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語るに足る、ささやかな文化〜インハウスのデザイン組織で〜

なぜ今、デザイン組織文化なのか?

私は今までクリエイティブ領域に携わる会社や部署で経歴を積んできましたが、その中でクリエイティブ職に共通するいくつかの価値観を発見しました。そしてそれが今後のビジネスの荒波を生き抜くために役立つ、組織文化の参考になるのではないかと考えています。

変化が激しく、不確実性が取りただされるこの時代、企業文化・組織文化はそれらに備えるための考えるべき戦略です。多くのデザイン組織では、時代の変化を捉え、創造性を発揮し、イノベーションを生む文化づくりを推進しています。それは不確実性の時代に挑むために必要な要素の一つです。

デザイン組織の文化体験(カルチャー・エクスペリエンス)が、未来の組織の在り方について考えるキッカケとなれば幸いです。

デザイン組織文化から学べる要素

それでは以下に、デザイン組織の一般的な特徴を挙げてみます。

●ユーザーエクスペリエンスの重要性
デザイン組織は、ユーザーエクスペリエンスを重視しています。ユーザーのニーズを理解し、それに基づいて使いやすい製品やサービスを提供することが求められます。デザインカルチャーでは、ユーザーの視点を常に意識し、それに基づいたデザインを追求します。

●チームワークとコラボレーション
デザインカルチャーでは、チームワークとコラボレーションが重視されます。多様なバックグラウンドやスキルを持つメンバーの異なる視点や専門知識を組み合わせることで、より革新的なデザインやソリューションを生み出します。

●創造性とイノベーション
デザイン組織は、アイデアの自由な発想や実験、新しいアプローチや技術の探求が奨励されます。従来の枠組みにとらわれず、新たな解決策やデザインの可能性を追求する柔軟性が求められます。

●フィードバックと改善
デザインは継続的な改善と進化のプロセスであり、プロトタイプやフィードバックを通じて洗練されていきます。メンバー間の建設的なフィードバックが奨励され、品質向上につながる文化が育まれます。

●モチベーションとインスピレーション
デザインは、数値化できない成果で溢れています。それはクリエイティブ職全般における課題でもあり、強みでもあります。特に「やる気」という目に見えない「気」と向き合うことを大切にしていると感じます。人という感情のある生き物が成す仕事は「成果 = スキル × やる気」という考え方を本能的に理解し、モチベーションやインスピレーションを得られる環境をつくっています。

まとめ

私が所属するインハウスデザイン組織は会社の中の一部署であり、そこにある組織文化はいわば企業自体が持つメインカルチャーの中のサブカルチャーです。デザインに関わらず、それぞれの部署には会社としての方向性は同じでも、集まる人が違い、文化的な特徴があります。

各専門領域ごとに、独自のカルチャーを育むことで、品質を追求し、成長できる環境になるのだと私は思います。つまりサブカルチャーの成長は、専門性やメンバーのエンゲージメントを高めるということにつながります。そしてその積み重ねは、成果に反映されていくのです。

余談ですが、この記事のタイトルは、雑誌「SWITCH」の元編集者である駒沢敏器(コマザワトシキ)さんが、アメリカのスモールタウンを旅して紡いだ書籍「語るに足る、ささやかな人生 ~アメリカの小さな町で」になぞってつけました。小さな町で見つけた心温まる物語が、企業の中の部署に通ずるものがあるような気がしており、ことあるごとに読み返しています。この本、オススメです。


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