普通の会社員がフリーランスで稼ぐ

普通の会社員がフリーランスで稼ぐ #全文公開_4 #フリーランスのメリット・デメリットとは?

【Episode2】広報・PRというキャリアを続けるためにフリーランスに

「うちみたいなベンチャー企業は、専門性が要求される業務があったとしても、フルタイムで人を雇用するほどのボリュームじゃない。でも、専門的な知識が求められる仕事はどうしてもある。そんな時に、彼女みたいなフリーランスの人材に柔軟な形で仕事を依頼できるのは助かりますよね」
――こう話すのは、都内のIT系ベンチャー企業の経営者。従業員数は20名ほど。数年以内の株式上場を目指して業績拡大中である。

 彼が賞賛する「彼女」とは、フリーランス広報の鈴木美穂さん(38歳・仮名)。新卒でクレジットカード会社に総合職として入社。その後、マーケティング会社を経て、飲料メーカーの広報部に転職した。
 広報部では、自社製品の認知度アップのための社外広報が主な仕事。
 コーポレートサイトを始めとする広報活動全般の戦略立案、テレビ・新聞・雑誌などのメディアに自社製品を取り上げてもらうための日々のPR活動、各種の取材対応・・・ここで自らのキャリアについて改めて考えるようになる。
「30歳を過ぎて、これからのキャリアの軸に思いを巡らせたときに、〝私はやっぱり広報・PRだな゛という確信があったんです。広報は社内のあらゆる部署と連携を取って、経営理念や商品・サービスそのものを多くの方に知っていただくために社外と掛け橋となる仕事。強くやりがいを感じていました」
 
 転機は36歳での出産。育児休暇を経てもともといた広報部署への復帰を希望したが、時短勤務で復帰しようとすると、鈴木さんの年次と経験にぴったりのポジションが用意できないという。
「総務関係の部署での復帰を打診されたのですが、私はやっぱりやりがいを感じていた‷広報〟の仕事がしたくて・・・」
 そんなときに頭に思い浮かんだのが、前職のマーケティング会社時代に職場で接していたフリーランスの広報女性の存在だった。
「直感的に私にもできるかもしれない、と思いました。それで会社へは復帰せず、退職してフリーランスの広報としてキャリアを積むことを選びました」

 前職のマーケティング会社から業務の一部を請けたり、知人経由でベンチャー企業の広報業務を担当したりすることで、少しずつ仕事を安定させてきた。
「もちろん大変なこともありますよ。報酬面での交渉はいまだに苦手ですしね。でも、自分で自分のやりたい領域に集中してキャリアを積めるのがフリーランスの最大の醍醐味だと思うんです。その点で後悔したことはありません。今後も、広報・PRを自分のコアスキルとして、キャリアを切り拓いていきたいですね」

そもそも「フリーランス」とは何か?

「フリーランスとして生きる」ことは、決して「特別なこと」ではなくなりつつある――というお話をしました。
 しかし、「そもそもフリーランスって何?」――そんな疑問を抱かれる方もいることでしょう。

「フリーランス」とは、組織や団体に雇用されることなく、自らの能力を提供することの対価として報酬を受け取るワークスタイルを指します。雇用されているわけではないので、企業と仕事をする際には業務委託契約などを結んで仕事を行う形が一般的です。

 近年、フリーランスとして働く人たちが増えてきた――とはいっても、正社員・契約社員・派遣社員などの「社員」として仕事を行っている方が大勢を占める中でなかなかフリーランスの働き方がうまくイメージできないという方も多いかもしれませんね。
 ここで分かりやすく、それぞれの働き方のメリット・デメリットをまとめてみました。もちろん、他にも多様なポイントがあるかと思いますが、比較しやすくするために極力シンプルにまとめてみました。

フリーランスという働き方の特徴としては大きく3つ挙げられます。

1)時間や場所の制約を受けにくい

 社員のように勤怠管理を受けることなく仕事を行うことができます。仕事を行う場所も必ずしも、クライアント先企業(フリーランスが業務委託契約を結んでいる企業)のオフィスとは限りません。打ち合わせやミーティングだけをクライアントのオフィスで行い、実際の仕事は家やカフェ、図書館など好きな場所で行えるというのは、フリーランスの働き方のメリットの一つです。

2)自分主導でキャリアデザインしやすい

 社員の場合(特に正社員は)、転勤や異動など会社主導でその人のキャリアが定められていく要素が非常に大きいものです。もちろんその代わりとして、安定した収入や社会的な保障が得られるわけですが・・・。
一方でフリーランスは、誰と(どんな会社と)どんな仕事をするかを決めるのはあくまで自分。キャリアデザインの自由度が高いのは大きな特徴の一つと考えられます。

3)成果に対して報酬が得られる 

 フリーランスの報酬の支払われ方は、一般的には成果に対して報酬が支払われるというものです。
 重要なのは、あくまで「成果」です。
 ライターなら文章ですし、デザイナーならロゴなどのデザインそのものが「成果」になります。人事の制度設計の仕事でしたら、新設する制度そのものが成果になりますし、マーケティングリサーチの仕事でしたら、リサーチ結果をまとめたレポートが成果ということになります。
 ただ、この報酬は会社員のように毎月一定額が自動的に振り込まれるタイプのものではありません。

 仕事を開拓するのも、報酬を交渉するのも自分自身。
 それだけ収入は不安定になりがちですし、労災保険や雇用保険の適用対象外ですから、手薄な社会保障には自分で備える必要があります。納税も確定申告を行い自分で手続きします。自由で柔軟な働き方であるぶん、何事も自分次第で自律性が求められる働き方だということができるでしょう。

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