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【お茶屋】ここが大変だよ事業承継~7.自営業の会計あるある~

事業承継して初めての決算月(3月)を終えました。社長業と共に、会計業務も始めて半年。

自営業特有?のワケのわからない会計基準に翻弄されながらも、一つ一つを謎解きしながらようやく慣れてきました。

今回は会計業務の中で気づいた、自営業の会計あるあるをお話していきます。

1.紙ベースの自営業の会計


「資金繰表は手書きのメモ」
「試算表が出るのが1か月後」
「決算月に棚卸してようやく利益がわかる」

伝票も資金繰りもこれまで全て紙ベースで運用されていました。無駄が多いし、PDCAをリアルタイムで回せない。

これじゃまずいと思い、クラウド会計ソフトfreeeを導入し、一年前(2021年4月)から仕訳などの会計業務をやっていました。

現行の会計方法を紐解きながら効率化していくわけですが、自営業あるある?な会計方法が多い多い。。

2.自営業あるある3つの混在

1.個人と会社の会計混在

一般的な会社は給料日に給料が支払われますが、うちは、前払いという形で給料日前に給料を少しずつ前借りしていました。子供のお小遣いじゃないんだから。。

前払いが仕訳数を増やしわかりづらくしていたため、給料は給料日に一括で支払うと決め、余計な仕訳をなくしました。

また、両親が住んでいる住宅兼店舗の会社。光熱費の区別はグレーです。

これまで電気代はすべて会社で立替え、家庭使用分の月5,000円×12か月分を決算月に纏めて会社に払い戻すというやり方でした。払い戻すといっても、現金を払わず役員貸付金(経営者が会社から借りるお金)を増やしているだけなので、資金繰りは悪化します。

さらに家庭でもストーブは使用しているのに灯油代は全額会社負担という、会社にとって不平等極まりない関係性でした。

電気の家庭使用分は月末に5,000円をキャッシュで会社に払ってもらい、灯油は事務所のストーブ分のみ会社が負担し、個人と会社の会計を切り分けていきました。

2.金額表記の混在

試算表は売上帳や仕入帳などの伝票を仕訳して作成します。うちの伝票は、ある取引先は税抜金額、またある取引先は税込金額と、税抜税込が混在していました。

理由は、取引先からもらう納品書の金額表記が取引先によって税抜or税込で異なるからです。

取引先によって伝票の表記方法が異なると仕訳作業が面倒になります。作業をシンプルにするべく、伝票作成時、税抜を税込に変換して、税込表記に統一しました。

伝票が紙ベースだと税込計算するのが大変ですが、伝票をデータ化したこともあり、計算は容易になりました。現在、うちの試算表はすべて税込表記となっています。

伝票はEXCELで管理。取引先向けにA4用紙(4つ切り)で印刷。

3.真実とデタラメの混在

決算月である3月の末日。年に一度、お店と蔵にある商品在庫を数えて棚卸資産を計上します。棚卸資産がわかると原価が確定し一年間の利益がわかります。つまり、決算月にしか利益がわからないのです。

3月末にならないと原価が確定しない状態はマズいため、棚卸期間を2ヶ月おきに短縮して期中に利益が把握できる仕組みにしました。

もっとマズかったことは、実際に数えた棚卸資産が、決算書上の棚卸資産と異なっていたことです。

決算書上の棚卸資産を多めに計上すると、利益が増えます。90年代の不況で赤字になった際、金融機関から貸し渋りされた苦い経験があったため、それ以降、赤字にならないよう決算書上の棚卸資産を都合よくコントロールしていたのです。

決算書がデタラメだと経営状況を正確に把握できません。事業承継のタイミングで金融機関に相談し、棚卸資産を適正化することにしました。

棚卸資産の適正化により今期(2022年3月決算期)は赤字になりますが、金融機関からも、決算書をきれいにするための赤字なので仕方がないと、了承をいただいています。

金融機関に悪い情報を言いたくない気持ちはわかりますが、悪い情報でも理由や方向性がしっかりしていれば、金融機関もそれ相応の対応をしてくれるかなという印象です。

金融機関の方であれば決算書を見て棚卸資産が適正かすぐわかるはずです。欲を言えば、ドツボにハマる前に指摘して欲しかったです。というか、担当者の方に思わず「見て見ぬふりはやめてください」と言ってしまいました。逆ギレして申し訳ないです。。

3.現状からの脱却。データ化!クラウド化!

・経費のキャッシュレス決済やインターネットバンキング利用
・紙で管理されていた伝票や取引帳票のデータ化
・クラウド会計ソフトfreee導入

現金で支払っていた経費は、オンラインショップを利用するなどしてクレジット払いや口座振替に変えていきました。

クラウド会計ソフトfreeeは銀行口座との自動連携が容易のため、仕訳作業の効率化ができました。

連携の仕組み(出典:freeeヘルプセンター)

紙管理からデータ管理に変更することで仕訳作業が効率化され、月末当日にその月の試算表が出せるスピードになりました。

さらに、売上や原価、経費を事業別/商品別にデータ管理しているので、売上予測や事業収支の見える化が容易です。その過程で無駄な経費も削減していきました。

4.数値ありきの経営

「売上が減少している」「利益が出ない」などの悩みを抱えている経営者は多いです。

では「どの商品の売上が減少しているのか」や「どの事業の利益率が低いのか」など、数値でどこまで把握しているでしょうか?

私は売上が年々減少している中で家業を継ぎましたが、商品別にデータ管理し始めたことで、「売上が減少しているのはお茶でなく乾物である」ことがわかりました。

スーパー向け商品カテゴリ別月推移(売上/利益)

「お茶がうちの最大の強みである」ことに気づき、「お茶を中心とした商品開発や情報発信」に注力しています。

データ管理して数値化することで初めてわかる事実がありますし、現状の数値がわかってようやく対策が施せます。

数値のありき経営であると、身をもって感じたこの半年でした。

次回は5月末にオープンを控える蔵カフェについて書いていきます!

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