七部(たなべ)

鳥に生まれぬ悲しみを 青い鳥にて癒しゐた ついと飛び去る暇もなく 凍てつく風に吹かれて…

七部(たなべ)

鳥に生まれぬ悲しみを 青い鳥にて癒しゐた ついと飛び去る暇もなく 凍てつく風に吹かれて消えた

マガジン

  • 故あって

    毎月第3日曜日更新のエッセイ「故あって」をまとめました。

最近の記事

故あって台湾 三

 台湾編が三回目にわたってしまった。恐ろしいことに初日が終了していない。さすがに次回くらいで終わらせたい。  龍山寺に着いた頃には日も暮れ、あたりは暗い。寺はライトアップがほどこされ、けばけばしく力強かった。この辺りの通りは急に雰囲気が変わる。道で太ったおっさんがそのまま寝っ転がっている。あまりふらふらしないほうが良さそうだ。  夕飯時でもあったので、近場の適当な店で食事をする。「餅」というと、あの柔らかい餅をどうしても想像してしまうが、台湾の餅はお焼きのような形をしており

    • 故あって台湾 二

       さて、尻切れトンボで終わった台湾旅行の続きである。前回の終わり方があんまりにもあんまりだったので、今回は実際の旅程をさくさく書いていくことにしよう。  利用したエバー航空は機内食も豪華で美味だった。台湾料理への期待も高まるばかりである。台北松山空港に着陸の際、「軍民共用のため写真撮影は厳禁」という警告を受けたのが、ミリオタ的興奮ポイントだろうか。  よく外国の空港は、その国独特のにおいがすると聞く。例えば韓国であるならキムチ、ロシアならコンクリート、日本なら醤油とかそんな

      • 故あってNFL

         日本時間の明日、スーパーボウルがある。野球的に言えば、アメフトの日本シリーズだ。日本だとハーフタイムショーのほうがニュースになるかもしれない。  実はアメフトが好きだ。なかでも、本場アメリカのプロリーグであるNFLが好きだ。そしてわけてもデトロイト・ライオンズのファンである。  もともとはお笑い芸人のオードリーが好きで、「オードリーのNFL倶楽部」を見始めたのがきっかけだった。正直1シーズン目は番組視聴だけであまりハマらなかったが、NFL公式が出しているハイライトや、1試合

        • 故あって台湾

           タイトルに「故あって」とつけているが、別に何のことはない。自分が行きたいから台湾に行っただけのことだ。強いていえば、台湾旅行を予約したときには猫を引き取る気満々だった。猫を引き取ったら海外旅行も行けなくなるから、その前に行っとこうと思っただけだ。今回の「故」らしい故はそれくらいである。気ままな一人旅だ。  コロナ禍以来、旅行はとんとご無沙汰である。海外旅行の計画は以前、ロシアのウラジオストクに行こうとしたことがある。日本から最も手近な「ヨーロッパ」である。だがその時は台風が

        故あって台湾 三

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        • 故あって
          7本

        記事

          「故あって」

           こんなタイトルでは何のこっちゃ良くわからない。一か月に一回のペースで投稿しているのに、三度目にして早くもネタ切れ感が出ている。とはいえ、こんな記事読んでる人もおらんだろうから辛くなったらよしてしまえば良いだけだ。では何故書いているのか、というのが今回の主題である。だから故あって「故あって」を書く。  もともとぼくは文字を書く人である。小説家とかライターとか、そんな良いもんじゃない。あくまでも個人の趣味で書き溜めてあるものがいくらかある。構想ウン年とかいうやつだろう。構想だ

          故あって札幌

           敬老の日の3連休、北海道へ行った。どうだ羨ましいだろう。数少ない読者にのっけからケンカを売っても仕方ないが、性分だからつい自慢をしたくなる。鼻につくと言われてしまえばそれまでだ。  初日の夕方に新千歳に着き、エスコンフィールドで野球の試合を観戦した。見事な球場だったが、そんな話はちょっと調べればいくらでも出てくるだろうし、ぼくが書くまでもあるまい。ひねくれ者のぼくですら認めたくなるような良い球場ではあった。  2日目の目的は別に羨ましがられるようなことではない。外祖母が札

          “In Flanders Fields” 抄訳

          訳文フランドルの野に フランドルの野に ヒナゲシそよぐ 我らを記す 墓標の狭間に 列をなし そして空には ひばりの吶喊 いまだしも 銃火の下に ほのかに聞こえ 我らは骸 ひと日ふた日の前までは 己が身をもて 朝陽を憶え 斜陽に探る 愛し愛され そして今 フランドルの野に 横たわる 従容として師旅につく 幽し手から 烽火と為しうる ともしび渡す 我らが願い 烟と消えれば 安んぜず フランドルの野に ヒナゲシ咲くも 注釈 吶喊・・・ここでは突撃時の叫び声 骸 ・・・死

          “In Flanders Fields” 抄訳

          故あって引っ越し

           故あって引っ越すことになった。その一連が色々と面倒くさい。今住んでいるところには、この年末で丸6年になる。小学生なら入学してから卒業までの時間を過ごした場所だが、気に入っているかと言われると微妙なところだ。小学校に愛着を覚えないタイプもいる。ぼくはそのタイプだ。  根が面倒くさがりなので、このまま契約更新する気ではあった。ところがとんと便りの絶えていた知人から、猫を引き取らないかという話が舞い込んできた。猫は好きだが、あいにく今住んでいるところがペット不可である。もともと、

          故あって引っ越し

          モルドヴァ共和国憲法 試訳

          モルドヴァ共和国憲法 1994年7月27日制定 我々、モルドヴァ共和国国民を代表する国会議員は、 モルドヴァ共和国独立宣言によって表明された、主権国家を求める国民の世俗的願いから出発し、 モルドヴァが国家として成長してきた歴史的、民族的枠組みの中で、モルドヴァ人の国家としての継続性に十分な配慮のうえ、 モルドヴァ人とともにモルドヴァ共和国の国民を構成する諸民族の市民としての恵沢を確保に努め、 法の支配、市民の平和、民主主義、人間の尊厳、基本的人権と自由、人格の自由な発展、正

          モルドヴァ共和国憲法 試訳