話すと、「わたしには無理」「便利な生活は捨てられない」といった返事が返ってきます。ものが少ない暮らしは「不便」や「我慢」といった言葉と結びつけられるみたいです。

そんな方たちに知ってほしい人がいます。元朝日新聞記者の稲垣えみ子さんです。

稲垣さんは東日本大震災をきっかけ生活について考え直し、電気をなるべく使わない生活から始まり、現在はできるだけ環境負荷の少ない生活に日々取り組まれています。稲垣さんのすごいところはその徹底ぶり。自宅には冷蔵庫なし、洗濯機なし、炊飯器なし、電子レンジなし、洗濯機なし、掃除機なし。築45年のアパートで電気代は毎月1000円以下で200円の月もあるそう。情熱大陸に出演されていた時、エレベーターではなく階段を使っていました。その暮らしぶりについて、本やコラムを書かれています。ネットの連載でわたしのお気に入りは、30年物の4000円のボロボロのちゃぶ台を2万円で修理したお話。稲垣さんの文章は軽快で読みやすくて面白いです。

稲垣さんの暮らしぶりをみると、ものが少ない暮らしは工夫に満ち、すごくクリエイティブだと分かります。稲垣さんまで徹底的にできなくても、多くの人が少しでも暮らしに取り入れれば、環境に対して大きなインパクトになるはずです。リサイクルよりものを減らして、今あるもの生きる。もっと広まればなあと思います。

最初に紹介した本はgreenzでも紹介されています。わたしはこの記事がきっかけで知りました。気になる方は、是非。


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