田中美帆|『高雄港の娘』春秋社アジア文芸ライブラリー

台湾ルポライター|翻訳家|在住11年|勝手口から見た台湾を発信|stand.fm + note 台湾ひとり研究室|Yahoo!ニュースエキスパートオーサー|編集者→40歳で留学→国際結婚→台湾師範大学台湾史研究所修士

田中美帆|『高雄港の娘』春秋社アジア文芸ライブラリー

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新刊『高雄港の娘』関連企画まとめ(11/11更新)

2024年10月28日発売『高雄港の娘』(陳柔縉著、春秋社、アジア文芸ライブラリー)、訳者としてもできることをやろう!ということで、さまざまな方にご協力いただきながら、各種の企画を進めています。トークイベントやレビューなど、このページでまとめていきますので、ご参考ください。 🗣11月はトークイベントin 東京!来月、PRのため一時帰国することにしました。発売直後なので、まだ読んでないという方も多いと思いますが、直接お話しする機会があることで、手に取っていただくきっかけになれ

    • 未知の高雄を起点に女性史を描く——ルポライター・安田峰俊さん

       台湾の主要都市を日本に置き換えると、事実上の首都である台北が東京、歴史が古い台湾が京都、経済都市の高雄が大阪に相当する……。などと、よく言われる。日本人のみならず、日本通の台湾人自身もよく口にする比喩なので、それなりに広く知られている概念なのだろう。  もっとも、日本人にとって圧倒的に馴染み深い都市は、「東京」たる台北とその周辺の九份や淡水といった観光都市だ(いわば、鎌倉や川越のようなポジションである)。「夏休みに3泊4日のツアーで台湾に行ったよ。いい国だよね」と話すよう

      • 日本語世代の記憶を語り継ぐ——台湾在住ライター兼コーディネーター・片倉真理さん

         私が台湾に暮らし始め、25年の時が経つ。この間、日本統治時代に生まれ育った、いわゆる「日本語世代」と呼ばれる人々に出会うご縁をいただいている。小学校や女学校の同窓会などにもお邪魔し、当時の暮らしぶりや現在についてお話をうかがっている。  中でも、本作「高雄港の娘」の主人公である孫愛雪女史のように、日本語を常用する「国語家庭」で生まれ育った人々の話は貴重だ。日本統治時代にエリート層として育った彼らは日本語で暮らし、日本語で考え、日本語で思いを表現する。時には、大人になってから

        • 台湾ひとり研究室:取材メモ「星のやグーグァンで触れる台湾タイヤル族の今。」

          星のやグーグァンのある場所 高鐡台中駅から星のやグーグァンに向かう道のりで、これまでの訪問で見逃していたことに気づきました。それは、これまで星のやグーグァン自体への興味が中心だったのに対し、星のやグーグァンを取り巻くエリアに目が向きました。 グーグァンは星のやのある場所の地名で、中国語で「谷關」と書きます。台湾を縦に走る中央山脈と雪山山脈の間を流れる「大甲溪」の中間あたりに位置します。東には地球の作り出したアートが見られる太魯閣国家公園、西には海の神・媽祖の巡礼で知られる

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        • 台湾ひとり研究室:取材メモ
          27本
        • 台湾ひとり研究室:映像編
          31本
        • 台湾ひとり研究室:台所編
          8本
        • 台湾ひとり研究室:本屋編
          25本
        • 日本語版刊行ヒストリー:《大港的女兒》から『高雄港の娘』へ
          60本
          ¥500
        • 台湾ひとり研究室:貓咪編
          3本

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          もっと穏やかで平和な人生が歩める努力を——書店員R.H.さんの推薦の言葉

           とても素敵な、そして、日本人なら全ての人が読んでほしいと願う内容だった。  この台湾の歴史の流れを知る日本人はほとんどおらず、日本統治下において、孫家と王家の複雑な事情を描きながら、台湾で日本人として生きた愛雪さん、そして、戦後は日本に来て、台湾独立を掲げている旦那さんを支えながら、日本で台湾人として戦後日本の再建に貢献した愛雪さん。今の台湾人のアイデンティティを象徴するような、強い意思を持った女性の物語で、当時はこのような複雑な想いを持ちながらも、台湾をどうしていくか。

          もっと穏やかで平和な人生が歩める努力を——書店員R.H.さんの推薦の言葉

          台湾と日本のルポライターによる協業——台湾在住エンターテイナー・馬場克樹さんの推薦の言葉

           台湾ルポライターとして現代台湾社会の光と影を浮き彫りにしてこられた田中美帆さんが、ローズさんこと、陳柔縉さんの時代小説『大港的女兒』の翻訳書『高雄港の娘』を春秋社から上梓され、文学翻訳家としてデビューされました。田中さんの記事には何度となく啓発を受け、ローズさんの作品を愛読してきた私としても、この上なく嬉しいことです。 歴史的社会的事象への精緻な観察を生業とするルポライターの田中さんが翻訳を務められたことで、この作品は同じくルポライターであるローズさんとの、日本と台湾の二

          台湾と日本のルポライターによる協業——台湾在住エンターテイナー・馬場克樹さんの推薦の言葉

          台湾ひとり研究室:映像編「鍾孟宏監督《餘燼》がつなぐ忘却と記憶の狭間」

          本作のタイトル「餘燼(よじん)」とは、焼け跡にくすぶる残り火のことを指すらしい。タイトルの意味がよくわからないまま劇場に向かったのだが、観終わった今はこの絶妙な名付けに唸るしかない。 台湾の映像作品を何本か観たことのある人が本作の予告映像を見れば、即座に主役級の俳優がずらりと出揃う作品とわかるだろう。「予算1億元(約5億円)以上」というが、もしかしたら出演料にかなりの予算が割かれているのかもしれない。 全体で約2時間半。比較的長尺だが、あっという間だった。 週末の朝、市

          台湾ひとり研究室:映像編「鍾孟宏監督《餘燼》がつなぐ忘却と記憶の狭間」

          台湾ひとり研究室:台所編「伝統家屋で開かれる教室に伝統の味を学ぶ:雙口呂。」

          そうか、これが違っていたのか——。 長い間、ずっと疑問に思っていたことがあった。それは台湾で食べる大根餅に使われいてる粉の正体である。片栗粉のような粘り気はなく、かといって小麦粉の香りとも違う。口当たりは軽めで、でもぷるんと弾力がある。「材料って何?」誰に聞いても腹落ちする答えが返ってこない。ようやく、この長年の疑問を解いてくれたのが、今回参加した教室だった。 伝統と向き合う取り組み 教室は、台北から南下する高速3号線の、インターにほど近い場所にある。私は今回、台北の自

          台湾ひとり研究室:台所編「伝統家屋で開かれる教室に伝統の味を学ぶ:雙口呂。」

          台湾人にしか描けない社会がある——台湾在住ノンフィクションライター近藤弥生子さん推薦の言葉

          「日本人の目線で台湾を見て、どう感じますか?」というのは、台湾メディアの取材で必ずといって良いほど聞かれる質問だ。 「『日本人』という括りに甘えてしまっていいのだろうか」と躊躇しつつ、なんとかして答えてはいるものの、立場を逆転してみると、そこには確かに「台湾人ならではの目線」というものも存在するように思う。  台湾で暮らす生活者でありながら、ライターとしての私は、外国人としての立ち位置を意識的に取っている。この先の台湾暮らしがどれだけ長くなったとしても、このスタンスはおそら

          台湾人にしか描けない社会がある——台湾在住ノンフィクションライター近藤弥生子さん推薦の言葉

          『高雄港の娘』が勇気をくれた——20万部突破『静かな人の戦略書』著者ジル・チャンさんの推薦の言葉

           仮に好きな本を選ぶように言われたら、どんなに厳選に厳選を重ねても『高雄港の娘』は外せない1冊だ。なぜなら、わたしに勇気をくれた本だから。  本書は、時代のうねりに立ち向かい、環境を変えることを余儀なくされても、新たなチャンスを見つけた勇敢な女性の姿を、生き生きと、かつ温かく描いている。  わたしは21世紀を生きる女性として、英語で国際チームを率い、諸外国でスピーチや取材を受け、多くの賞や賞賛を受けてきた。けれども、結局のところ小さな国からアメリカに渡ったわたしは、どこかで孤

          『高雄港の娘』が勇気をくれた——20万部突破『静かな人の戦略書』著者ジル・チャンさんの推薦の言葉

          #最終回 マガジンは終われど、販売はこれからが本番。皆様にお約束。

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          ¥500

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          #59 予約受付スタート!そして書店さんへの直メールと装画のこと。

          Amazonで自分の名前を見た日。

          #59 予約受付スタート!そして書店さんへの直メールと装画のこと。

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#58 ご購入いただく準備、着々と進んでいます!」

          再校ゲラの確認作業。 最終の原稿チェックがそろそろ終わります。この記事が公開される頃には、戻し終わって乾杯できているといいなと思っているのですが、今いまでは、終わっていません。 読み直せば読み直すほど、 (あー、この一文、あんまりうまく流れていないな) (これは、こっちの表現がいいな) 気になるところが出てきて、遠い目になります。それをひとつずつ、検討して決めていく。初校でも読んだはずなのに、まるで終わらないモグラ叩きです。 昔、編集の大先輩と話していたんですが、「

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#58 ご購入いただく準備、着々と進んでいます!」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#57タイトルと定価が決定!&ゲラを読んでコメントくださる書店員の方を大募集します!」

          タイトル、価格決定! 「発売は10月下旬、2750円です。タイトルも高雄港の娘でいきます」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#57タイトルと定価が決定!&ゲラを読んでコメントくださる書店員の方を大募集します!」

          台湾ひとり研究室:映像編「顏蘭權監督《種土》が投げかける希望の行方。」

            国破れて山河あり   城春にして 草木深し 2024年9月20日から劇場公開される台湾映画《種土》は、中国の詩人・杜甫が書いた「春望」という名の漢詩のようだった。 1本の映画が、観た人の心を大きく揺さぶり、その人生を突き動かすことがある。本作は、そんな希望に満ちた阿仁の顔から始まった。阿仁は、2004年に公開された台湾のドキュメンタリー映画《無米樂》(英文タイトル「Let it be」。日本未公開)を観て、新竹サイエンスパークに勤めるエンジニアの職を辞し、41歳で農業

          台湾ひとり研究室:映像編「顏蘭權監督《種土》が投げかける希望の行方。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#56訳者あとがきのその後の七転八倒とマガジンの終わり方を考えた話。」

          ちょうど1年前…とは、アラフィフ 以上の方はご存じ、爆発的にヒットした1曲の最初にもあったフレーズですが、このnoteで定期購読のできる有料マガジンを始めたのも例の曲同様、1年前のことでした。以来、50回を超えて翻訳書制作の裏側をお届けしてきました。 書籍のほうは修正後の「再校」と呼ばれるゲラが組み上がり、下旬に編集さんに確認を終えたものを渡すことになっています。事前に伺ったところでは、9月に行われる社内会議でタイトルや定価が決まるとのこと。いよいよ、本格的に印刷が近くなり

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#56訳者あとがきのその後の七転八倒とマガジンの終わり方を考えた話。」