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店は栄ゆる、和魂洋才。

食べログは信用しすぎない方が良い。

社会人になり、色々と飲み会の幹事を任されたり、自身で飲み歩くようになって学んだ経験則だ。

これまでそれなりに東京のグルメは嗜んだつもりだ。旅好き、いや、街好きでもあるので独身時代は全国各地を一人グルメ旅で巡ったりもした。

食べログは確かにお店を探すうえで重要なメディアだ。ただ、逆に信用しすぎると痛い目を見ることも知った。

こと都心に限って言えば、実態以上に評価が高い店も一部ある印象。かたや、都心を離れるにつれて「こんな美味しいのになんで低いの?」と感じる店が現れてくる。(勿論全てがそうではないし、都心でも評価が低すぎる/逆に郊外で高すぎる店もあるのは事実だが、比較的その傾向を感じた)

前置きが長くなったが、今回紹介する竹田屋はまさにその後者だった。

***

まずはロケーション。

海浜幕張駅からだと、線路沿いを少し進み幕張海浜公園にぶつかった所で公園沿いを北上するルートがわかりやすい。

幕張ベイパークからだと徒歩が良い。イオンスタイル幕張ベイパークの前の道を真っ直ぐ、さらに幕張海浜公園の芝生も直線で突き抜けて道路を渡れば、そのままたどり着くことができる。

こんな所に鉄板焼屋があるの?と一瞬思うものの、見渡せば大きな屋号の看板が存在感を出してその在処を教えてくれる。

店内は落ち着いた雰囲気で、ビルの外観から想像できない程豊かな設え。鉄板焼屋らしいカウンターにはコの字型に広々と15席くらいはある、またそれ以外にテーブル席もあり、奥にはいくつか個室も見える。

たまたま空いていたのか、一人客だったが個室に通された。空いていても個室に通されない店が多い中で、この細やかな気遣いはとても有難い。

コップの色合いが大変素敵。個人的に青が好きというのもあるけど。おしぼりも当然フカフカあったかでした。
一人で黙々と食べるにはとても贅沢すぎる個室空間。お昼時にこんな優雅な気持ちになれたら、午後の仕事も頑張れちゃうよね!(いや、むしろこのまま休みたい)

早速オーダーを頼んでしばし待つ。カメラをいじってると、通りかかったお店のご主人?に気づかれ「良いカメラですねぇ!バシバシ撮って載せちゃってください!」と言われる。

コミュ障な僕は笑うだけになってしまったが、ここでは言える。ご主人、有難うございます!バシバシ紹介させて頂きますね!

***

そして、料理が運ばれて来た。頼んだのは少し贅沢な"和風ステーキ御膳(150g)"  2,500円。

あまりにシズってたので、サラダでも赤だしの味噌汁でもなく、最初からステーキを頬張らせていただく。

ステーキの焼き加減はミディアムレア。
噛めば肉自体の甘みが口の中に広がってくる。そしてキノコとガーリックチップを合わせることで生まれる複層的な味わい。
思わず白米をかき込んでしまう。大盛りを選んでおいて本当に良かった!

そして、この白米も美味しい。
まさに"ご飯が立ってる"という表現に相応しく粒一つ一つが立っており芯を残しながらもモチモチした食感であった。

よく見たらお米だけじゃなくお肉も立ってる!多めの150gを頼んだのだが、実はお肉が前後2列になってて、後ろのお肉に前のお肉が乗っているのである!この魅せ方が、ニクいねぇ!

付け合わせには茹でブロッコリーとポテトグラタン。このポテトグラタンも絶妙な焼き加減で、チーズの風味も香る味わい深い一品だ。付け合わせと言うには戦闘力が高すぎる!

そしてようやく、遅ればせながら、サラダを食べる。大きなレンコンにトマトとキャベツ、どれもみずみずしく新鮮で、野菜の素材本来の良さが表れていた。

一品一品丁寧に作られていることを感じさせる美味しさ、そして最後はデザートとホットコーヒーまで、大盛りだったが勿論全て完食することができた。

***

満腹感と満足感に浸りながら、ふと最初に見たお膳敷紙の短歌を思い出した。(ステーキ御膳の料理はすべて別の御膳に盛られて出されるので注文後に回収されたものだ)

 竹清く すくすく伸びて 

 田鶴目出度(たづめでた)

 屋(みせ)は栄ゆる 和魂洋才

お分かり頂けただろうか…?この短歌、敷紙を縦読みならぬ、横読みにすると、まさに店名になっていることを!(僕はこれを見て1ヶ月後に気づいた)

そして、その最後にある"和魂洋才"の意味は、

(明治以降、「和魂漢才」をもじってできた語)
日本固有の精神と西洋の学問。日本固有の精神を以て西洋の学問・知識を学び取ること。
(広辞苑より)

この言葉通り、単純な食材&料理方法の和洋折衷ではない、空間や接客含めて、まさに日本固有のおもてなし精神が息づく鉄板焼屋であると感じた。

これに関連してもう一つエピソードがある。

実は、それから別日に妻と二人でランチに来たのだが、その時間は少し混んでたようで、箸やおしぼりが来ておらず何回か店員さんをお呼びする形になった。僕達はそれに対して特に何も感じてなかったのだが、後ほどサービスということでスパークリングワインを頂いてしまった…!
夫婦とも想定外の対応に驚いて、逆に感動してしまった…

普段あまりないようなシチュエーションにこそ、おもてなし精神が現れてくるものだと実感した。

***

12月現在、食べログは3.13。開店してそれほど年月が経ってない影響が多分にありそうなので今後評価が上がる可能性もあるが、いずれにしても味/居心地/ホスピタリティどれを見ても確実に良店であることに変わりない。

未だランチ時にしか行けてないものの、夜の懇親会やハレの日の家族の食事にもぴったりのお店だと思う。

家の近所にこのような、普段使いとしても特別な日にも利用できる鉄板焼屋があるのはとても有難い。海浜幕張では同じような店は中々ないので、息長くこの地で続いてほしいし、今後も利用していきたい。

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