田中美帆|『高雄港の娘』(仮)今秋刊行

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田中美帆|『高雄港の娘』(仮)今秋刊行

在住11年 / 勝手口から見た台湾を発信 / note「台湾ひとり研究室」 / Yahoo!ニュースエキスパートオーサー / 編集者→40歳で留学→国際結婚→台湾師範大学台湾史研究所修士 / 食べること、本読むこと、そして書くこと。/ フォローやマガジン登録で応援願います!

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台湾ひとり研究室:翻訳編「#01台湾の時代小説《大港的女兒》を翻訳することになりました。」

こんにちは。台湾ルポライターの田中美帆です…と表看板に「ルポライター」を掲げる身ですが、その実、フリーランスでいろいろな種類のお仕事をいただきます。そしてこのたび、台湾の時代小説《大港的女兒》の日本語訳を担当することになりました。文芸作品の出版翻訳を1冊丸ごと行うのは初めてです。お話をいただいた時には(えっ!?私?)と思いましたが、できるかどうかよりも、ぜひ!という答えが先に立っていました。 本書は、台湾の作家である陳柔縉(チェン・ロウジン)さんという方が、初めて手掛けられ

    • 台湾ひとり研究室:翻訳編「#54作業の現在地と刊行後にやる具体的な施策を3つ、考えてみました。」

      前回まで3回、リベンジ準備シリーズと題して作品のあらすじ、舞台、魅力を再考してきました。この間にも並行して本の制作は着々と進んでいました。今回は具体的な作業状況のご報告と今後の動きについてシェアしていきます。最後までお付き合いくださいませ。 初校ゲラを戻しました! まずは今の作業状況ですが、初校ゲラを戻しました!……といっても本の制作工程をご存じない方のために専門用語のご説明から。 「初校ゲラ」とは、納品された原稿データを、印刷時と同じ紙面にデザインされた状態で出力した

      • 台湾ひとり研究室:翻訳編「#53作品の魅力についてどう説明するかもう一度じっくり考えてみました。」

        今回も引き続き、近藤弥生子さんのVoicyでうまく回答できなかった、という反省から次に向けて準備する、七転び八起き、転んだことを題材にしようシリーズの第3弾、今回は作品の魅力を掘り下げていこうと思います。 先の反省として、こんなふうに書いていました。 では、改めて本作の魅力について以下、言語化を試みてみましょう。 訳者の考える本作の魅力

        • 台湾ひとり研究室:翻訳編「#52作品の舞台をどう説明するかもう一度じっくり考えてみました。」

          先日お邪魔した弥生子さんのVoicyでうまく回答できなかった、という反省から次に向けた準備をしてしまおう、という七転び八起き、転んでもそれを題材にして考えてみよう、というシリーズとして前回はあらすじを再考しましたが、今回は舞台設定の言語化を試みてみます。 まず、反省の回で書いたことを、もう一度掲載しますね。 「語れる」「説明できる」ということのためにはその材料が揃っていてはじめてできる行為です。その意味では、まず1930年代についての史料を探し出して読んでみました。 1

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        記事

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#51あらすじをどこまで説明するか、もう一度じっくり考えてみました。」

          自分の準備不足を痛感し、その課題を洗い出した前回に続いて、具体的に言語化の準備をしていきます。おさらいとして前回、課題として感じた点を再掲します。 1)作品概要 2)舞台設定 3)作品の魅力 このうち今回は「作品概要」について考えていこうと思います。 作品概要をさらに因数分解

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#51あらすじをどこまで説明するか、もう一度じっくり考えてみました。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#50Voicyゲスト出演。アレレ?うまくできないぞ…で気づいたこと」

          近藤弥生子さんのVoicyに出演しました。 今月初旬。台湾在住ライターの片倉真理さん、近藤弥生子さんとお目にかかる機会があり、原稿を納品したばかりの私に弥生子さんから「美帆さん、よかったらVoicyで話しませんか」と声をかけていただきました。ありがたや……感謝しきりです。 これまでも何度か弥生子さんのVoicyにはお邪魔していて、いろいろとお話ししています。何度も読み直しては書き直せる文章と違って、声で何かを伝える、というのは書き直しやストップができない。それはわかってい

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#50Voicyゲスト出演。アレレ?うまくできないぞ…で気づいたこと」

          台湾ひとり研究室:映像編「李幼喬監督《導演你有病》に見る台湾のユーモアセンスの背景にあるもの」

          2024年9月6日から台湾で公開予定の李幼喬監督《導演你有病》の試写会に参加してきました。会場になったのは、台北101に近い松仁威秀MUVIE CINEMAS。日頃あんまり行かないエリアなので遠回りしてしまい、ギリギリに入ると大きな会場は8割近く埋まっていて関心の高さが伺えた。 「うまくいけば次は本格的に映画を撮らせる」という出資者の下、製作費10万元(50万円)という超低予算で始まった映像撮影は、夜間にライブ配信しながら廃墟で行われることになった。ところが撮影が終盤を迎え

          台湾ひとり研究室:映像編「李幼喬監督《導演你有病》に見る台湾のユーモアセンスの背景にあるもの」

          台湾ひとり研究室:本屋編「近藤弥生子著『心を守りチーム力を高めるEQリーダーシップ』に見る異文化スキーマの取り入れ方。」

          これって異文化理解のプロセスを語った本だなあ、とちょっと違った視点で読み終えたのは、今年5月に刊行された『心を守りチーム力を高めるEQリーダーシップ』(日経BP)である。 著者は近藤弥生子さん。2019年にYahoo!ニュース特集でオードリー・タン(唐鳳)さんを取材した記事が大いに読まれ、今や取材執筆に編集を含めると年に1冊以上を刊行、という驚異的なペースで出版を続ける台湾在住のノンフィクションライターだ。プロフィールに取材のカバー範囲を「オードリー・タンからカルチャー界隈

          台湾ひとり研究室:本屋編「近藤弥生子著『心を守りチーム力を高めるEQリーダーシップ』に見る異文化スキーマの取り入れ方。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#49納品後の作業あれこれとルビの話。」

          訳稿を出した後の日々 前回の投稿で訳稿を出した、とご報告しました。その後、略歴とあとがきと、一通りこちらから出すべきものを出して、今は編集さんとアレをどうする、コレはどうしようか、といった各方面での詰めを行い、直しの指摘などなどもらい……という段階です。 この10日ほどは、入稿作業を優先させてできていなかった、作品上には出てきていない項目について、図書館や書店をハシゴして確認する、という作業で終わりました。 最近の台北は、午前中は厳しい日差しが照り付け、昼過ぎから雲が出

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#49納品後の作業あれこれとルビの話。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#48ついに、訳稿を納品しました。」

          ついに、納品。 先ほど、編集さんに原稿と資料を送りました。本当は先月末に送る予定だったのですが、最後の最後で思いついたことがありまして、その作業ついでに印字して読み直したら……

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#48ついに、訳稿を納品しました。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#47最終局面でやった確認作業の話。」

          迷いに区切りを付ける 読む→訳す→読む→推敲する→指摘を受ける→読む→練り直す→読む→整える…… 1冊の翻訳は、おおよそこんな流れになっています。読んでは直し、また読んでは直す、この繰り返しです。そしてこの直しは際限がありません。あとは「翻訳者がどこで終わりとするか」を決めるのみ。 直しながら(あ、この件は調べてなかった)という項目を調べ、修正を確定していきます。この段階で調べるのは、翻訳時に調べきれなかったものばかりです。最初に読んだ時には気にならなかったけれども、読

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#47最終局面でやった確認作業の話。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#46納品原稿にまとめていく大事な作業の話。」

          オンラインソフト「Termsoup」でチェッカーさんからいただいた指摘を反映させながら、納品原稿の準備を進めています。いやあ、全体を通して見ていくと、いろいろアリです。そのあたりの、とりわけ地味ではあるけれども大事な作業の話をまとめてみます。 単なるコピペではない

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#46納品原稿にまとめていく大事な作業の話。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#45このあたりで訳者あとがきのことを考えておこう。」

          今、ネイティブチェックの指摘を受けて原稿の修正作業を進めながら、編集部に送る原稿を整える一方で、そろそろ始めるか、と考えはじめたこと、それが「訳者あとがき」の原稿準備です。手元の翻訳書を開いてみると、サンプル数は多くはありませんが、ちょっとした傾向が見えてきたので、その内容もご紹介しておこうと思います。 訳者あとがきのある本とない本

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#45このあたりで訳者あとがきのことを考えておこう。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#44誤訳の指摘に凹みつつも、の話。」

          まず、率直に申し上げて凹んでおります。 (え、これも見逃してた…) (いやココ、確かによくわかってなかった…) (どっひゃー! これも間違えてたか…) 絶句するようなミスが大量に見つかって、自分のどうしようもなさに打ちひしがれています。 本連載「#28翻訳に必須の、あの仕組みを取り入れます。」「#29ゲスト登場!ネイティブチェックの詹さんと新しいソフトで作業します。」で、すでに紹介しましたが、今回、台湾の翻訳通訳業界のトップランナーである詹慕如さんにネイティブチェックを

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#44誤訳の指摘に凹みつつも、の話。」

          台湾ひとり研究室:台所編「ドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』に見るおいしい記憶の束の奥にあるもの。」

          画面越しなのになぜだか(あ、これ、絶対おいしい)とわかる。食べたことないくせに、映し出されるお料理の姿、慣れた手つき、そして自分が食べてきた味の記憶と照らし合わせると、どう考えてもおいしい、しか出てこないのである。味も香りもないのに、不思議。 そんな画面越しの「おいしい」から始まるドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』の舞台は、南青山にある中華風家庭料理「ふーみん」。ふーみんと、ふーみんの生みの親である斉風瑞さんが、本作の主人公だ。台湾人の両親のもとに生まれた斉さんは、

          台湾ひとり研究室:台所編「ドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』に見るおいしい記憶の束の奥にあるもの。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#43ゲスト登場!アジア文芸ライブラリー第1巻を翻訳した星泉さんにお越しいただきました。(2)」

          「チベット発、シスターフッドの物語」というひと言が加えられたツェリン・ヤンキー著『花と夢』が2024年4月20日に刊行されました。翻訳を担当したのは星泉さん。星さんは、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に所属する研究者で、かつチベット文学やチベット映画を紹介する活動も続けています。5月11日に同作を担当した春秋社の担当である荒木さんとのトークイベントを終えた翌週、星さんにお時間をいただきました。 前回は、先月刊行されたツェリン・ヤンキー著『花と夢』の翻訳者、星泉さ

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#43ゲスト登場!アジア文芸ライブラリー第1巻を翻訳した星泉さんにお越しいただきました。(2)」