マガジンのカバー画像

見ることと考えることの歴史 第1章

7
人間の思考の形は時代によって大きく異なる。 その思考の形を左右したのは、他でもない視覚技術の変遷だ。このマガジンでは、人間の見ることと考えることに関する歴史的な変遷を紹介していき…
¥300
運営しているクリエイター

#ミュージアム

1-5.内実VS見かけ

1-5.内実VS見かけ

実験を重視した16世紀、17世紀のミュージアムにおいては、解剖学劇場での解剖の公開も含め、様々な実験が公開されている。もちろん、ミュージアムであるから、実験以外にも、珍品奇物を集めた展示自体も公開されていた。

ただし、公開された実験や展示のどれもがまともだったかというと、そうではない。
そもそも、ミュージアムが新しい知の体系をつくるための試作(プロトタイピング)の場という位置付けであったことはす

もっとみる
1-4.新しい学と、自然と人工の劇場

1-4.新しい学と、自然と人工の劇場

同じように、過去における思考史の転換点がまさに16世紀と17世紀にまたがるくらいの時期にあったのだ。ただ同じ転換点でありながら、16世紀、17世紀という時代は、すでに迷宮の中に深く迷いこんでしまっている現代よりは、人間が自分たち人間の思考の仕方自体を意識的にデザインしていく必要があるのだということに自覚的だった時代であるように思う。そして、その新たな思考方法を自覚的にデザインにしていこうとするプロ

もっとみる