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「施主支給でお願いします」と言われる理由

工事費の金額調整をしている時、「コレは施主支給でお願いします」と言われる事があるかもしれない。つまり、お客様の方で発注して現場に届けてください、という事。なぜそう言われるのかを説明したい。

理由は簡単で、そのモノを売っても利益が出ないからである。特に小さな施工会社の場合、「100万で仕入れて100万で売ると、利益が出ないどころか税金が上がるのでマイナスです」という話である。

当然商売なので、安く仕入れて高く売りたい業者側。しかしながら、お客様が選んだ例えばそのタイル、仕入れ値が高いので利益が出ないのです。

多くのメーカーの商品は、メーカーが定める「定価」より安い「業者価格」が設定されている。それに利益を乗せて、最大で「定価」までの金額でお客様にお出しする。
しかしながら、「業者価格」が無いメーカーの商品(=ワンプライス商品)の場合だと、「100万で仕入れて100万で売る」状態になってしまうので、「その商品は施主支給でお願いします」という話になる。

大手住宅機器メーカーの商品は、業者価格がしっかりと設定されており、大手ほど「掛け率」が良いので、業者は安く仕入れて利益を確保することができる。

一方で「業者価格」が無いメーカーは、(私がよく使うメーカーの中にも何社かあるが)、主にエンドユーザー向けのメーカーである。
その様なメーカーの商品を図面に入れると、工事業者が嫌がるのは分かっている。しかしながら設計者としては、デザインに妥協は許されないので、そんなお金の背景でモノを選ぶべきではないと考えている。

とはいえ、プロジェクト全体の「バランス」がお客様満足度にも繋がるため、多少のお金の背景も考えながら設計はしている。
そういった「ワンプライス商品」を入れた場合であっても、金額によっては工事費全体の中で飲み込んでくれる。あまりに金額が大きいという場合に、施主支給でお願いします(またはワンプライス商品手数料を頂きます)という話になる。

なお、施主支給にした場合、皆が手間がかかって大変だ。お客様は自ら発注作業を行わなければならないのでリスクも負う。その部分については、前の記事に書いているので参考にしてほしい。https://note.com/tanakana_design/n/ncf8ef051c847

施主支給は決してお勧めしない。少々高くなってしまっても、工事や発注は一括してプロに任せるのが安心である。

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