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生涯で一番美しかったもの

お疲れ様です。ダンサーの棚橋です。


突然ですが、僕は社交ダンスの競技会における優劣の判断基準の一つに「美しさ」があると思っています。

ダンサーたちは人間の身体を使って「美しさ」を表現する、、、

それこそダンスの真髄にも触れていそうな類の話になります。


ダンスにおいて「美しさ」を見せるためには

一体どんな取り組みをすればいいのでしょう。


おそらく様々な回答があり、どれも分け隔てなく正解なんでしょうが、

僕はある時、

生涯で一番美しいと感じたものからヒントを得ることにしました。


というのもコーチからこんな質問をされたからです。


「君が今までで一番美しいと思ったものは何?」


皆さんならなんて答えるでしょうか。

あえて聞かれない限り、あまり考えもしないことだと思います。


透き通った沖縄の海でしょうか?それとも雲の影と夕焼けのオレンジ色がマッチした故郷の空?バレリーナの白鳥の湖?初めての海外旅行で見た街の景観?オーロラ?、、、


僕は「不謹慎ながら」という前置きを挟んだ上で


「子どもの頃に見た火事現場」


と答えました。


それは幼稚園児だった頃の記憶です。

この時、友達の家で遊んでいた僕は人生で初めて大きな火を見ることになりました。

道を挟んで3軒ほど先の一軒家が突然燃え出したのです。

おそらく誕生日ケーキのロウソクなどで小さな火は見たことがあったはずです。

しかし、この日見た大きな火は24歳になった今でも鮮明に覚えているほどのインパクトでした。

大きな火柱が上に行くにつれて真っ黒い煙に変わっていき、徐々に全ての色を飲み込んでいく。

また風に揺れる炎の揺らぎは、燃え上がる勢いに同乗して火の粉を撒き散らす。

もちろん大きさもさることながら、どんどんと燃え広がっていく「辺り一面の世界が変わる感」に興味を惹かれました。

そんな光景についつい見入って静止しているところ

耳を叩くようなバチバチとした音がようやく僕を呼び起こしました。


衝撃でした。

今考えれば大変不謹慎ですが、この時の僕は幼稚園児ながらに「美しい」と感じていたのです。


コーチは言いました。

「その美しかったものを1小節に1回作って踊ってみてくれ」と。


僕は美しさを演出する時に難しく考え過ぎていたのかもしれないと思いました。

自分の人生で最大美しかったものを踊っている最中で何度もイメージをする。


細かいことはここでは一旦省き、それだけでダンスは

炎の揺らぎのように自然に、

充満する煙のように空間を満ちさせ、

バチバチと音を鳴らすようにクリアに

変化します。


そして辺り一帯の空気・世界を変えていきます。


もちろん人によって美しいと感じるものは違うし、表現したいダンスも違う。


だからこそ、この自由な世界で個性を宿すために必要な視点なのではないかと考えます。


また今後、年季が入れば入るほどその厚みは増し、唯一無二の表現は無限大に追究できるのではないかと思います。


年齢を重ねる楽しみが増えました。


何にせよ生涯で一番美しかったものを考えることで、

ダンスにおける「美しさ」のヒントに繋がるかもしれない!!

オススメですので是非やってみてください。

本日はここまでです!

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