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故あってNFL

 日本時間の明日、スーパーボウルがある。野球的に言えば、アメフトの日本シリーズだ。日本だとハーフタイムショーのほうがニュースになるかもしれない。
 実はアメフトが好きだ。なかでも、本場アメリカのプロリーグであるNFLが好きだ。そしてわけてもデトロイト・ライオンズのファンである。
 もともとはお笑い芸人のオードリーが好きで、「オードリーのNFL倶楽部」を見始めたのがきっかけだった。正直1シーズン目は番組視聴だけであまりハマらなかったが、NFL公式が出しているハイライトや、1試合フルで見るようになったら見事にハマった。
 なにが良いかというと説明しづらい。1プレーごとのテンポが良く、割と点が入りやすいのは理由の一つだろう。また痛がる演技をしてファウルをもらうといった無粋なことがほぼ無い(このへんはアメリカのマッチョイズムも関係している気がする)。そのへんは性に合った。
 デトロイトファンになるきっかけは、NFL倶楽部のハイライトで1シーズンに出るか出ないかのトリックプレーを決めたところを見たからだ。素人にも「変なことした!」と分かりやすく、そういう変なことが好みにあった。全てのチームのロゴを調べ、自分の中で一番デトロイトがしっくりきたのも理由ではある。確かそのトリックプレーが2019シーズンのパトリシアHCの2期目だったと思う。だから、2020シーズンから追っかけている。
 いやあ、弱かった。実に弱かった。
 NFLでは1シーズンで16戦(2021シーズンからは17戦)やるのだが、2019シーズンが3勝12敗1分だった。次のシーズンも成績は悪く、HCは途中で解任された。基本的にNFLは強いチームの入れ替わりが激しい。選手生命も長くないのと、移籍が多いのは当然のこと、リーグが仕組みとして一強を維持しにくくしているのが大きい。それにも関わらずライオンズはずっと弱かった。現行の北地区では、ぶっちぎりの最下位回数である。地区優勝は1993年以来遠ざかっている。
 GMとHCが代わった最初の年もまだ弱かった。1勝もできずに連敗街道を突っ走り、HCは記者会見で泣きだした。
 そんなデトロイト・ライオンズが今シーズン地区優勝した。快挙である。
 今シーズン序盤から、なんなら昨シーズン終盤から調子は良く、ああプレーオフには行けるだろうな、と思っていた。だが、それにしてもシーズン12勝もして(個人的には誤審で13勝だと思っている)地区優勝までするとは思っていなかった。ちなみに12勝でもチーム史上最多勝利である。
 プレーオフも2勝した。あと1勝すればスーパーボウルだった。ちなみにチームが出たことはない。ひょっとしたら…ひょっとしたら…と思ったが、あいにく、序盤のリードを維持できず、多くのミスから逆転を許した。とはいえ、来季も期待できる内容だった。
 それもこれも新オーナーが連れてきた新GMと新HC、OC、DCの役割が大きい。GMが選ぶ選手は、なんでこんなに1年目から活躍するんじゃいというのが3年続いている。キャンベルHCは就任当初、無名の存在で「良く分からん人選」とか言われていた。だが初年度から熱い気持ちを見せてきて、先にも述べたように連敗し続けたときは会見で涙を流していた。ものすごい攻撃的な戦法を取っているが、防御を軽視しているわけではもちろんない。モチベーターとしてめちゃくちゃ優秀で、彼がいたからこそライオンズはここまで強くなったんだと思う。フロントがこんなにも1ヤードを獲りに行く気持ちを見せてくれたら、選手たちも応えるというものだろう。
 明日はスーパーボウルだ。アメリカンフットボール最高峰の試合が見れる。残念ながらライオンズは、1つ前で敗れ出場が叶わない。だが今年はいつもと違い無関係な戦いではない。来季こそは、と思いながら見るだろう。

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