田中美帆|台湾ルポライター🖋《大港的女兒》翻訳中

在住11年 / 勝手口から見た台湾を発信 / note「台湾ひとり研究室」 / Yah…

田中美帆|台湾ルポライター🖋《大港的女兒》翻訳中

在住11年 / 勝手口から見た台湾を発信 / note「台湾ひとり研究室」 / Yahoo!ニュースエキスパートオーサー / 編集者→40歳で留学→国際結婚→台湾師範大学台湾史研究所修士 / 食べること、本読むこと、そして書くこと。/ フォローやマガジン登録で応援願います!

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台湾ひとり研究室:翻訳編「#01台湾の時代小説《大港的女兒》を翻訳することになりました。」

こんにちは。台湾ルポライターの田中美帆です…と表看板に「ルポライター」を掲げる身ですが、その実、フリーランスでいろいろな種類のお仕事をいただきます。そしてこのたび、台湾の時代小説《大港的女兒》の日本語訳を担当することになりました。文芸作品の出版翻訳を1冊丸ごと行うのは初めてです。お話をいただいた時には(えっ!?私?)と思いましたが、できるかどうかよりも、ぜひ!という答えが先に立っていました。 本書は、台湾の作家である陳柔縉(チェン・ロウジン)さんという方が、初めて手掛けられ

    • 台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-蕭美玲《並行世界》」

      台湾国際ドキュメンタリー映画祭TIDF2024で、個人的には最後の鑑賞作品となったのが、この《平行世界》である。 いわゆる映画祭でがっつり参加したことがあるのはTIDFと山形で、あとはドキュメンタリー作品だけ見て全体のスケジュールを把握しようとしたことがないのでよく知らないのだけれど、その2つの映画祭では、最終日に受賞作が一気に上映される。その最終日に本作を観る機会を得た。 フランス人夫の間に生まれた娘と母である台湾人監督が本作の主人公だ。アスペルガー症候群と診断された娘

      • 台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-蔡崇隆《九槍》」

        はじめて鑑賞中に目を閉じた。観ていられなかった。「しっかり観ろ」と迫りくる映像に抗うには、それしかなかった。 本作は、昨年の映画アワード「金馬賞」でドキュメンタリー部門の最優秀賞を獲得した1本。 2017年8月31日、川べりに集まっていた人たちのもとに、パトカーに乗った複数の警官がやってきた。彼らは全員、外国人労働者で、不法滞在だった。ベトナム出身の阮國非は、タイトルにあるように「9発」の実弾が打ち込まれ、現場で血まみれのまま放置された。救急車が到着したのは生き絶える直前

        • 台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-藤野知明《我們到底做了什麼?》」

          2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でも上映された藤野知明監督の「どうすればよかったか?」 は、今回見た中でもTIDF2024の個人的衝撃作となった1本である。監督からは、今年の冬に日本で劇場公開予定だと伺ったので、以下、ネタバレしない形で紹介していきたい。 1983年、姉が統合失調症を発症した。医者であり、医学の基礎研究に携わる両親の下、家族はどんな25年を過ごしてきたのか。予告映像だけでも、その道のりは厳しかったことが伝わる。 「最初は、姉の病状を精神科の医師に

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        • 台湾ひとり研究室:映像編
          26本
        • 台湾ひとり研究室:取材メモ
          26本
        • 台湾ひとり研究室:貓咪編
          3本
        • 台湾ひとり研究室:本屋編
          23本
        • 台湾ひとり研究室:台所編
          6本

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          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-上映作3本、一挙紹介。」

          小田香《GAMA》 ー同時代の情景部門ノミネート作品 第二次大戦時、日本で唯一、上陸戦が行われたのが沖縄だ。隠れ場所になった洞窟では集団自殺になったものもあった。本作では、当時を伝える語り部、松永光雄さんの語りを中心に、洞窟での語り、遺骨収集の姿を伝える。沖縄で「ガマ」と呼ばれる洞窟は、いわゆる本土の防空壕とは違って、自然にできたものだそう。松永さんの語る声、水滴の落ちる音、海辺で珊瑚のカケラがぶつかる音、遺骨の収集作業で砂を掬う音、そして洞窟の外で聞こえる軍用機……青と緑

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-上映作3本、一挙紹介。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#42ゲスト登場!アジア文芸ライブラリー第1巻を翻訳した星泉さんにお越しいただきました。(1)」

          「チベット発、シスターフッドの物語」というひと言が加えられたツェリン・ヤンキー著『花と夢』が2024年4月20日に刊行されました。翻訳を担当したのは星泉さん。星さんは、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に所属する研究者で、かつチベット文学やチベット映画を紹介する活動も続けています。5月11日に本作を担当した春秋社の編集・荒木さんとのトークイベントを終えた翌週、星さんにお時間をいただきました。 舞台であるラサが迎えていた急激な変化 星さん訳のツェリン・ヤンキー著『

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#42ゲスト登場!アジア文芸ライブラリー第1巻を翻訳した星泉さんにお越しいただきました。(1)」

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-廖克發《由島至島》」

          「これまで、台湾人に戦争責任はない、当時はともかく今の世代に戦争責任はない、という言い方を聞いてきました。けれども、私たちには、少なくとも次の世代に何があったかを伝える責任、何をどう伝えるかを決める責任はあるはずだ、と考えています」 290分という超長尺の上映時間を終え、あいさつに立った廖克發監督は、ほとばしるように、そう口にした。本作のテーマは「戦争の記憶とその継承」である。 「ある日、息子が聞いてきた。  “台湾の兵士は東南アジアの戦場に送られた”  東南アジアって、

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-廖克發《由島至島》」

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-趙德胤《診所》」

          今週15日、クローズアップ現代で「ミャンマー潜伏1000日の記録 “見えない戦場”はいま」が放送された。アウン・サン・スーチー氏が政権を握り、2010年代中盤からの民主化が軍によるクーデターで一気に暗転したのは2021年、3年前のことだ。民主化を求めて行動する映画監督によって撮影され、先月日本で公開されたドキュメンタリー映画『夜明けへの道』を軸に、ミャンマーの現状を伝える内容だった。 5/10から始まった台湾国際ドキュメンタリー映画祭TIDFでは、ミャンマー出身の趙德胤(ミ

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-趙德胤《診所》」

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-張照堂《紀念.陳達》《王船祭典》」

          台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)、2024年は5/10-5/19で開催されている。 2年に1度開かれる祭典のオープニング作品は、張照堂監督の《紀念.陳達》《王船祭典》だった。 張照堂監督は、スチールも映像も撮るカメラマンだ。今回、TIDFで「傑出貢獻獎 Outstanding contribution award」、つまりは卓越貢献賞を受賞した。ただ、TIDFプログラムディレクター・林木材さんによれば、何度か受賞を断られていたそう。ようやく受賞となった矢先の4/

          台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-張照堂《紀念.陳達》《王船祭典》」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#41翻訳の醍醐味って一体…の巻。」

          台湾に来てからというもの、日本のテレビとはすっかり距離ができていました。ところが、最近はネット経由で時々、有料コンテンツも含めて楽しむ機会が増えています。VPNのある時代でよかったとつくづく思います。さらに、サブスクのサービスを利用すると、海外にいても、過去に放送された番組を辿れるのも本当にありがたいことです。 ……ということで観始めました、2014年放送のNHK朝の連ドラ「花子とアン」。そう、前回紹介したモンゴメリー著『赤毛のアン』の翻訳者、村岡花子をモデルにした物語です

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#41翻訳の醍醐味って一体…の巻。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#40読書体験から翻訳文学の意義を考えてみる。」

          フィールドとしては台湾にいる身ですが、今回は台湾だけではなく、もう少し広く海外という視野から、ほかの国の文学を読む、という私自身の体験についてご紹介してみます。 本連載では、過去にも個人的な読書体験について紹介してきました。 #16歴史時代小説を翻訳するまでの個人的な歴史遍歴の話。 #17台湾の歴史に触れてみたいあなたに、翻訳者が勧める書籍3選。 #27翻訳者兼ライターの人生に影響のあった本3選。 今回は、もう少し翻訳のもつ力を考えさせてくれた本を取り上げてみようと

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#40読書体験から翻訳文学の意義を考えてみる。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#39翻訳者の原稿料事情と有料マガジンに込めた思い。」

          この話をするかどうか、ずいぶんと迷いました。ですが、翻訳作業の実態を明かし、これから台湾書籍の翻訳をしてみようと思った人がいたとして、作業のことだけを伝えるのはどこかでフェアではない、と思っていました。 そう、翻訳者の金銭事情です。 金銭に対する感覚の変遷 日本文化に育ったひとりとして、お金の話をするのは「はしたない」ことと考えていました。強烈だったのは、若かりし編集時代、明確にせずに取材執筆を依頼したライターさんに「お金のことは最初に話してほしい」と詰め寄られたこと。

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#39翻訳者の原稿料事情と有料マガジンに込めた思い。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#38翻訳原稿の推敲作業で気づいた中→日の訳出ポイント3つ。」

          相変わらず推敲作業が続いています。勝手に始めたこの連載、週1で2,000字というのは、ギネス世界記録に認定され、今も連載回数が更新され続けている林真理子さんのエッセイ「夜ふけのなわとび」とほぼ同じ字数。こちとらわずか38回。これだけでヒイハア言っている身としては、平伏すしかないのであります。その世界記録の連載に去年、ひょんなことから名前を載せていただきました。ここでリンクを貼らせていただきます(参考リンク)。 ……ええと、推敲作業の話です。 第一稿ができてからというもの、

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#38翻訳原稿の推敲作業で気づいた中→日の訳出ポイント3つ。」

          台湾ひとり研究室:映像編「イチ推し映画祭TIDFがチケット販売開始。」

          5/10-19開催の台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)で会員向けのチケット販売が4/17からスタートしました。 オープニングは4/3に逝去した写真家・張照堂監督の「紀念.陳達」。台湾月琴の名手として知られた陳達(1906-1981)の姿を収めた作品。今回、個人的に大注目の1本です。 陳達の曲を初めて聴いたのは、去年。夜の中正紀念堂で行われたダンスパフォーマンスのBGMとして流れる曲に、心底、シビれました。「思想起」と題する台湾民謡で、月琴の弾き語りで陳達が歌ったも

          台湾ひとり研究室:映像編「イチ推し映画祭TIDFがチケット販売開始。」

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾、ペットIDをスタート。」

          4月10日、ペットの日(4/11)にあわせる形で、台湾農業部(農産省に相当)が記者会見を行い、今後、犬と猫のID登録制を設けると同時に、専用サイトの設置を発表しました。 2017年にペットの殺処分ゼロに踏み切った台湾では、近年も特に猫を飼う人が増加。2021年には台湾に密輸された250匹の猫が殺処分される事件が起きました。フランスでは動物の生体販売禁止になりましたが、台湾では今も販売が続けられる一方で、保護犬、保護猫の引き取り先確保、ペットの避妊・去勢手術、予防接種や健康診

          台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾、ペットIDをスタート。」

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#37推敲作業、続いています。の巻」

          (うわ、めちゃめちゃ勘違いしてた!) …こんな瞬間が幾度となく訪れる翻訳原稿の確認・推敲作業が続いています。 推敲作業の大切さ 作業的には、推敲した原稿を詹さんにネイティブチェックしてもらう流れです。第一稿、自分なりに気合い入れたつもりでしたが、出るわ出るわ……全身の力が抜けるようなミスがあって、冷や汗ものです。推敲、本当に大事ですね。 間違い、というわけではなくても、読み直してみると流れが滞っていたり、読み取りにくかったりする個所は点在していて、それらを整えていく作

          台湾ひとり研究室:翻訳編「#37推敲作業、続いています。の巻」