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【短編】後の愚痴

こんにちは、後です。

いつも答えもない、ゴールもないお話ばかりでごめんなさい。でも聞いてくれるのはアナタだけですので...。

先日、同僚の “前” が「自分がわからなくなった」とかで相談してきました。生きていればそんなことあるかなと共感しましたよ。でも心の中ではどこか嫉妬していて、私は逃げるようにして話を切り上げました。

だって最終的には「前向いていこう」とか言い出すでしょう?そんなポジティブな言葉ってヒトを勇気づけますよ。でもときには薄っぺらく、憎しみさえ覚えるものです。

私ってやっぱり考え方が後ろ向きですかね。心が毎日、暗いこと。これを後悔といいましたね?だったら私は悔しさとはうまく付き合えそうです。でも深い悲しみや不安はどうしようもありません。“時”なんてただ過ぎるだけで全然話は聞いてくれないですし。

ただアナタには、頭で考えた言葉ではなく感情からでた言葉で、そのうちじゃなくて今、助けてほしいって思うんです。

すみません、またこんな話で…。また後ほど気持ちを落ち着かせてから連絡します。ではよい1日を。

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言葉の機嫌研究所。留守電の件数を聞いた博士はうんざりした。しかし発明で日本全国に散々する文字の機嫌が毎日集まるようにしたのは、彼自身だった。

真剣な研究の対象にそぐわないものとみなされ続けている「言葉の起源」。しかしこの度、博士の発明によって文字が意思を伝えられるようになったのだ。なにか起源の手がかりがつかめるかもしれない。

ある種の反骨精神から、博士は今日も言葉の機嫌を真剣に聞いているのだった。

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