感想文「ふくわらい」

今日は西加奈子の小説「ふくわらい」の感想を書こうと思う。今、読んでいる本も西加奈子だし、本当に西さんが好き。さっき本棚を整理していたら「ふくわらい」の本が出てきたので感想を。

まずはあらすじを交えて...

書籍編集者の「定」は幼い頃からふくわらいが好きだった。そのせいで、どの人物の顔もパーツごとにバラバラに見える。そんな感じの話だったと思う。会話する人物がいれば、その相手の目や鼻、眉毛がふくわらいの如く、ニョロニョロと動き出して見える。その発想がとても面白い。

「定」は幼い頃に母が亡くなった。残る民俗学者の父と一緒に世界中を旅することになり、父を喜ばせるために、時に少数民族の村に行った際、儀式で出された人肉を食べるなどする。その事で大人になってから、変人扱いされるのだが「定」は誠実で優しい女性だった。

「定」のその温かな人間性は担当している作家たちの心を突き動かし、周りに良い影響を与えていく。

幼い頃に父親と一緒に世界を旅するあたりはすごくワクワクするし、また風変わりな作家たちの要求に誠実に対応していく「定」の姿は生き生きとして気持ちがいい。

両親を幼くして亡くすことになり、天涯孤独となった「定」だけど、何事にも動じない大きな心とまっすぐな心が最後まで感動的だ。「定」の人物像もすごく素敵なんだけど、優しい「定」の周りに集まってくる人達がさらに素敵。

真っ直ぐな心が有れば周りも突き動かすことが出来るのではと勇気をもらえ、とても元気になる物語だ。


特に大恋愛のストーリーという訳ではないが、ほのぼのとした、日常の中の、例えば人の顔をふくわらいとして、パーツごとにバラバラに捉えてみたり、大好きな作家さんに「雨を降らせてくれ」と頼まれれば、健気に毎日屋上で雨乞いの呪文を唱えて雨乞いをする「定」という女の子はとてもかわいらしい。


平日の夜におすすめしたい本!

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