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台湾ひとり研究室:映像編

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台湾ドキュメンタリー映画を中心に、中華圏の映画やドラマについての記事をお届けしています。
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#映画

台湾ひとり研究室:映画編「《山椒魚來了》で見せた山の視点。」

台湾ひとり研究室:映画編「《山椒魚來了》で見せた山の視点。」

台湾台北に暮らして今夏で10周年を迎える。自分が四国は愛媛の、公共交通はバスのみという田舎で育ったからか、都市で見えることだけで「これが台湾」みたいな物言いをしないように心がけてきた。ワタシという個人の見える範囲なんてたかが知れている、一面でしかない、と。

たとえば、台北に市場はあるけど、田んぼがない。街灯はあるけど、星空がない。人はいるけど、動物や虫が少ない。だから、今いるのは大きな島で、都市

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台湾ひとり研究室:映画編「周美玲監督《流麻溝十五號》に見る気迫」

台湾ひとり研究室:映画編「周美玲監督《流麻溝十五號》に見る気迫」

台湾人の知人から「ぜひ日本の人たちにも見てほしい。台湾の歴史を知ってほしい」と言われていた台湾映画《流麻溝十五號》を先週、ようやく観終えた。同作について感想と共に紹介しておきたい。

まず本作は、1953年、主に政治犯思想犯とされた人が収容された緑島を舞台に、女性たちの収容生活を描く作品。10月の試写がスタートしたあと、Facebookのタイムラインには鑑賞報告の投稿が続き、注目の高さと関係者の気

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